ONLINE対談 信州大学が目指すVISION2030とSDGs特別レポート

ONLINE対談 信州大学が目指すVISION2030とSDGs

アフターコロナとなるであろう2030年に向けて、信州大学が描くビジョンとは。
また、SDGsのゴールを見据えながら信州大学は課題にどう取り組んでいくべきなのか―。
統合報告書の発行を機に、フリージャーナリストで信州大学の名誉博士・特任教授の池上彰さんと、濱田州博学長とのオンライン対談で、信州大学が目指す未来について、大いに語って頂きました。
(2020年10月11日収録)

・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第125号(2021.1.29発行)より

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ジャーナリスト
信州大学名誉博士・特任教授
池上彰氏(いけがみ あきら)
1950年長野県松本市生まれ。フリージャーナリスト、信州大学特任教授。2019年信州大学名誉博士。2010年から信州大学経法学部で夏季集中講座を担当。

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信州大学長
濱田州博(はまだ くにひろ)
1959年兵庫県生まれ。1982年東京工業大学工学部卒業。1987年同大学院博士課程修了。1987年通商産業省工業技術院繊維高分子材料研究所研究員。1988年信州大学繊維学部助手。1996年同助教授、2002年同教授、2010年繊維学部長、2012年副学長を経て、2015年10月より現職。

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司会・コーディネーター
信州大学広報スタッフ会議
広報アドバイザー
朝日新聞社ソリューション・デザイン部
川﨑 紀夫氏(かわさき のりお)
2002年朝日新聞社入社。広告局の外務営業、報道局の記者を経て2013年コンテンツプロデュース部、2015年中東へ留学、2016年メディアビジネス局、2018年よりソリューション・デザイン部。

コロナ禍の大学教育、未曾有の事態で見えてきた課題

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川﨑紀夫さん(以下敬称略):今回、信州大学は初めて統合報告書を作成することになったそうです。信州大学は、SDGsも見据えたグランドデザインとして、昨年から「VISION2030」を掲げられています。これからの時代に望まれる大学経営、またwithコロナ時代に求められる大学の役割なども話題にしていきたいと思います。
 この対談もリモートで行っているのですが、コロナ禍で大きく世界が変わりました。世界での新型コロナウイルスによる死者106万人、感染者も約3,000万人(対談当時)。まさに未曾有の事態ですよね。

濱田州博学長(以下役職名):信州大学も1年生がやはり一番大変です。前期の時点で、ほぼ全てがオンライン授業。後期は少人数の授業だけは対面で実施する予定にしております。ただ、それでもキャンパス内に入れない学生がいるので、そのケアもこれから行っていく予定です。今後は、学生がもっとキャンパスで過ごせる機会を設け、徐々に通常授業も再開する予定にしております。

川﨑:池上さんも大学の授業で教えておられますが、やはりオンライン授業は増えていますか?

池上彰さん(以下敬称略):東京工業大学などは、本来の授業時間に、毎週Zoomでリアルタイムに授業を行いましたね。別の大学では、リモートであらかじめ教材をつくってサーバにあげて、学生がそれをダウンロードして読み、私に質問や感想、意見を寄せる、それに一つ一つ答えるというやり方をとりました。他の大学でもずっとそういう状態でしたね。
 もちろん授業は対面がいいに決まっていますが、大教室で「質問は?」と言っても、なかなか質問が出ないことが多い一方、Zoomのチャット機能だと、次々と質問が来る。意外と「双方向性」という点では、これまでにできなかった授業、教育ができたのかな、と思いましたね。
 信州大学では毎年夏に経法学部の集中講義を行っていますが、今年は200人収容の教室に、100人だけ間隔を置いて座り、残りの学生はZoomで授業を受ける、というやり方にしたんです。そうしたら今年は質問がよく出ましたね。学生たちが対面の授業を待ち望んでいたように感じました。「このやり方がよかった」というよりは、前期、キャンパスに足を踏み入れることができなかった不満が一挙に噴き出したのかなと、そんな風にも思いました。

川﨑:ありがとうございました。濱田学長、今の信州大学の状況はいかがですか。

学長:池上さんもおっしゃったように、リモート授業もやり方次第でいい点が当然あったように思います。反面、特に1年生に対しては課題を感じました。ついこの間、私が学生向けに話をした時もやはり「なかなか友達ができない」とか、松本で初めて一人暮らしになって「孤独だ」といった悩みを抱える学生がいました。授業については、今回のことでいろいろな方法論があると思いましたが、この状況下で、いかに気持ちを一緒にできる場を整えるか、が、今後の課題のように感じたところです。

池上:そうですね。大学とは研究の場、教育の場であるわけですけど、学生にとっては勉強の場。学生同士知り合って友人になり、そこでいろいろな議論を交わす、そうした「場」が大学ですよね。皆が集まる「アゴラ(※1)」とでもいいましょうか、そうした役割を、実は大学は果たしている、それが今年は十分果たしきれなかったですよね。

(※1)アゴラは、古代ギリシアの都市国家において重要な公共空間として人が集まる広場を指すギリシア語。

川﨑:そうですね。確かにオンラインで「アゴラ」ができるかというと、そうでもないですよね。

学長:信州大学は全国各地から学生が集まっていて、長野県出身者は約25%しかいない。その多様性の特徴が、今年は活かせなかったのが残念です。

池上:そうですよね。今回、統合報告書の素案を拝見し、長野県以外から来る学生がこんなにも多いんだと改めて感じました。でもいいことですよね、出身地が偏った状態だと、どうしても多様性が薄れてしまう。この強みを活かしていくことが、大事ですよね。

学長:我々も、それが一番重要だと思っています。長野県出身者が約25%と申しましたが卒業時には40%近くの学生が長野県内に就職するのです(※2)。県内の若者人口を増やすという意味でも、大学の役割は大きいと思っています。また、大学というのは、いろいろな文化を背負った学生を「ミキシングする」役目も持っていると、常々思っています。ただ、コロナ禍の中で、その役割をどのように果たしていけばいいのか、という課題が残ったように思います。

(※2)学部卒業生で就職希望者の39%。進学者と合わせると約51%の学生が長野県内に残る。

池上:そうですね。それが今年は一番の課題になりましたね。

withコロナとSDGs、大学が行う教育の側面から

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川﨑:コロナ禍で人々の暮らしが脅かされました。池上さん、これまでと「withコロナ」時代のSDGsの在り方を比較したときに、どこが大きく変わると思われますか。

池上:あまりいい例えではないかもしれませんが、コロナ禍になる前の「SDGs」は、いわゆる「お題目」のようなイメージが強かったのではないかと思います。ところが、全世界が経済活動を止めた途端に、「ベネチアで水がきれいになった」とか「インドの北部でヒマラヤが見えた」とか、「北京の空気がすっかりきれいになった」とか、そんな状況が生まれた。
 もちろん今回は特別ですし、コロナのために世界中の経済は打撃を受けましたよね。だから「こうやって全世界の経済活動を止めればいい」ということではないのだけれど、人間の活動をちょっと止めるだけで、こんなにも劇的に地球環境が良くなるんだ、ということを私たちは知った。それがコロナ禍で、私たちが学んだことの一つです。
 もう一つ、SDGsは「誰一人、取り残さない」という言葉を掲げていますよね。コロナのような感染症も地球規模の課題です。コロナだけじゃなく、将来的に、また新たな感染症は当然起き得るわけですよね。先進国に住む私たちは「手を洗いましょう」「マスクをしましょう」と言えるのですが、アフリカに行くと「手を洗う水が手に入らない」なんてことは、いくらでもあるわけです。つまり、先進国で感染症を抑えても、結局途上国で新たな感染症が広がれば、再び先進国が打撃を受ける、ということが起こり得る。途上国への支援は、実は回り回って自分たちを守ることにつながるんだ、ということを、多くの人が感じたのではないでしょうか。そのために我々は何ができるのか―。私は今回、とりわけSDGsの大切さを痛感しました。

川﨑:まさに、そう考える機会、きっかけにはなったのではないかと思います。SDGsは、「教育を受ける権利」という項目を掲げています。SDGsの中の「教育」について、今後、我々はどのように考えていけばいいとお考えですか。

池上:世界の途上国では、私たちの常識が全く通用しないんですね。途上国の子供達は、水が手に入らないから、1日に何回も遠くまでに水汲みに行く。それが大事な仕事なので、結果的に教育を受けられない、学校に行けない。そうすると基礎的な公衆衛生の知識も得ることができないわけですよね。それ故に、そういう子たちが大人になっても、環境の悪さは改善しない。悪循環が続いていくんですよね。
 私は1950年生まれなのですが、小学校に入った時に真っ先に教わった事が「必ずハンカチを持ってこい」でしたからね。その時に教えられた「右側のポケットにちり紙を、左側のポケットにハンカチを入れなさい」という習慣は、今も続いていますからね。

川﨑:以前、池上さんが「教育は盗まれない財産なんだ」ということをおっしゃっていたことを思い出しました。学長にもお伺いします。SDGsと教育とのつながりについて、教育関係者はどう捉えておられるのでしょうか。

学長:今池上さんがおっしゃったように、場所が変われば、教育の在り方、やり方は異なるものだと思います。その場に即してやり方を変えないと、当然教育を受けられない人も出てくる。日本にいると当たり前なものが当たり前じゃない世界は、多くの人が思っている以上に存在していると私も思います。
 実は、去年9月にモンゴルを訪問したんです。ウランバートルには我々が提携する新モンゴル学園という、日本的な教育をやってる学校がありまして、そこの1年生に対する必須科目が「高原で生活する」というもので、私も3日ほど水が貴重で水洗トイレもない中で生活させていただきました。こうした環境で教育を受けている人たちがいるんだということは再認識しました。やはり教育は、受ける場によって課題が変わる。同じ教育を全く違う場所に持って行っても、多分うまくいかない。場に応じた教育をきちんとやっていかなければと、強く感じているところです。

池上:教育に関連して言うと、私が大学に入った年は、ちょうど東京大学と東京教育大学の入試がなかった年。慶応大学に入ったらいきなりストライキで、キャンパスがバリケード封鎖されました。信州大学も当時バリケード封鎖されていましたよね。いきなり授業がパタッとなくなってしまったんです。
 ただ、そのことがあったからこそ「自分自身で勉強する」という習慣が身に付いたと思います。考えてみれば、大学とは4年ないし6年間で、社会に出てからも自ら勉強していく、生涯にわたって学ぶ力を付ける場所でもありますよね。大学在学中にそれができるようにきちんと教えていくことが、今改めて必要になってしまったのだなと、そんな風に思います。

学長:全く同感です。今年の1年生にも卒業後も学び続けるための方法論を大学では身に付けて欲しい、という話をした所でした。学び続けようとする姿勢が今まさに重要ですよね。

池上:また、大学は「知識の伝達」というとても大事な役割を持っています。でも知識というものは、特に理系だとすぐ陳腐化してしまうものもあります。知識の伝達だけでなく、知識を自ら獲得する、あるいは獲得した知識を運用していく運用力を持つ必要があります。そうした力を養う大学の役割が、より大事になっていますよね。

コロナ禍と信州大学、地域医療の存在感と責任

池上:このコロナ禍で、多くの人が不安を抱えています。その中で、松本に信州大学の附属病院があることは、地域の人の大きな安心感につながったのではないかと思います。濱田学長に附属病院の今の状況をお聞きしたいのですが、どうですか。

学長:長野県内の大学病院は信州大学医学部附属病院(以下信大病院)しかありません。信大病院は感染症の指定病院ではないので、コロナにかかった方が来院するわけではないのですが、重症者は我々のところに運ばれてきます。信大病院は、もともと「体外式膜型人工肺ECMO(エクモ)」を所有していますし、長野県内でエクモを使用する重症患者を受け入れる必要がありますので、「医療の最後の砦」としての役割を担っていると言えます。
 また、これまでも信大病院から県内各地の病院に医師を派遣してきました。信大病院は、長野県の医療に対して大きな影響を与えていると同時に、その責任の重さを強く感じているところです。

池上:本当に、今回は信州大学の存在価値が、医療という面からも県民から再評価されることになったのではないかと思いますね。

川﨑:こうした未曾有の事態に陥って「地域を支える」という役割がさらに大きくなったのではないでしょうか。

ESG投資家に見て欲しい VISION2030の描く未来

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川﨑:信州大学の「VISION2030」について、話を進めたいと思います。信州大学は昨年創立70周年を迎えたとき「VISION2030」を発表しました。信州大学の狙いを改めて教えてください。

学長:2030年は、SDGsのゴールの年でもあり「VISION2030」もそれに合わせました。それに今は時代のテンポが非常に速い。例えば2050年といった目標を掲げても時代に即した目標にはならないかもしれない。だからやはり、ここ10年位をターゲットに据えて取り組んでいくことが一番ではないかと考えました。アフターコロナの時代になれば、さらに社会が変化していくと思います。我々も時代の変化に合わせて変わっていかなければいけないという思いを強く込め「VISION2030」を掲げました。

川﨑:変化のスピードが速い時代だという話がありましたが、目標達成をきちんと検証していくことも必要ですよね。信州大学が目指す方向性を、ここで学長がグランドデザインとして掲げたということは、今、まさに大学が大きな目標に取り組めるタイミングだと感じられているということですよね。

学長:ええ。今後は「VISION2030」を元に、第4期の中期目標に落とし込み、実践していくことになると思います。中期目標・計画は達成されたかどうかの検証をきちんとしておりますので、そこで「VISION2030」の評価・検証もできると考えています。もちろん、途中経過の検証も必要だと思っています。

池上:そうですよね。作ったきりじゃなくて、きちんと達成度が検証できるような仕組みを。また「10年後、2030年の大学関係者によって検証される」という緊張感を持っていた方がいいですよね。

学長:おっしゃる通りだと思います。

川﨑:掛け声だけじゃなくて、それをどう実現していくのかという強い思いが大事だということですね。「VISION2030」は、まさにSDGsの理念に近いものがあると感じたのですが、どんな思いを込めてこれらをお作りになったのか、簡単にお話し頂けますか。

学長:このビジョンを策定するにあたって「信州で学ぶ」とはどういうことなのかを意識しました。信州大学のアイデンティティ、つまり理念や価値を大事にしなければ、信州大学がある意味がなくなってしまうという危機感も感じていたからです。特にコロナ禍の中、懸念されるのは、リモートによる良い教育コンテンツがたくさん作られたことで、世の中が「それで全部済ませてしまおう」という流れになることの危惧です。こうした時代だからこそ、やはり「信州で学ぶ」ということの意義を、我々がどう捉えるかが重要なことだと思うのです。ビジョン1項目の「信州を学び…」という言葉には、そうした思いを強く込めました。
 また、もともと、大学は「未来のことを作るところ」だと私は考えています。もちろん、今の課題にも当てはめて考えていく必要はありますが、大学は、未来を見据え、いずれ役に立つ何かを突き詰める「未来を作る」ための場所でもあります。そこに、現代社会とのギャップが多少あるのは仕方がない。しかし、社会が進む方向と、大学が進む方向に大きなギャップがあっては本末転倒です。社会が進む方向と大学が目指す未来を見据えた上で、投資家の方が信州大学の将来を期待して、投資して頂けたらと考えています。

DX(※3)は信州大学の強み、分散型キャンパスがさらに進化する

(※3)デジタルトランスフォーメーション

池上:私が学生時代のころから、信州大学はいわゆる「タコ足大学」という言い方をされていました。7つの高等教育機関を前身校に持ち、キャンパスが全く別々で、本当に各キャンパスが切り離されているイメージがあったんですよね。ところが、今はキャンパスを繋いで通信すれば、授業だけでなく、様々なことができるようになってきた。「タコ足」が、今度は強みになったのだと思います。
 また、信州大学は県や各市町村と多くの連携協定を結んでいますよね。各地にサテライトの拠点もできましたし、本当にいい意味で信州大学の長野県全体の中で占める位置が、強く、大きくなってきたと思います。とりわけ、長野県のちょうど真ん中の松本市に信州大学の法人本部があることも、地の利を得ていますよね。

学長:本学が「地域貢献度の高い大学」だと言われるのは、長野県各地に実際に信州大学の関係者がいることが大きいと思っています。リモートの時代であっても、そこに実際に教職員・学生がいて、そこに暮らす人と直接的な接点が持てるというのは、やはり重要です。飯田市と岡谷市にもサテライトキャンパスがありますし、軽井沢町にもオフィスを設けました。今後もそうした各拠点を活用しながら、それこそ”タコ足”を”イカ足”(笑)にするぐらいの発想の転換が重要なのではないかと思っています。これまではデメリットばかり強調されましたが、それをメリットに転換できるDX環境が、今整ってきた、と感じています。

大学運営と外部資金獲得はステークホルダーの目線で考える

川﨑:池上さんに、大学運営についても伺います。池上さんは、国立大学でも私立大学でも教えていらっしゃいますが、国立大学が外部資金を集めていくためにはどうすればいいとお考えですか。

池上:国立大学だけでなく、実は私立大学も同じような状況なんですよ。私立大学だって、そんなに経営が上手な訳ではないんです。私立大学も「学生が納めるお金」と「私学助成金」でほとんど賄っている。しかし、ここへ来て突然、外部資金を投入しなければいけない、大学も稼がなければいけないということになり、戸惑っているのは、実は、国立も私立もあまり変わらない。ではどうしたらいいのか―。一つは、地元に密着した、地域にとって絶対に必要な機関である、という思いを、多くの人に持ってもらうことが必要です。同時に「信州大学では地域経済にこんなにも役に立つ新たな研究や活動が行われているんだ、じゃあそこに投資をすれば何らかのリターンもあるんじゃないか」という、投資目線で援助を受けられる仕組みを充実させることも必要でしょう。
 信州大学のように、70年の歴史があれば、当然、大勢の卒業生がいるわけで、その卒業生たちから「母校のためなら」と寄附を集めることもできる。そのための卒業生のネットワークを維持、発展させていくための工夫も重要ですよね。

川﨑:濱田学長はどう思われますか。

学長:本学も「知の森基金」という基金を立ち上げました。地元の企業を中心に、寄附金を募っています。地元企業に対する目標値は、年間1千万円。毎年同じ額を寄附して欲しいという要望をしています。毎年継続的に寄附して頂くことで、学生の海外派遣や、経済的に困難な学生への支援ができるようになっています。
 それと同窓会などの組織の維持ですが、私も非常に重要だと思います。多くの卒業生は、出身の学部に強い思い入れがあることが多い。卒業生の気持ちに寄り添った寄附金募集のシステムを、今構築している所です。

長野県民全員がステークホルダー、信州唯一の国立大学として

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池上:信州大学は、特に「長野県民全員がステークホルダーなんだ」という意識が必要じゃないか、と思います。
 例えば、長野県に住んでいる子供が東京や関西の学校に進学する。その子は信州大学に進学したわけじゃないから関係ないと思うかもしれないけれど、実は、信州大学の教育学部出身の教員たちが育てた子どもさんかもしれない。信州大学の卒業生が長野県の経済、信州の教育に貢献している。そういう意味で長野県の企業や組織、ひいては長野県民全員が信州大学のステークホルダーなんだと思いますね。

学長:ありがとうございます。我々もそうした意識で取り組んでいきたいと思っています。
 もともと市民向けの「公開講座」もかなり活発にやってきました。あと信州大学の教員が各地に出向く「出前講座」も、多くの自治体から要望を受けて実施しています。そこでも長野県内のさまざまな方と接点が持てていますので、今後も拡大していけるように努力したいですね。

池上:「信州人」はかなり勉強への意欲が強く、勉強熱心な人が多い気がします。信州大学はその期待に応えていくべきだと思いますし、コロナ禍で人を集めることがなかなかできないのであれば、出前講座自体をリモートで行うのもいいかもしれないですよね。

学長:それはぜひ行いたいですね。教育だけではなくて、研究活動も方法を変えなければいけない部分がたくさんあります。今後は大学全体のDXにも取り組んでいきたいと思っています。

信州大学統合報告書2020を是非ご覧ください。

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 本学ではこれまでにも様々な冊子において活動等を発信してまいりましたが、今回それらを1冊にまとめ、信州大学らしい教育、研究、社会貢献、国際学術交流、医療活動等の非財務情報を、決算情報、財務諸表等の財務情報に加える形で構成しました。
 ステークホルダーの皆さまに、今の信州大学の姿、そして本学が何を目指しどこに向かうのか、SDGs目標と同じ10年後の姿を少しご想像いただけるのではないかと考えております。
 本学の諸活動をより一層進展させていくためにも、是非この統合報告書をご覧いただき大学経営に対するご理解とご支援等を賜れれば幸いです。

「信州大学統合報告書2020」は本学公式WEBサイト「刊行物」のデジタルパンフレットでもご覧になれます。⇒こちら

 信大NOW125号では、同報告書に掲載された濱田学長と池上彰氏によるVISION2030対談を再掲載させていただきました。

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