研究会
信州大学経法学部において月1回のペースで開催される「研究会」は、経済学、経営学、法学、政治学など、社会科学諸分野の研究成果 について報告・議論する場を提供し、さまざまな研究トピックスに関して相互理解を深めるとともに、研究者間でのコミュニケーションの促進を図ることを目的としています。
構想段階の研究や調査進行段階の研究も発表可能であり、研究者間の意見交換を通 じて研究内容の発展を図るなど、建設的な議論が展開されています。また、報告者は信州大学の教員にとどまらず、他機関の研究者も積極的に招き入れ、より広範なトピックスを取り扱うことを目指しています。
開催スケジュールと内容については、本ホームページに随時掲載する予定です。
-
講演者 渡邊 直樹 氏
所 属 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 日 時 11月27日(金) 14:40~16:10
場 所 信州大学経法学部 研究棟4階 研究会室 題 目 Experimental Studies on the Approximate DGS Mechanism (with Yoichi Izunaga and Satoshi Takahashi)
概 要 Vickrey-Clarke-Groves (VCG) メカニズムにおける勝者と支払額の決定ルールを直感的に理解することは難しい.一方,Demange-Gale-Sotomayor (DGS) アルゴリズムは unit demand 制約の下でしか適用できないが,それらに関するルールの理解は容易である.しかも,DGSアルゴリズムは minimum price Walrasian equilibrium を導くことも分かっており,最近ではその公理的特徴も明らかになってきた.問題はDGS アルゴリズムでは決済までに時間がかかることである.それは入札にかけられている財の価格を競り上げていくプロセスに起因する.そこで,Izunaga et al. (2022, Proc. Int. Conf. Big Data) では,DGS アルゴリズムにおける価格の上げ幅を大きくするに従って,配分の効率性がどの程度損なわれ,売り手の収入はどのように変化するかを被験者実験によって考察した.また,被験者の意思決定における混乱を抑制するために,DGS アルゴリズムそのものではなく,その近似アルゴリズムの性能評価を行った.それに続き,Izunaga et al. (2025, Proc. Int. Conf. Big Data) では競り上げプロセスにおける tie-breaking rule が被験者の応札行動,配分の効率性と売り手の収益に与える影響を観察した.くじ引きによる一時的勝者の決定は Obviously Strategy Proofness という制度設計上の重要な性質を損ないかねないものである.その性質を保持しつつ,配分の効率性や売り手の収益を確保する tie-breaking rule を探すことは,DGSアルゴリズムに限らず,様々な入札アルゴリズムの実装上の課題となっている.今回の研究発表では,VCGメカニズムとその高速近似アルゴリズムを含めて,著者たちのDGS アルゴリズムに関する被験者実験の内容を検討し,今後の理論,実験,実装への課題を提示する.
備考: 本セミナーは信州第三期先鋭領域研究拠点群社会データ研究拠点との共催となります。 -
講演者 朴珠熙 氏 所 属 信州大学経法学部
日 時 2026年11月20日(金) 10:40~12:10
場 所 信州大学経法学部 研究棟4階 研究会室 題 目 韓国におけるストーキング被害者保護とGPS電子監視
概 要 ストーキング犯罪は急激に凶悪化する危険が高く、迅速かつ実効的な被害者保護が不可欠である。しかし、警察段階での禁止命令等だけでは加害者の行動を即時・随時把握することが困難であり、被害者保護の実効性に課題が残る。そこで本報告では、同様の課題を抱える韓国において被害者保護の実効化を目的に導入された、GPS電子監視の暫定措置とその運用実態を検討し、今後の実効的な被害者保護対策に向けた示唆を得る。
参加を希望される方や、スタッフセミナーへの質問は、赤川(oakagawa__at__shinshu-u.ac.jp)までご連絡ください。
※__at__は、@に置き換えてください。
-
講演者 増原 宏明 氏
所 属 信州大学経法学部 日 時 11月26日(木) 14:40~16:10
場 所 信州大学経法学部 研究棟4階 研究会室 題 目 Actual hospital bed utilization by institutional ownership during the COVID-19 Omicron variant epidemic inJapan
概 要 During summer 2021 in Japan, COVID-19 patients faced admission difficulties despite available beds due to capacitymismatches. This study analyzes hospital admission patterns during the Omicron variant expansion (December 2021-March 2022), focusing on institutional ownership of acute care hospitals. Publicly owned and non-governmentalhospitals may differ in their relationships with prefectural governments responsible for securing beds through verticaladministrative structures. The analysis examines metropolitan versus non-metropolitan areas and hospitals with orwithout other acute care facilities within 10 km, comparing COVID-19 inpatients per 100 beds and reserved bedoccupancy rates between ownership types. Results reveal that bed allocation ratios for COVID-19 patients varybetween ownership types. Significant differences in inpatients per 100 beds appear in regions with nearby acute carehospitals and in non-metropolitan areas. Reserved bed occupancy rate differences between ownership types emergein regions with proximate hospitals but not in single-hospital regions. Metropolitan areas frequently show no significantoccupancy differences, indicating admissions matched reserved capacity. Findings demonstrate the necessity ofstrategic bed planning, particularly highlighting that non-governmental hospitals without nearby facilities facedifficulties securing beds through administrative relationships. Enhanced monitoring during outbreaks is essential forsuch isolated hospitals.
備考: 本セミナーは信州第三期先鋭領域研究拠点群社会データ研究拠点との共催となります。 -
講演者 石橋 敬介 氏
所 属 信州大学経法学部 日 時 12月2日(水) 13:00~14:30 場 所 信州大学経法学部 研究棟4階 研究会室 題 目 製品カテゴリー特性の推定手法の開発と測定
概 要 製品カテゴリー特性は、マーケティング研究を行う上での重要な指標の一つである。
これまでに、製品カテゴリーの快楽性、知覚リスク、衝動購買傾向など、多様な製品カテゴリー特性を調査するための尺度が開発されてきた。
本セミナーでは、製品カテゴリー特性に関する二つの研究を報告する。
一つは、製品カテゴリー特性を推定する手法を開発するシミュレーション研究である。
過去に製品カテゴリー特性を調査する手法は開発されてきたが、調査結果から精度よく特性を推定する手法については、確立された方法が見られない。
もう一つは、実際に製品カテゴリーごとの特性のスコアを測定する研究である。
製品カテゴリー特性は、プロモーション効果などに影響することが分かっており、スコアの測定結果を公開することは多様なマーケティング研究につながると期待できる。
備考: 本セミナーは信州第三期先鋭領域研究拠点群社会データ研究拠点との共催となります。 -
講演者 大野 太郎 氏
所 属 信州大学経法学部 日 時 10月7日(水) 16:30~18:00 場 所 信州大学経法学部 研究棟4階 研究会室 題 目 家計の所得変動と所得源泉別の要因分解
概 要 家計の厚生は所得水準のみならず所得変動からも影響を受け、
所得変動が高まると消費など生活水準の低下や貧困リスクの上昇に つながる。本研究では慶應義塾大学『日本家計パネル調査( JHPS/KHPS)』の個票データを使用し、 所得源泉別の要因分解を通じて家計の所得変動がどのような所得( 勤労所得、資産所得など)から生じるのかを考察する。また、 イベント・スタディ分析の手法を通じて、 家族の介護がどのくらいの所得変化をもたらし、 それがどれくらい持続的な影響を持つのかについて考察する。 所得源泉別要因分解の結果から、 家計の所得変動は主に夫の勤労所得の寄与が大きいが、 出産があった世帯では夫と妻の勤労所得双方の寄与が大きい。 さらにイベント・スタディ分析の結果から、 家族の介護が生じるとき、 特に離職を伴う際に家計の所得は減少し、その影響は長期間に及ぶ ことが確認された。 備考: 本セミナーは信州第三期先鋭領域研究拠点群社会データ研究拠点との共催となります。