次世代スマートウェアイノベーション研究拠点信大的人物

電子回路・電池を繊維化し スマートウェアのパラダイムシフト主導へ

「次世代スマートウェアイノベーション拠点」では、繊維そのものが電子機能を持つ世界を創造し、スマートウェアのパラダイムシフトを主導することを目指しています。センサーや発電、温度調節など、新たな機能を持った衣服の研究・開発を進める同拠点の朱春紅拠点長にお話を伺いました。(文・平尾 なつ樹)

・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第156号(2026.3.31発行)より

衣服の新機能開発に挑む

10smartwear.png

センシング、自己充電、温度調節等の機能を備えた全繊維型スマートウェア

衣服を選ぶときに重視するのはどんな点でしょうか?デザインや暖かさ、通気性をはじめとする快適性など、衣服には様々な要素・機能があります。

「次世代スマートウェア拠点」では、激しい温度変化をゆるやかに抑制してくれる服や、高度なセンサー機能を持つなど、現在の衣服にはまだ備えられていない新たな機能性を備えたスマートウェアの研究が行われています。「人間の第2の皮膚として、衣服に多様な機能を持たせ、人間の生活をより快適に、便利にすることを目指します」と朱拠点長(信州大学学術研究院(繊維学系)准教授)は話します。

電子機器を縫い付けることで、着た人の体温や心拍などの健康状態を測る衣服はすでに開発されています。同拠点では、これをさらに進化させ、電子回路・電池そのものを繊維化することで「スマートウェアの全繊維化」を目指します。まさにスマートウェアのパラダイムシフトと言え、医療やスポーツ、防災、高齢化社会対策など、多岐にわたる産業応用が期待されます。

他分野と連携し着るだけで健康を管理できる社会の実現へ

もちろん、これを実現するには様々な課題もあります。快適性や持続性、洗濯耐久性を備えなければ、実社会での利用には至りません。これを実現するため、導電性ポリマーやナノ材料を用いた伸縮性・耐洗濯性を持つ繊維状電子回路の開発に取り組んでいます。

また、「着るだけで健康を管理する」基盤技術確立のためには、生体情報の取得も重要な要素となるため、医学分野との連携も必要になります。「広範囲の知識が求められるため、他分野の先生と連携しながら時間をかけて取り組んでいきます」と朱拠点長は意気込みます。今後、生体情報の医学的妥当性を検証するため、医学部の研究者もチームに加わる予定です。急激な温度上昇を衣服の力で抑えたり、筋肉の活動や心拍数を検知して健康を管理したり、パフォーマンスを高める衣服―まるでドラえもんの秘密道具にみる未来の技術であるかのように思えます。しかし、私たちの生活にこうした衣服が登場する日は、刻一刻と近づいていそうです!

拠点長PROFILE

朱 春紅 准教授

517f7667e1762e92877cac7eee645aec.png

信州大学学術研究院(繊維学系)
研究分野は、繊維工学、紡織工学、スマートテキスタイル。信州大学 学術研究院(繊維学系) 助教を経て現職。2022年には「高性能ナノファイバーマスク」の開発で文部科学省文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)。

ページトップに戻る

MENU