信州大学特別鼎談 「アスリートとキャリア、そして地域とのかかわり」特別レポート

スポーツがあることで人生が豊かになる…

信州大学特別鼎談は、スポーツ競技の話はもとより、スポーツ自体を学びと成長経験と捉え、 スポーツを通して、社会そして地域をもっと活性化することはできないか。 そのために、アスリート、地域、そして高等教育機関としての大学は何ができるのか…。 世界の大会を転戦し、さまざまな都市の支援体制や人々とスポーツとの関わりを見てきた3人が本音で語ります。
・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第138号(2023.3.31発行)より

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kawasakiさん

司会

信州大学広報スタッフ会議
広報アドバイザー
朝日新聞社ソリューション・デザイン部次長

川﨑紀夫
KAWASAKI Norio

2002年朝日新聞社入社。広告営業部門、記者部門を経験し、18年より現職。信州大学の広報アドバイザーを14年から務める。

アスリートとキャリア、そして地域とのかかわり

信州大学特任教授に就任した小平奈緒さん、小平さんの現役時代をコーチとして長年支えてきた信州大学学術研究院の結城匡啓教授、そしてスポーツ庁の室伏広治長官。今回は信大NOW特別企画として、日本のスポーツ界を代表する3人をお迎えしました。 学生のみならず、社会人やシニアにとっても非常に参考になる大学での学び、キャリアの話、地域社会をもり立てるアスリートの役割など、たくさんのお話を頂きました。(2022年11月収録)

1月から信大1年生の キャリア教育を担当

室伏広治長官(以下役職略):小平さんは、いつ特任教授になられたのですか。
小平奈緒さん(以下敬称略):2022年の11月ですね。
室伏:どんな授業をやる予定ですか。
結城匡啓教授(以下役職略):大学1年生のキャリア教育を担当します。
室伏:ああ、とてもいいですね。小平さんから直接授業を受けられるなんて。信州大学も学生数が増えそうですね(笑)。
小平:結城先生や室伏さんとは経験値が全く違うので、ぜひ学ばせて頂けたらと思います。

── 小平さんと室伏さんは、これまで何度か面会されているそうですね。
小平:結城先生を通して何度もお目にかかっています。
結城:ソチ五輪のときには現地まで応援に来て頂きました。
室伏:ああ、そうでしたね。
結城:あのときは100分の7秒差でメダルが取れなくて。
小平:ボロボロの、がむしゃらなときでした。
室伏:でも、その経験があったからもっとやる気になって、次の金メダルに結びついたわけですね。
小平:そうですね。その先を目指せたのでよかったです。
室伏:結城先生とは、10年くらい前に日本体育学会のシンポジウムを一緒にさせて頂きました。
結城:あのときは3日連続で晩ご飯を一緒に食べましたね。
室伏:もちろんその前から先生のことを私の研究者仲間から伺っていました。スラップスケート(※1)が出てきたときに、これは必ず記録に結びつくと。それを科学的にしっかり証明した経緯を聞いていました。

※1 スラップスケート:かかとの部分と刃(ブレード)が離れる構造のスケート靴。ブレードが氷に接する時間が長いため、効率的に力を伝えられる。オランダで開発され、1996年シーズンから選手が使用し始めた。

教えることと学ぶこと 競技と指導の間に

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──まずはアスリートとキャリアについて、みなさんの考えを伺いたいです。
室伏:私のキャリアは、父の影響が大きいですね。父は大学教授として授業を持ち、合間にトレーニングをしながら41歳まで現役でした。私もほぼ同年代まで競技を続けましたが、限られた時間の中で効率よくやることが大事だという考えは共通しています。毎日練習だけをしていても、なかなかメリハリをつくるのが難しい。学校や会社など、社会の中に少しでも身を置いて競技を続けることを大切にしてきました。
結城:室伏さんや小平さんとは競技レベルが違いますが、私も世界で戦った経験が少しあり、そのときに「デュアルキャリア」という考えを持ちました。よくアスリートの「セカンドキャリア」と言われますが、私はどこか将来に不安を抱えているイメージを持ちます。そうではなく、競技をしながら、将来につながる活動もしていく。そのようなことがデュアルキャリアだと思います。私はもともと研究者を目指していて、自分の研究から出てきたことが世界で言われていた常識、オランダの理論と違うことに気づきました。その知見を持って、セルフコーチングのように自分の競技力を急激に伸ばしたことがあります。デュアルで何かをやることは相互にいい影響を与えるのだと考えています。
小平:私は信州大学に進学を決めたときに、二つの夢がありました。一つは学校の先生になりたい、もう一つは五輪選手になって世界で活躍したいという夢です。学ぶことに対する興味が昔からすごく強く、結城先生が指導する姿を見て「先生のような先生になれたら理想だな」と選手でありながらもずっと思っていました。学びを引き出し、学生の思考を刺激する。そんな教育者になれたら、人生がすごく豊かになる。自分自身も学生からいろんな刺激を受けながら生きていけると思ったので、身近なお手本は結城先生です。
室伏:指導者としては最高の言葉ですね。先生のようになりたいって。
結城:ありがとうございます(笑)。
室伏:教えることで学ぶこともたくさんありますよね。自分の気づいたこと、取り組んだことを仲間とシェアしながら、よりよいものをつくる。互いに成長する関係だなと思います。上から指示して、ロボットみたいに動くのではなく、体も心や精神も同じように成長していくのが、スポーツの素晴らしさですね。

勝敗を超えたところにある 生き方へたどり着く

── アスリートは引退した後のキャリアもさまざまです。
結城:五輪金メダリストのヨハン・オラフ・コス(※2)、エリック・ハイデン (※3)は2人とも医師になり、多方面で活躍しています。一つのことを極めた人は、エネルギーさえかければ必ずほかのキャリアでも成功することを見つけられると私は思います。
小平:スポーツの世界に生きていると、競技成績やメダルの色などで評価されてしまうことがとても多いですが、スポーツを極めたときに勝敗を超えたところにある生き方へたどり着ける。このことは多くの人に還元できるところ、いろいろな方の勇気になれるところかなと思います。自分で枠を決めつけず、幅広い人とかかわりながら、人間を育てていけたらいいですね。
室伏:まさにその通りですね。アスリートは身体だけをひたすら鍛えているわけではありません。目の前にさまざまな記録のバリアがあり、さまざまな障害がやってくる。それを一つ一つ乗り越え、クリアしていく。スポーツは自分自身を成長させてくれます。

※2 ヨハン・オラフ・コス:ノルウェーのスピードスケート選手。1994年リレハンメル五輪で三つの金メダル。引退後、オスロ大学医学部に復学。研究のほか、ユニセフや世界保健機関(WHO)でも活動。
※3 エリック・ハイデン:アメリカのスピードスケート選手。80年レークプラシッド五輪で五つの金メダル。引退後、医学部に復学して整形外科医になったほか、自転車競技のプロロードレースにも参戦し活躍し活躍した。

期待は全て応援に変わり 温かくやさしいつながりに

──ライバルの存在も大きいのでしょうか。
小平:自分とは違うからこそ、その人は自分にないものを持っている。そこにリスペクトが生まれてくると思います。私はライバルを通して、視野の広さや視点のバリエーションを身につけられたと感じます。
結城:高め合う存在としてライバルが尊いものだと気づいたとき、競技への取り組み方が一気に変わってきます。足を引っ張る、相手を蹴落としてでも上に行く、このようなことを思う選手は自分で伸びを止めてしまっています。ライバルがいるからこそ、高いレベルの戦いができる。人間として、人類として、そういう視点で競技をやって欲しいなと思います。
室伏:そうですね。周りで支えてくださる方があっての自分ですので、自分勝手にならないように、みんなに後押ししてもらえるようにするのも大事ですよね。
小平:アスリートは期待を背負っているんじゃないかとよく言われますが、自分への期待が他人からの期待を上回っていれば、期待は全て応援に変わり、自分の力にできるという思いが私にはあります。まずは自分自身に一番期待していないと高みは目指せません。そしてその応援を自分の中に抱けるような関係が築けると、かなり強力なチームとして、みんなとともにいい景色を見に行くことができる。それは素晴らしいかかわり合いであり、温かくやさしいつながりになると思います。
室伏:人と同じことをやっていても、なかなかトップアスリートにはなれません。世界の壁はとても厚いです。自分で工夫すること、考えてやること、それを尊重すること。これが大事です。コーチはただ教えるだけでなく、多少間違った方向へ行ってもそれを見守りながら、軌道修正する。
結城:まさにその通りです。私はよく自立と依存の関係について考えます。(小平さんが)オランダに行った2年間は全てを自分でやらなきゃいけなかった。このときに、相当自立したと思うんですよね。本当に自立した。そして相談できるような存在になりました。彼女は自立と依存の関係をよくわかっているので、おそらくコーチになってもうまくやっていけるでしょう。
小平:オランダに行く前、ソチ五輪くらいまでは、かなりコーチに依存していました。でも1人でどうにかしなければいけない環境に身を置いたとき、自分の中に意見が生まれました。自分の人生を自分でコントロールしていっていいんだと気づきました。まずやってみるという勇気や決心するという覚悟が生まれてきたのかなと感じました。
結城:オランダの2年間では、劇的に日本語が伸びたんですよ!
一同:笑い
結城:表現がとても深くなりました。
小平:日本語で誰かと会話する機会が少なかったので、トレーニング中などに自分の中にいる自分と会話して、思考が非常に育っていった感覚があります。また、プロチームに入って素晴らしい練習器具がそろった環境を目の当たりにしたときに、与えられるものは有限、自ら求めるものは無限だと感じました。信州大学のトレーニング施設は体育学部ではないので、それほど器具がそろっておらず、自分たちで工夫しながらやってきました。そんな環境の違いを感じることができたのも私にとってはすごくよかったです。
室伏:世界最高峰でトレーニングできたわけですね。そうすると自分の立ち位置がどのくらいのレベルなのか、自分の練習のここが足らないとか、毎日気づきます。目の前にいる人に勝たなければメダルはないというところに身を置けたのはよかったですね。
小平:そうですね。遠征だとただ数日会うだけですが、一緒に暮らす、生活をともにするというのはとても大きい経験でした。みんな同じ人間で、同じように悩んで、努力しているんだとわかりました。
結城:彼女は「奈緒哲学」と言っているそうですが、オランダで人生を俯瞰したんだなと思います。自分の時間は神様がくれた時間だと。だから結果が出ても出なくても全部正解、これでいいんだと気づいたのでしょうね。これこそがまさに自己肯定感で、「大丈夫、いける」と思うことが自信になって自分の背中を押す。レースで戦う顔つき、アクシデントがあったときのリカバリーなどが全く変わりました。
小平:オランダに行ってからは、レース前に食事をしっかり摂れるようになりました。
結城:平昌五輪の500mは夜9時半スタートだったのですが、その前に夕食をバクバク食べていましたからね。私は食事が喉を通らないのに。
小平:石焼きビビンバをしっかり食べました(笑)。
室伏:大きなレースに向けて、しっかりと準備することは大事ですね。過剰に緊張しても力は出ませんから。その日、その時間に力をどう出すか。トレーニングや生活、全てが合わさった結果ですね。

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長野五輪での選手への応援を見ていつか長野でスポーツを
一生懸命頑張りたいと思いました

小平奈緒 KODAIRA Nao
社会医療法人財団慈泉会 相澤病院

信州大学教育・学生支援機構特任教授

2009年信州大学教育学部生涯スポーツ課程卒業。17年12月W杯ソルトレークシティー大会で女子1000mの世界記録樹立。18年平昌五輪の女子500mで金メダル、同1000mで銀メダル。22年10月全日本スピードスケート距離別選手権大会の女子500mで13回目の優勝、大会8連覇を飾り現役引退。同11月より信州大学教育・学生支援機構特任教授。社会医療法人財団慈泉会相澤病院所属。

信州大学を選び、地元で活動 多くの方の温かさ感じる

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──アスリートと地域のかかわりについても伺いたいです。
小平:私が夢を目指すきっかけになったのは、地元で開かれた長野五輪でした。地域のみなさんが五輪選手を応援するのを見て、子どもながらとても感動しました。その記憶が強烈にあり、いつか長野でスポーツを一生懸命頑張れたらいいなと思いました。結果的に私も信州大学を選び、ずっと長野で活動していますが、本当に多くの方の支えを受け取り、温かさを感じています。
室伏:素晴らしいですね。私たちもスポーツを地域のまちづくりの中に取り入れ、まちを元気にしていこうと取り組んでいます。好事例には長官賞を授与させて頂いたり、あとはくじで引いたまちを訪れたり(笑)。
小平:そうなんですか?
室伏:昨年は抽選で選ばれた北海道北見市に行きました。カーリングの街ですね。ロコ・ソラーレの方々とも会いましたし、市内には北見工業大学もあるので、自治体と大学の連携などを見てきました。自治体という視点で見ると、競技スポーツと健康スポーツはどうしても分かれてしまいがちです。しかし、地域の健康増進のためには両方の知見が大切になります。ただ運動をするだけではなく、どういう目的でどのくらいすると効果的か。ケガや病気を防ぐためにスポーツ科学の知見を取り入れて、安全に目的をもって運動をする、そんなリテラシーを地域の中で高めながら、まちづくりにもっとスポーツを取り込んでいきたいです。
結城:F1のマシンで培ったノウハウが一般大衆車に応用できるように、速く滑る、高く飛ぶという技術も、視点を変えるだけで、より安全で快適に暮らせる手助けになるかもしれませんね。
室伏:そうですね。スポーツは競技から健康増進までとても幅広いですから、活躍したアスリートが地域に貢献していくのも重要ですね。これまでのさまざまな経験を活かして、スポーツ界、そして社会に恩返ししていく。そんな循環ができたらいいですね。

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速く滑る、高く飛ぶという技術も、視点を変えるだけで、
より安全で快適に暮らせる手助けに

結城匡啓 YUKI Masahiro
信州大学学術研究院(教育学系)教授

1997年筑波大学大学院体育科学研究科修了。博士(体育科学)。公益財団法人日本オリンピック委員会長野オリンピック特別コーチ、98年筑波大学体育科学系助手、99年信州大学教育学部講師、助教授を経て2009年教授。14年4月より学術研究院(教育学系)教授。

応援されるだけじゃなく「応援できる」存在に

── 小平さんは地元でボランティアにも積極的に取り組んでいます。
小平:金メダリストになったことで、実はすごく生きづらさを感じていました。この先、豊かに生きられないんじゃないかと不安に思ったんですね。ちょうどそのころ、地元・長野県で台風による災害が起きました。被害を目の当たりにして、誰かの支えになりたいと思い、自分の意志でボランティアに参加しました。そうしたら、すーっと地域の中に入っていけたんですね。私も地域で暮らす一人でいて良いんだと。金メダリストだから特別な存在ではなく、地域に生きる一人として、たくさんの人とかかわりを持ちながら生きていきたい。ボランティアで行動できたことが、いまの人生の豊かさにつながっています。誰かに応援されるだけじゃなく、私自身も応援できる存在でありたいと思い、競技をやめても長野に還元していきたいと考えています。

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トップアスリートに直接指導を頂くことが、未来のトップアスリートを育てることにつながる

室伏広治 MUROFUSHI Koji
スポーツ庁長官

1997年中京大学体育学部体育学科卒業。2004年アテネ五輪で金メダル。07年中京大学博士号取得(体育学)、14年東京医科歯科大学教授就任、14~20年公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクター。20年10月より現職。

── 地域における子どもとスポーツの関係はどうでしょうか。
結城:指導者はみなわかっていると思いますが、中学、高校とどうしても輪切りになってしまいますよね。限られた3年間の中で、何か結果を出さなければいけない。しかも子どもたちは、まだ十分に体ができていない。地域の指導者はとても難しい課題を抱えていると思います。
室伏:学校だけでやっていると、中学や高校の3年生の最初の試合に負けちゃうと、もうその段階で引退なんてこともありますね。そのあとはほぼ1年何もせず、運動から離れてしまう。結城先生がおっしゃったとおり、輪切りになっているのはよいことではないので、部活動を地域に移行して、地域で受け皿になって頂くことがすごく重要です。
結城:私もそう思います。
室伏:さらには大学にも部活動の指導に協力して頂きたいですね。小平さんと会うだけでもきっと一生の思い出になりますし、感受性が強い時期にトップアスリートに直接指導して頂くことは、未来のトップアスリートを育てることにつながると私は思います。子どもたちにはもっといろいろな体験をさせてあげたいです。
小平:私も小学生のときに清水宏保選手を間近で見たという体験があり、それが「知るを愉しむ」ということを引き出してくれたと思います。宏保さんがまとっている空気感とか、ウォーミングアップのときにどんな意識で、何周回って、どこでスタートのチェックをするのか。ずーっと観察して、それが小学生時代の私のベースになっていました。
室伏:よく見ていましたねえ。細かいところまで。やっぱり興味があったんですかね。
小平:はい。もちろん自分の体でそれはできなかったので、自分に置き換えた場合にどうしたら早くスタートを切れるかと考えていました。父親と「こうやって構えたら速く滑れそうだからやってみる」というやりとりをしていましたし、自由な発想で想像していた時期がすごくよかったなと思います。

──ご自身の名前がついた「NAO iceOVAL」のオープニングイベント(2022年11月23日)でも、子どもたちととても楽しそうに交流していました。
小平:そうですね。子どもと接するときには、自由な発想を邪魔しないような学びを作れたらいいなと思っています。まだ多くを教わってきていない子どもたちに、すーっと新しい感覚が入ってきているのが間近で見られて、すごくよかったです。
結城:選手にはいろんなタイプがあります。この選手はこう言えばすごく工夫しそうだなとか、この選手にはもうちょっと細かく言ってあげないと動けないなとか。外部の指導者に移行していく中で、子どもの心をくすぐるような体験がうまくできるといいなと思います。

──そしてスポーツは生涯にわたってできるものですね。
小平:まさにそうですね。私は現役を引退してからも、週に一度、早朝にスケートを滑っています。そこでは80歳を超えるおじいちゃんがいて、私たちのスケーティングを見ながら腕組みをして研究している(笑)。スケートもしっかりと生涯スポーツになり得ると思いました。
室伏:素晴らしいですね。生涯を通して、体のコンディションを整えて、運動に親しめる環境をアスリートとともに作っていきたいです。

── みなさん、貴重なお時間を頂きありがとうございました。

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