空へ、宇宙へ!座談会産学官金融連携

空へ、宇宙へ!座談会

空へ、宇宙へ!座談会

 平成28年10月、信州大学に、5つの次代クラスター研究センターが発足。本学の特色ある研究分野を先鋭化した先鋭領域融合研究群(5研究所)の、次の研究群研究所を目指す研究センターになります。
 今回は特命戦略(航空宇宙)担当副学長と航空宇宙システム研究センターのセンター長・部門長、また、関連する共同研究講座を受講する学生などに集まっていただき、航空宇宙関連の研究開発について、抱負や期待を語っていただきました。

(※平成28年10月収録)
・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第102号(2016.11.30発行)より

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半田 志郎(はんだ しろう)
1978年信州大学工学部卒業、1980年同大大学院工学研究科修士課程修了、1982年神戸大学工学部助手、工学博士、1988年長野工業高等専門学校講師、助教授を経て1994年信州大学工学部助教授、2005年教授、2015年信州大学副学長、学術研究院工学系長・工学部長(現職)

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佐藤 敏郎(さとう としろう)
1982年千葉大学工学部電気工学科卒業、1984年同大大学院工学研究科修士課程修了、1989年同大大学院自然科学研究科博士課程修了、1984年北越製紙(株)、1989年(株)東芝の企業経験を経て1996年信州大学工学部助教授、2005年教授、2009年工学部学部長補佐、2012年学長補佐(~2015年)、2013年工学部副学部長、現在に至る

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柳原 正明(やなぎはら まさあき)
1978年京都大学工学部機械工学第2学科卒業、1981年同大大学院航空工学専攻修士課程修修了、2007年東京大学博士(工学)、1981年科学技術庁航空宇宙技術研究所(NAL)、2003年(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)総合技術研究本部飛行試験技術開発センター長、2014年同機構航空本部基盤技術統括、2016年信州大学工学部特任教授、現在に至る

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榊 和彦(さかき かずひこ)
1986年信州大学工学部機械工学科卒業、1988年同大大学院工学研究科修士課程修了、1988年(株)東芝の企業経験を経て、1993年信州大学工学部助手、1 9 9 9 年助教授、2014年教授、現在に至る

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工学部電気電子工学科4年生
大石 みちるさん
京都府出身、2017年4月、大学院総合理工学研究科に進学予定

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工学部電気電子工学科4年生
ケルビン・ライ ション・オンさん
マレーシアからの留学生、2017年4月、大学院総合理工学研究科に進学予定

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司会・コーディネート
伊藤 尚人
信州大学総務部総務課 広報室長

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 ─最近、長野県内ではいろいろな航空宇宙関連の記事が話題になっています。航空宇宙産業クラスター形成特区の南信州の話題、そしてそこにできる共同研究講座の話題、さらに諏訪地域の小型ロケットプロジェクトの話題、などなど…今日は本学の航空宇宙システム研究センター発足をきっかけに関係者に集まっていただき、座談会を通して信州と航空宇宙の全体像を少し俯瞰して捉えてみようと思います。まずは特命戦略(航空宇宙)担当となられた半田副学長と佐藤センター長からよろしくお願いします。

半田 それではこれまでの背景から少し。信州大学工学部は以前より長野県内各地で社会人教育に注力してきました。一つは平成18年に諏訪地区で立ち上げた大学院修士課程「超微細加工技術専門職コース」、平成21年度に当時の科学技術振興調整費で採択された「信州・諏訪圏精密工業の活性化人材の養成;平成22年度に博士課程専門職コースを設置」、これは現在も形を変えながら続けています。SUWA小型ロケットプロジェクトは、地方創生補助金の申請・採択に伴って出てきたものです。
 一方、南信州の飯田地区では平成19年から「精密機器制御システム技術者育成コース」を開始し、翌年度より多摩川精機(株)さんの寄附による「モバイル制御講座」では、皆さん記憶に新しい長野県初の超小型人工衛星Shindaisat(愛称:ぎんれい)の打ち上げ成功など、実績を上げてきました。また、昨年3月、新たに航空機システム関連の人材育成ができないか、飯田市、多摩川精機(株)さんから相談を受けました。その話は順調に進み、地域では早速運営を支援するコンソーシアムが立ち上がり、準備会を経て、来年度「信州大学航空機システム共同研究講座」を設置することとなりました。昨年8月にその構想を発表して以来、航空機関係の報道が相次ぎ、今年5月には長野県航空機産業振興ビジョンの実現に向けた産業創成の話になり、将来にわたって工学部の研究領域全体が関われ、夢のある航空宇宙関連であれば、ということで同研究センターの設立に至っています。教育と研究、航空と宇宙はこうして結びつきました。そして、ついこの間、長野県からは産学官連携構想「長野県航空機産業推進会議(仮称)」設置の発表があり、これらの実動部分の連絡・調整がまずは私のミッションになっています。

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佐藤 産業創成の話が出たので、少し私からも。工学部ミッションの柱の一つに地域社会人を対象とした人材育成があります。地域社会人の学び直しを通して地方創生、地域産業の活性化に資するというようなことは、もともと昔から工学部はミッションにしていたんです。科学技術振興調整費などのプロジェクトへの国からの助成が終わった後でも、細々でも継続していたことが今回のような形で花開いた。地道な取り組みが地方創生の機運とぴったりあったのだと思います。

半田 そうですね。今回が今までと違うのはほとんどが地方創生などの外部資金ということ。経済産業省が平成26年、中京圏に指定した「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」に南信州が選定され、そのあたりから始まっています。

佐藤 長野県のほうでも、特区申請を中信・諏訪地域に、やがては北信地域にまで伝播させたい方針と聞いています。航空宇宙が次なる地域産業だと県、地域も考えているようです。

 ─航空宇宙システム研究センター長、センターのミッションと各部門をどう動かしていくか構想をお聞かせください。

佐藤 当センターのキャッチフレーズは「大空へ、そして宇宙へ」、ビジョンに「航空宇宙システムの人材育成と研究開発の推進」を掲げました。すでにセンターのロゴタイプも作成しました、準備がいいでしょう(笑)。センターは3部門から構成されます。
 「基盤技術部門」のミッションは航空・宇宙産業に共通する基盤技術の開発、「宇宙システム部門」は宇宙システム開発を通した人材養成と地域産業の技術高度化、「航空機システム部門」は航空機装備品モジュール・システムの国産化とそれを担う人材養成などがミッションです。
 先ほど話に出ました、来年4月から始める「航空機システム共同研究講座」は信州大学航空機システム共同研究講座コンソーシアムの支援によりまして、航空機システム関連の高度専門職業人の養成を目的として、基本的には学生を受け入れて航空機システムの教育研究を推進していくのが役割で、「航空機システム部門」が連携します。「SUWA小型ロケットプロジェクト」は岡谷市を代表として、諏訪圏6市町村が共同提案、地方創生「SUWAブランド創造事業」の一つの柱として昨年来始まっており、「宇宙システム部門」が連携します。航空機システムと小型ロケットは元は独立したプロジェクトでしたが、当センターが積極的にかかわってサポートしていく、また、信州大学の次代クラスター研究センターのひとつになったことをきっかけにして、航空宇宙システムの教育研究を将来的に工学部のみならず全学的にきちっと体系化していきたい。それらが循環し、地域の活性化・人材育成に結び付くと考えます。
 基盤技術部門の部門長も兼任しておりますので、少しご説明を。基盤技術の開発は、航空機もロケットもとにかく技術の裾野が広い。大学の研究者が持つどちらかというと狭い分野の尖った技術を有機的に結び付けて、航空機あるいはロケットという方向に展開していけば、今までにないものが出来るのではないかと期待しています。研究だけを目的にしていると達成したら次なる目標へと行きがちですが、社会還元・貢献こそ大学のミッションと考えます。そして社会が必要とするのは若い人たち、つまり学生です。研究と教育は車の両輪で、その成果を将来彼ら自身が社会に還元していく。だからセンターは研究だけでなく人材育成も行っていく、と明確に謳っています。

 ─来春、飯田でスタートする「航空機システム共同研究講座」の連携を含む航空機システム部門を束ねていただくのが柳原部門長ですね。現在JAXAと兼務と伺いましたのでそちらの話も。

柳原 30年以上航空機システムに関わってきましたがここ数年、航空の波が来ていると感じます。皆さんご存知のように、50年ぶりの国産旅客機MRJの開発が進んでいます。一昨年に文部科学省が出した「次世代航空機展開ビジョン」は国が本気で航空機産業を基幹産業とするために支援するという出口志向のもの。それを受けてJAXAのほうも大きく舵を切って動いています。昨年には文部科学省、経済産業省、国土交通省等7つの航空関連省庁が集まって国の「航空産業ビジョン」を掲げ、今までの縦割から横に一体となって航空機産業育成を図ることとなりました。世界的に航空機需要は高まっており、今後20年間にジェット機が3万機必要、という情報もあります。本当にいいものを作れば売れる市場になってきていると思います。
 航空機は大きく分けて機体、装備品(システム)、エンジンの3つで出来ている。機体とエンジンは日本は世界的シェアを持っているものの装備品のシェアは低い。MRJも国産機といいながら、国産化率は40%以下と言われています。これはキーワードとなる装備品の国産化率が低いためです。
 実は日本企業は装備品の細かい部品部分では頑張っているのですが、海外のシステム会社に納入せざるを得ず、その会社が操縦システムや燃料システムに組み上げて航空機メーカーに納入するという残念な構図になっています。

半田 一番“おいしい”システム化のところを海外の企業が押さえているんです。ですから国は直接航空機メーカーに納入できるシステム化技術を含めた航空機産業の育成を急務と考えています。飯田地域を航空機産業の特区としたのも、実は装備品システムの拠点を作りましょう、ということなんです。そこに我々も関わっていきます。

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航空機「補助燃料タンクシステム」のイメージ図。飛行距離を伸ばすためにオプションとして装備する。

柳原 そして、装備品システムにも多々ある中でまず「補助燃料タンクシステム」を開発しようと多摩川精機(株)さんと協議しています。従来の燃料タンクだと、ある程度、脚(飛行距離)の長さが決まってくるのでもう少し脚を伸ばしたいというニーズに、オプションで補助燃料タンクをつけることで対応出来る。うまくいけば来年度から実際に着手したいと思います。
 また、「モノ」を作るということですので中心は企業さんになります。海外企業に勝つためには何かキラリとしたものがあって、ライバルよりいいものを作らなければならない。地元メーカーが持っている基盤技術に信州大学の先鋭的な研究を注ぎ込んで、まずJAXA等に納められる見本を作っていきたい。夢は大きく、補助燃料タンク以外にも2つ3つプランを考えています(笑)。今後数年間でまず「モノ」を作り、その中で学生さんも教育していくことを考えています。
 また、今年から文部科学省の採択(※1)を受けて、この共同研究講座で、実機飛行教育なども行うこととなりました。名古屋大学他、12大学と日本航空宇宙工業会(SJAC)が共同参画する教育プログラムで、実機飛行による実践教育とそれにつながる啓発教育を、全国の大学生を対象に実施します。まさに全国区の展開ですね。

※1「実機飛行を通した航空実践教育の展開」(宇宙航空科学技術推進委託費)

 ─今度は宇宙も関連したお話を。榊宇宙システム部門長から諏訪地域のロケットプロジェクトの連携も交えてご紹介ください。

 「SUWA小型ロケットプロジェクト」の背景について。「信州・諏訪圏精密工業の活性化人材の養成」の中に大学院の信州・諏訪圏社会人コースという専門職コースが発足したのは平成22年なのですが、その修了生と大学院の在籍者(社会人学生)で始めたのが「信州・諏訪圏テクノ研究会」です。実に“熱い”モノづくりの有志達で、彼らがSUWA小型ロケットプロジェクトの中心メンバーになっています。ちなみにですが、信州大学航空宇宙システム研究センターのロゴもSUWA小型ロケットプロジェクトのメンバーが無償で作成してくれました(笑)。
 工学部中山准教授らが、超小型人工衛星(Shindaisat「ぎんれい」)の構造設計に参画しそれが一区切りした頃、次のターゲットに「衛星を載せることができるロケットを!」と話が盛り上がりました。小型ロケットは、精密加工を得意とする諏訪地域の技を詰め込むことができる地域にマッチしたテーマでもあります。時期を同じくして、内閣府の地方創生先行型の交付対象事業にも採択されました。「SUWA小型ロケットプロジェクト」ではこれまでに培ってきた炭素繊維強化プラスチックの加工・金属接合技術やハイブリッドエンジンの開発などを行い、できれば100km(宇宙空間までの距離)飛ばしたいと思っています。

佐藤 社会人大学院修了生には、「あなた方は地域の先導者であれ」と伝えています。ですが地方の会社はそれぞれがすぐ独立できるほど甘くない。「信州・諏訪圏テクノ研究会」の大学院修了生たちは、所属企業の垣根を越えたネットワークを作り、休日や時間外に活動してきたのです。立派です。

 情熱と努力なしには出来ないことですね。同プロジェクトのコンセプトは「ロケット=安全・低コスト・再利用」です。宇宙にモノを送るために、ロケットのコストダウンと再利用は必須です。安全についても、ロケット類は火薬の塊をイメージして危険なものと捉えられがちなのですが、同プロジェクトにおいて製作するロケットのエンジンはハイブリッドエンジンです。点火時以外は火薬を使いません。

佐藤 地元企業にもメリットがあります。同プロジェクトの取り組みは元々地方創生「SUWAブランド創造事業」の目玉の一つであり(プロジェクトマネージャー:工学部中山昇准教授)、地域活性化ということで始まっています。小型ロケットの多くは民間企業がビジネスに使うためのもの。測定用、気象衛星だとか農地の遠隔モニタリングとか船舶航路監視用が目的です。あわせて小型ロケットは基本的に単品・試作商売的なところもあるので、中小企業向き、県内企業にはビジネスチャンスです。

 宇宙システム部門への参画に快く引き受けてくださったJAXAの嶋田先生がハイブリッドロケット研究の大家ですのでいろいろとご指導いただけるのも強みです。固体燃料の形状検討とか、まだまだやることは多いのですが、ハイブリッドロケットは有望かつ可能だと思っています。
 ちょうど先週、地方都市で開かれる工業見本市では国内最大級とされる「諏訪圏工業メッセ2016」が開催されました。中でも航空宇宙産業の展示ゾーンは例年より拡大されて同プロジェクトも出展しました。特別展示「下町ロケット」コーナーの隣で注目を集めていました。

半田 航空関係のパーツを作っている企業も県内に40社くらいはありますからね。

 ええ。事実、メッセへの出展が受注の大きなきっかけになっています。先ほどMRJの話が出ましたがMRJにも県内中小企業のパーツが採用されていますから。その一端を担うのが我々、と自負できるくらいに活動を高めたいですね。社会人大学院コースは継続していますから地元もセンターに期待を寄せていると思います。

 ─本日は、来年4月から本格的に始まる航空機システムプログラムで学ぶ信大生、大石さん、ケルビンさんに来てもらっています。

半田 2人とも飯田での講座の話が上がったとき、すぐに自分から「行きたい」と手を挙げてくれたんですよ。

大石 実は、航空機や宇宙に興味があり、どこかで関われるかもと思って電気電子工学科に入ったんです。私が大学院に進学する時、ちょうどこの講座が出来るなんて(!)グッドタイミングと思ったんです。講座が開かれる飯田市の辺りは夜空が美しいところだと聞いていますので、星空も楽しみです(笑)。

ケルビン 僕はマレーシア出身なんですが、小さいときからラジカセや車のパーツや中古パソコンをもらってきては分解して仕組みが知りたかった。ほとんど壊すだけでしたが(笑)。機械工学方面に進むぞと決めたとき日本(長野県)に親戚がいるので、留学も視野に入れて高専(高等専門学校)や大学を探して2011年に来日、長野高専を経て信州大学に入りました。

大石 私も父親が暇さえあれば機械いじりや車修理をしていたので、それを見て自分も小さいころから何かを分解して遊んでました。さきほども言いましたが空を見るのも好きなので、星や飛行機を見たりそのことについて考えたりするのはとにかく飽きません。いつか航空機や宇宙を研究する人になれたらと、漠然と思い続けていて、信州大学に入ったら、航空機のプログラムに参加できることになって、着々と夢に近づいている感じです。

ケルビン 飯田では企業に近いところで勉強、研究できるのが嬉しいです。長野県内には細かな部品を作っている会社が多いので、そのモジュール化などを学びたい。まだ飛行機の勉強が足りないんですが、やはりそっち方面で、将来的には日本から海外に輸出する部品やモジュールを自分の手で作れたらいいなと考えています。

大石 私も将来は大学院で研究できたことを仕事に出来たらいいと思っています。具体的には企業の技術開発部門とかで。出身が京都なので将来どの地域で仕事をするか迷っているところはあるんですが、希望はやはり航空機に携わることです。

半田 飯田の企業にインターンシップしてもいいですね。

佐藤 2人はまだ4年生ということで卒業研究をやっていますが、柳原先生からご指導いただき、講座に入る前からすでに準備勉強を始めているところです。

 ─最後に、信州大学をとりまくステークホルダーの方々に、それぞれメッセージをお願いします

半田 日本において航空機産業はこれから自動車産業に継ぐ産業になると思います。全国の企業・大学などの機関が大々的に取り組むでしょうから、長野県という枠を超えていろいろな大学・研究機関・企業などと協力してやっていければ有り難いと思います。是非一緒に!

柳原 JAXA側の印象だと、昔は大学と企業とJAXAがあって、皆バラバラにやっているイメージでした。それではイカン、ということでここ数年前からJAXAは大学と企業と協働を始め、良い成果が出てきたと思っています。私は大学とは違うベースを持っていますので、世界のニーズを含め、情報や技術を企業にも紹介し、これまでに無いものを共同で創っていくように頑張りたいと思います。
 また講座を開設する旧飯田工業高校の施設に、地域全体の産業育成、研究開発、教育施設等が入るわけですが、現在海外にしかない航空機部品の認証を取るための試験設備・認証施設の新設が計画されています。国内初の施設で、この認証施設があれば製品開発が非常にやりやすくなる。そのための人材育成にもセンターが貢献できると思います。

 大石さん、ケルビンさんが小さい頃から飛行機や宇宙が好きだったと聞いて、自分と同じだと思いました。

柳原 私もいつも空を見て、彼方のことを考えていました。「思えば通ず」でしょうか。

 私の場合は一旦は空への憧れは胸にしまい、大学進学時は機械工学科を選んだんです。大学時代を通じても、航空機なんて夢の夢だった。今、回り回って目の前にこのテーマがある。それも信州大学が専門のセンターを設置し、まさか自分が携わるとは思ってもみなかったですね。信州大学で航空宇宙に携われるんだということを大いにPRしたいです。

佐藤 諏訪圏のロケットや飯田の共同研究講座に社会人がメンバーとして入ってくれるのは学生にとってとてもいい環境だと思います。信州大学の多彩な取り組みをいろいろな方々に知っていただきたいし、学生も含めてのこの座談会は、直接いろんな形でご協力いただく地域の方々、特に諏訪と飯田の企業の方々に読んでいただきたい。センターとしての覚悟表明です(笑)。
 また、表看板に航空宇宙を掲げた学科を持つ大学はありますが、決して数は多くない。信州大学の学部名に航空や宇宙の看板はないけれど、気持ちはそれ以上にあります。航空機産業の従事者も元を正せば機械であったり電気であったりして、基本・ベースに自分の確固たる専門があり、携わった場所で専門を活かしスキルを広げているのだと思います。学生諸君、どんな方向に進むにせよ、モチベーションを失うことなく、まずは自分の専門を固めよう!

ケルビン それでは私は、信州大学に留学を考えている方に一言。信州大学工学部の学生は国内外の学会やシンポジウムに参加、発表する機会が多くあり、海外の大学との連携で、世界中から研究者が集まります。また、信州大学は産学官連携や地域貢献にも力を入れており、県内多数の企業との共同研究が実現しています。そして、信州大学は学生が社会で活躍できるよう、人材育成にも力を入れています。社会が求める考える力やプレゼン力を学生が身につけられるよう、先生方が日々熱心に指導してくれて、ほんとにいろいろな支援に感謝しています。
 長野県内には航空機の部品を作っている企業がたくさんあることから、来年度からの大学院の研究テーマとして私は航空機関連の研究をテーマに選びました。これから、国際社会の発展により、航空機の需要が倍増する中で、私は長野の企業と共に国際航空機業界を通じて社会に貢献することを目指します。信州は、とにかく自然が豊かで、最適な学習環境です。週末には気分転換として、気軽に近場の観光スポットを訪れることが出来、夏季も快適、冬季にはウインタースポーツなどが楽しめいいところですよ。

大石 新しい知識や知見を得ることは、広い視野を持てるようになるのと同時に、考えることができる視点を増やすことに繋がります。一つの問題に対して、あらゆる切り口から考察できるようになるということです。私は学部で、電気電子工学という視野と数多くの視点を得ることができました。私は大学院に進学し、この航空宇宙システム研究センターで行われる研究や航空 機システムプログラムでの勉学を通して、新しい視野とさらに多くの視点を養えること、また興味を抱いている分野に近づけることを大変嬉しく思っています。

 ─これまでの長野県での航空・宇宙に関する「点」の話題が、本日の座談会でひとつにつながり、日本や世界を視野に置く、大きな、夢ある未来が見えた気がします。本日お話を伺った皆さんの夢や情熱に、同じ大学の関係者として誇りを感じました。本日はどうも有り難うございました。

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机上のロケットはSUWA小型ロケットプロジェクトで実際に打ち上げた、全長約1.5mの1号機 「SST001」ハイブリッドエンジンを搭載し、約370mまで上昇した。

信州大学次代クラスター研究センター発足!

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平成28年9月30日に行われた、次代クラスター研究センター記者会見の様子。
会見では、各研究センターの代表からそれぞれの研究の特色、ミッションなど詳細な説明を行いました。
会見者(右から)
下里 剛士 菌類・微生物ダイナミズム創発研究センター 代表(学術研究院農学系准教授)
佐藤 敏郎 航空宇宙システム研究センター 代表(学術研究院工学系教授)
沢村 達也 次世代医療研究センター 代表(学術研究院医学系教授)
濱田 州博 信州大学長
中村宗一郎 理事(研究、産学官・社会連携担当)副学長
金本圭一朗 社会基盤研究センター 代表代理(学術研究院社会科学系講師)
天野 良彦 食農産業イノベーション研究センター 代表(学術研究院工学系教授)

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