研究会
信州大学経法学部において月1回のペースで開催される「研究会」は、経済学、経営学、法学、政治学など、社会科学諸分野の研究成果 について報告・議論する場を提供し、さまざまな研究トピックスに関して相互理解を深めるとともに、研究者間でのコミュニケーションの促進を図ることを目的としています。
構想段階の研究や調査進行段階の研究も発表可能であり、研究者間の意見交換を通 じて研究内容の発展を図るなど、建設的な議論が展開されています。また、報告者は信州大学の教員にとどまらず、他機関の研究者も積極的に招き入れ、より広範なトピックスを取り扱うことを目指しています。
開催スケジュールと内容については、本ホームページに随時掲載する予定です。
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講演者 糟谷 祐介氏 所 属 神戸大学 日 時 2021年11月24日(水)13:30~15:00 場 所 信州大学経法学部 研究棟4階 研究会室 題 目 Stability, Strategy-Proofness, and Respecting-Improvement Properties 概 要 In priority-based two-sided matchings, a respecting-improvements property of a mechanism requires that an agent should get weakly better off when she is assigned a higher priority. Not only is it a normative desideratum, it is also important for ex-ante investments and for disclosure of non-preference information. In the general model of matching with contracts, we demonstrate that respect for improvements is closely related to strategy-proofness (with respect to preference information): With a number of different sets of assumptions and two definitions of improvements, a stable mechanism respects improvements if and "almost'' only if it is strategy-proof, although the precise statements vary across different layers of our assumptions. Our results suggest that strategy-proofness is desirable not only as a strategic property, but also for its normative implication. We also provide a new sufficient condition for the cumulative offer mechanism to be strategy-proof, which also suffices for respect for improvements.
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講演者 橘高 勇太氏 所 属 神戸大学学振PD 日 時 2021年10月20日(水)16:30~18:00 場 所 信州大学経法学部 研究棟4階 研究会室 題 目 Dual Role of the Platform and Search Order Distortion 概 要 本研究では、独立した業者の製品販売を仲介するのみならず、自らも並行して製品を販売するような「二重の役割」をもったプラットフォームによる、自社製品を最初に探索させるような自己優遇行動の影響を、消費者探索理論の枠組みを用いて分析し、好ましい政策を検討する。本研究で明らかになったのは以下の3点である。1.プラットフォームは、消費者が自社商品を最初に探すように誘導する誘因を持ちうる。2.このような自己優遇行動は、価格競争を弱め、販売者達が相対的に高い価格を設定することを可能にする。価格は手数料率に応じて上昇し、プラットフォームは手数料率が十分に低くない限り、他社製品よりも自社製品に高い価格を設定する。3.上記のような自己優遇行動があるとき、垂直分離政策によって厚生を改善することが可能である。しかし、自己優遇行動のみを禁止するだけの政策は、手数料率や、消費者の探索コストによってはかえって厚生を損なう可能性がある。 -
講演者 三上 亮氏 所 属 大阪大学社会経済研究所特任研究員 日 時 2021年10月20日(水)12:45~14:15 場 所 信州大学経法学部 研究棟4階 研究会室 題 目 Passive or Active? Behavioral Changes in Different Designs of Search Experiments. 概 要 本研究では、探索理論実験におけるデザイン間の探索行動の比較を行う。既存の探索理論実験は背後にある理論モデルが同じであるにもかかわらず、複数の実験デザインが存在する。我々は探索理論実験のデザインを探索方法の違いに応じて1)受動的、2)準能動的、3)能動的、の3つに分類して行動の比較を行なった。また、行動の原因を分析するために、探索行動の個人差を説明する指標であるリスク態度の測定も実施した。その結果、探索方法が異なると行動が変わることが示された。全体的な傾向として能動的な実験デザインは、他の二つのデザインと比較して、探索の回数が多く、理論的な予測に最も近い。個人のリスク態度に着目すると、リスク回避的な参加者が受動的なデザインで探索を早く打ち切る傾向が強く観察された。 -
講演者 島田 夏美氏 所 属
大阪大学社会経済研究所 日 時 2021年3月29日(月)13:30~15:00 場 所 オンラインミーティング 題 目 An experimental study on strategic preference formation in two-sided matching markets 概 要 学生と企業がマッチするような二部マッチング市場で、Gale and Shapley(1962)によって提案された学生側提案Deferred Acceptance メカニズ(DA)によるマッチングをベースとし、選好情報開示の影響、および、学生の戦略に主眼を置く。以下の3 つのトリートメントを設定し、就職市場のマッチングの枠組みで、経済実験によって検証する。(i) 学生側は企業の選好を知らず、企業側は真の選好を提出する、(ii) 学生側は企業の選好を知っており、企業側は真の選好を提出する、(iii) 学生側は企業の選好を知っているが、企業はより高く希望してきた学生を優先した選好を提出する。この実験で選好を開示することは学生の選好形成に影響を与え、安定性が低下するこを確認した。さらに、マッチング市場におけるcompromise strategyという規則性を発見した。 -
講演者 坂東 桂介 所 属 信州大学経法学部 日 時 2021年1月27日(水)13:30~15:00 場 所 信州大学経法学部 研究棟4階 研究会室(オンライン参加も可) 題 目 Stability Properties of the Core in a Generalized Assignment Problem 概 要 We show that the core of a generalized assignment problem satisfies two types of stability properties. First, the core is the unique stable set defined using the weak domination relation when outcomes are restricted to individually rational and pairwise feasible ones. Second, the core is the unique stable set with respect to a sequential domination relation that is defined by a sequence of weak domination relations that satisfy outsider independence. An equivalent way of stating this result is that the core satisfies the property that is commonly stated as the existence of a path to stability. These results add to the importance of the core in an assignment game where agents' preferences may not be quasilinear.