全国区で紹介された「スーパー赤果肉リンゴ」の魅力と存在感。特別レポート

全国区で紹介された「スーパー赤果肉リンゴ」の魅力と存在感。

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写真は発表された2つのリンゴのうちの1つ「IHR32」。大玉で通常のリンゴにも引けを取らない。もう1つ は「IHR17」。小玉だがアントシアニン含量がきわめて高い。

昨今、“果肉が赤いリンゴ”、というものが知られるようになった。
信州大学のある長野県は全国2位のリンゴ生産量を誇り、長野県生まれの品種も多いことからリンゴの話題にはことかかない。
そんな中、平成30年10月11日午後、信州大学農学部に大勢の報道機関が詰めかけ、一部は全国ニュースでも流れることとなった。
話題は信州大学伴野潔教授(学術研究院農学系)による新系統2種の 発表、リンゴ断面がほぼ真っ赤に染まった「スーパー赤果肉リンゴ(仮称)」だ。

赤果肉になることの経緯や味わいについて、伴野教授は報道機関から質問攻めになっていたが、今回発表されたリンゴは、文字通り、果肉の“スーパー”な赤色が特長だ。
これまで伴野教授のもとでは、数種類の赤果肉リンゴ品種が育種されてきた。
遺伝子的にタイプ1とタイプ2とに大別される。
タイプ1は、「ハニールージュ」のように鮮やかな赤色が入るが、酸味も強く加工向き、
タイプ2は、「いなほのか」のようにどちらかといえば、淡いピンク色の果肉で、糖度も高く生食にも向くものが多かった。
今回発表された新系統は、このタイプ1とタイプ2の利点を掛け合わせた、意味的にも“スーパー”さがある。
“赤”は、果肉に含まれる色素アントシアニンによる。
新系統はこれまで以上にアントシアニン含量が多く、機能性の向上のほか、赤を活かした加工品の開発、カットフルーツなど新しい果物市場の拡大にも期待がかかっている。

これまで、栽培には気温や高標高であることなど一定の条件があり、色付きにもばらつきが出ることが多かったが、新系統は比較的低標高の地域でも安定的に栽培できるそうだ。
こうした特徴あるスーパー赤果肉リンゴの栽培が広がれば、担い手不足などに悩む地域の農業振興にもつながるだろう。
スーパー赤果肉リンゴは生食用・加工用ともに適したものになるが、加工用の課題はやはり大ロット対応ということらしいので、今後のさらなる品種改良によりさらにおいしくなることと、味と話題とともに生産者が増えていくことに期待したい。

「スーパー赤果肉リンゴは、信州大学発の信州を代表する果物」
…そんな日がくるかも、である。

・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第114号(2018.11.30発行)より

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新しいリンゴの発表をする伴野潔教授

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記者発表には大勢の報道陣が詰めかけた

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