大学院案内

東洋史領域

東洋史領域

東洋史領域では、主にアジア地域の、あるいはアジア地域にかかわる歴史的事象について、従来の学術的な研究成果を駆使するとともに、多種多様な言語・素材からなる史料を自ら探し出して、科学的・実証的な観点から分析を加えることのできる人を育成することを目的としています。このプロセスを経て、現代社会を生きるうえで必須の情報分析・処理能力を身につけることが期待されます。

東洋史学を学ぶことは、第一義には、アジア地域の過去と現在を知ることです。しかし、学問的な訓練を受けるなかで習得される技能は、過去だけではなく、今そこにある現実を読み解くためにも使われるべきです。歴史学は単に過去の事実を明らかにするだけのものではありません。現状分析も視野に入れた東洋史学を学ぶことを通じて、現実を冷静に見据え、賢く生きる術が身につけられることでしょう。

東洋史学という学問領域の中には、おおむね東アジア・北東アジア・中央アジア・東南アジア・南アジア・西アジアの地理区分、古代・中世・近世・近現代という時代区分があり、それぞれの地域・時期の歴史的展開についての研究が行われています。そして、その連環も決して忘れてはなりません。また、アジアには交易・文化交流・社会の中での衝突や受容といった歴史もあります。フィールドの広さ・多様性とつながりを意識することが東洋史学の醍醐味でもあります。

領域紹介

どのような研究ができるか

研究史構築の手法

歴史学の研究は、先行研究の蓄積に基づいて行われます。まずは、なにが、どのような文脈で、どの研究をもとに、どのような史料を分析して、どのように扱われてきたのか、という点を、時代を追って把握することが必要です。それによってはじめて、研究上の課題が見えてきます。東洋史は、日本社会にとっての「外国」を研究対象とするため国内外の複数の言語圏にわたる研究史の展開を、網羅的に、構造的に把握していきます。先行研究は、今の我々がそうであるように、発表されたその時代の関心が色濃く影響しています。そのことと研究の到達点のあいだのギャップを自覚する必要もあります。

史料分析の手法

歴史学の研究は、史料の分析が必須です。多言語にわたる史料を博捜し、それぞれの欠落・矛盾点を突き合わせながら、実証的で、妥当な解釈を見つけていくことが歴史学の営みです。その際には、各言語の読解能力や文献学的知識などに基づくテキストの丁寧な解釈、文脈の整理に加え、空間的な把握(GPS位置情報等の利用含む)、数量的な把握(グラフ・表の作成含む)などの技法が必要になります。また、国外に出かけて史料収集や実見を行うことが必要になる場合もあります。そして、我々が現代社会について包括的に理解していないのと同様に、「当時の人が書いたこと」は、そのまま「当時の事実・真実」とはなりません。当時の人が気づきようのなかった、時間軸に沿った変容、他地域との連動などまで含めた検討が必要です。

研究内容の整理・公表の手法

歴史学の研究は、研究者の中で納得して終わりになるわけではありません。学会報告、論文、著書などによって公表して、それに対する評価を受けて初めて、「先行研究」として、他の研究者や社会の利用に供することができます。学会報告も論文も著書も、限られた時間・紙幅で必要な情報を、他の研究者が明瞭に理解できる形式のもと、構造的かつ、実証的に、過不足なく伝えられなければなりません。
修士課程の「学生」は、一人の「研究者」でもあります。できる限り国内外の学会等に参加し、他の研究者の研究成果やその表現の方法を学ぶとともに、みずから積極的に研究報告や意見交換を行うことが期待されます。

※領域を担当する各教員の研究内容については、教員紹介のページをご覧ください。

トップページ 大学院 東洋史領域

ページの先頭へもどる