医療機器製品・部品メーカーによる 技術シーズ展2016レポート産学官金融連携

医療機器製品・部品メーカーによる 技術シーズ展2016レポート

医療機器製品・部品メーカーによる 技術シーズ展2016レポート

 平成28年10月、信州大学医学部附属病院にて、医療機器製品・部品メーカーによる技術シーズ展2016が開催されました。今年5年目を迎える恒例の展示会で、「製品や技術は次の用途開拓に向かうなど、長野県内企業との医療・ヘルスケア関連機器の共同研究開発は第2フェイズに移っている」(杉原伸宏 学術研究・産学官連携推進機構学術研究支援本部長/教授)ところもあるとのことで、年々進化を続けているようです。今年は19企業が出展、信州大学の研究者も開発に協力した特色ある製品をいくつか取材しました。

(文・柳澤 愛由)
・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第102号(2016.11.30発行)より

ナノ磁性微粒子「FG beads®」

創薬研究には欠かせない標的タンパク質のワンステップ精製を実現

多摩川精機(株)

 多摩川精機(株)が製造・販売する「FG beads®」は、フェライト粒子をポリマーで被覆した微粒子で、創薬研究の大幅な省力化を実現した画期的な製品。薬が体に効くのは、その成分が特定のタンパク質に作用するから。そのため創薬研究では、薬がどのタンパク質にどう作用するかの特定が不可欠ですが、従来その特定には膨大な時間と労力を必要としていました。しかし、「FG beads®」は、従来の担体にはない優れた特徴を有しており「FG beads®」に薬剤を固定化し、細胞破砕液に投入、薬剤が作用するタンパク質を結合させ、それを磁石で他の物質と分離することで、短時間・ワンステップで標的タンパク質を精製することが可能となりました。リリースから7年、創薬研究に欠かせない存在になりつつあります。
 信州大学では、「FG beads®」の臨床への応用のため、病態解析診断学を専門とする本田孝行学術研究院(医学系)教授が協力。用途に即したビーズの設計や研究データの蓄積を進めてきました。

中空糸膜モジュール

細胞培養をシステム化、汚染リスクを低減し、省スペースを実現する

野村ユニソン(株)

 信州大学医学部附属病院先端細胞治療センターの下平滋隆特任教授との共同研究で開発中の新製品です。細胞などの培養を行う際、多くの場合「ディシュ(シャーレ)」を用います。しかし、ディシュではどうしても汚染物質混入のリスクが捨てきれず、またディシュの置き場所の確保も必要です。反面、「細胞培養用中空糸膜モジュール」は、透折などでも使われる中空糸膜(ストロー状の繊維)を密閉した容器内に詰め、中空糸の内側に細胞を充てんし、外側に培地(養分・酸素)を連続して供給することで細胞を効率良く培養する、という新システムです。細胞を汚染物質から隔離できる上、ディシュ60枚分の培養を長さ30㎝程度のモジュール数本で行えるため、省スペース化を実現します。「将来的には細胞培養の自動装置化を目指したい」と、同社の中川栄さんは期待を寄せていました。

ポータブル 生体情報モニター

災害・介護の現場で活躍する

日本フェンオール(株)

 医療現場に欠かせない、心電図や心拍数などを表示する「生体情報モニター」。既に様々なタイプが流通していますが、コンパクトでありながら大型機並みの性能を有するものはなかったといいます。日本フェンオール(株)が今回展示したのは、小型で持ち運び可能な「生体情報モニター」。機動性だけでなく、小型ながら高い操作性と視認性、機能を兼ね備えることをコンセプトとしています。同社はもともと人工透析機器の製造を主力としており、そこで培った医療系モニターのノウハウをもとに、信州大学医学部附属病院高度救命救急センター・今村浩センター長の意見を聞きながら、開発を進めてきたといいます。現在は実用化を目指し、研究を重ねているとのこと。災害時や介護等、様々な現場での活躍が期待されます。

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