第4回 深掘り!大学院生。Episode2 陳呉書蕾さん信大的人物

総合人文社会科学研究科 総合人文社会科学専攻 経済学分野 修士課程2年生

体験前と後の“ギャップ”を探る “クチコミ”から顧客満足度を検証!

レストランやホテル、あるいは病院を選ぶとき、数ある選択肢から、どうやって対象を選びますか?多くの方が参考にするのは、きっと利用者による“クチコミ”ではないでしょうか。陳呉書蕾さん(総合人文社会科学研究科 総合人文社会科学専攻 経済学分野 修士課程2年)が研究対象としているのは、実際に宿泊施設の予約サイトに投稿されたクチコミです。宿泊前と宿泊後で、顧客がポイントにしている点はどこなのかを分析し、顧客満足度にどのように影響するのかを解き明かそうとしています。(文・平尾 なつ樹)

・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第157号(2026.5.29発行)より

ご本人から一言

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総合人文社会科学研究科
総合人文社会科学専攻 経済学分野
修士課程2年生
陳呉書蕾さん

学部時代は、定性的な研究をしていましたが、大学院に進んでからは定量的な研究方法について学んでいます。所属している経済学分野には私の学年では私しか院生がいないので少し寂しいですが、その分後輩とのつながりが増えました。経法学部から修士課程に進む大学院生は少数ですが、その分気軽に質問もしやすく、学ぶことの多い環境だと思っています。

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大学院に進学してからは、K-POPのダンスサークルに入って、「踊ることにはハマっている」とのこと。一人で踊るのではなく“皆と一緒に”ダンスするのが楽しいそうです。

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幼い頃から続けていた卓球。修士課程に進んでからは学部生の大会に出ることはできなくなりましたが、今でもたまに後輩たちのいる部活に顔を出しラケットを振ることもあるそうです。

体験型サービス全般に応用できる 顧客満足度の“指標”作成へ

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宿泊施設を選ぶ際に、多くの利用者が他者のクチコミを参考にしている昨今、利用者は予約時にどんなポイントを重要視しているのか?そして実際に宿泊後、予約前の印象からどのように変化するのか―。そんな問いから陳呉書蕾さんの研究はスタートしました。

現在は、トラベルサイトの膨大な口コミデータの中から、「宿泊前」と「宿泊後」の感想について述べているものを抽出している最中だそうです。その工程が終わり次第、プログラミング分析にかけ、最終的にはそれを「狩野モデル」という枠組みにあてはめることを目標としています。

「狩野モデル」とは、東京理科大学名誉教授の狩野紀昭氏が提唱した考え方で、製品やサービスの品質を分類する指標です。具体的には、製品・サービスを5つの要素に分類して、それぞれの特性が顧客満足度にどのように影響するかを示しています(上図参照)。このモデルに自身の研究結果をあてはめて、「宿泊施設だけでなく、体験型サービス全般に応用できるような研究にしたい」と意気込みを話してくれました。

クチコミを分析した研究は数多くあるそうですが、「体験前」と「体験後」に着目している“視点が新しい”と、担当教員の石橋敬介准教授(信州大学学術研究院(社会科学系))も陳さんの研究に期待を寄せます。現在、抽出したクチコミを分析にかけるために、「これ」「それ」など、意味のうすい語=「ストップワード」を取り除く処理をしているそうですが、すべて確認しながらの作業になるため、「手間がかかる」と苦労を話します。一方で、中国からの留学生である陳さんにとって、“話し言葉で書かれた文章”というのは新鮮に感じるそうで、「教科書とも論文とも異なる、新しい表現方法を学びました」と笑って話します。

日本での経験を糧に日系企業でマーケティング職へ

もともと“顧客体験”に興味があったという陳さんは、2025年に本学で数社の企業と連携して開講した「顧客価値共創プログラム」にも参加したそうです。

講座内容は、企業のリアルな事業成長課題に対して、学生が企画を考えて提案するというもの。その中で、実際に顧客が対象となるサービスに抱いていた印象が、体験前と後で変化するケースがあるのを体感し「その“ギャップ”に興味を持つようになりました」と、研究のきっかけを語ります。高校入学のタイミングで日本に留学し、大学生活6年間を経て、卒業後には帰国が迫っている陳さん。昨年には「日本にいる間の目標」としていた日本企業でのインターンシップに参加し、企画・営業業務を経験しました。卒業後は自身の経験を活かして、中国の日系企業に就職してマーケティング職に就くことを目指しているそうです。日本で過ごした9年間を強みとし、夢の実現へと歩んでいく陳さんを応援しています!

院生の、とある一日

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朝の9時から夜の10時まで、起きて生活する時間の多くを大学で過ごしている様子。オープンキャンパスで信州大学を訪れた際に「緑いっぱい、自然豊かな環境で暮らしたい」と思い、進学を決めたそうです。

研究とは別の顔

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中国に生まれ、幼少期から卓球に打ち込んでいたという陳さん。中学卒業後は、卓球強豪校である新潟県の開志国際高校に留学。信州大学進学後も卓球部に入部し、3年前には100人以上の部員が在籍するチームのエースとして、全国国公立大学卓球大会の団体戦でチームを準優勝へ導きました!卓球台近くでプレーする“前陣速攻”として、身軽なフットワークと高い瞬発力で戦います…!!

指導教員から一言

信州大学学術研究院(社会科学系) 石橋 敬介 准教授

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陳さんの研究課題は、本人が0から生み出したテーマであり、主体性の高さが彼女の魅力です。

2週間に一度は私が個別指導を行っていますが、そこで私が与えた課題は着実に次の機会までにこなしてきてくれて、その努力する姿勢にも感心します。研究を進めている様子を見て時には、「もっとこうした方がいい」と思うこともあるのですが、今後も彼女の主体性に期待して、なるべく“遠回し”に伝えながら、自身の力で最後まで研究をやり抜いていってくれることを期待しています。

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