ナノバイオマテリアルの革新を加速する、 知・人・分野の融合拠点(BioNano Nexus)信大的人物

異分野研究のクロスオーバーで実現する 新次元のナノバイオマテリアル

異なる研究分野の研究者同士がつながり合うことで化学反応を起こし、新たなアイデアや創造性を発揮する―。「ナノバイオマテリアルの革新を加速する、知・人・分野の融合拠点」(BioNanoNexus)が目指す姿です。西村智貴拠点長に詳しくお聞きしました。(文・佐々木 政史)

・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第156号(2026.3.31発行)より

異分野がつながり 化学反応を起こす

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医療を志向した分子材料の例
左上:細胞表面を高分子で修飾された細胞の顕微鏡像
右上:光温熱治療可能な高分子材料による治療の様子
下:可逆膨潤収縮可能なヒドロゲル材料

「ナノバイオマテリアル」をご存じでしょうか。

これは、人間の身体と親和性を持つ極めて小さな材料のこと。様々な分野への活用が期待されていますが、特に注目されているのが医療分野です。

例えば、ナノバイオマテリアルによる「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」があります。一般的な薬は、成分が身体全体に作用するため、作用して欲しくない部位で副作用が発生することがあります。一方、DDSを活用すれば、薬を必要な場所に必要なだけ届けることができ、副作用の発生リスクを抑えることができるそうです。また、複数の機能を持たせることも可能で、次世代の医療において重要な役割を果たしているといいます。

こうしたナノバイオマテリアルの研究を大きく推進していくことが期待される拠点が、信州大学に設立されました。「ナノバイオマテリアルの革新を加速する、知・人・分野の融合拠点」(BioNano Nexus)です。

同拠点では、これまでにない革新的なナノバイオマテリアルの開発を目指し、「異なる分野の研究者がつながることで、それを実現させたい」と西村智貴拠点長(信州大学学術研究院(繊維学系)准教授)は話します。

これまではあまり積極的には交流を持ってこなかった異なる研究分野の研究者同士が、BioNano Nexusに集い知見やアイデアを持ち寄ることで“化学反応”を起こし、これまでにない革新的なナノバイオマテリアルの開発に結びつけていきたい考えです。

信大材料科学の新戦略拠点を目指す

拠点内(繊維学部)、学内異分野間(農学部や医学部など)、学外といった3段階で、つながりの拡大を構想しています。現在はこの第1段階で、拠点内での化学反応に挑んでいます。中核は、西村拠点長に加え、繊維学部 化学・材料学科の佐野航季准教授、同学部 社会実装研究クラスター 繊維科学研究所のLee JI HA准教授の3人の研究者。所属は同じ繊維学部でありながら、専門分野は西村拠点長が自己組織化科学、佐野准教授が生体模倣システム・コロイド科学、Lee准教授が機能性ヒドロゲル創製・超分子集合体と、それぞれに異なるそうです。「医療材料を作るという同じ目標を持ちながら、見ているものも使う技術も全く違う。この“違い”こそが、私たちの最大の武器」と西村拠点長は語ります。

西村拠点長は、BioNano Nexusを、信州大学の材料科学研究の新たな戦略拠点にすることを目指しています。信州大学は材料科学に強みを持っていますが、医療材料という点では、まだ十分には取り組まれてこなかったのが実情だそう。そのため、BioNano Nexusを通じて、信州大学の材料科学を、医療という新たな応用分野へと展開していきたいと西村拠点長は考えています。

異分野の“つながり”から創造性が生まれ、BioNano Nexusが医療の未来を変える材料を生み出す日が楽しみです。

拠点長PROFILE

西村 智貴 准教授

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信州大学 学術研究院(繊維学系)
研究分野は、分子集積化学、高分子ベシクル、温度応答性高分子、生体機能材料。京都大学大学院工学研究科 高分子化学専攻 特定助教、信州大学 学術研究院(繊維学系) 助教を経て現職。文部科学省卓越研究員、JST創発研究者、信州大学RS教員。

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