
長野県の産業界と信大・行政が共に未来領域と位置づける「メディカル産業」を総合支援
医療・医学と製造業の間に、未来に向けた橋を架ける「信州メディカルシーズ育成拠点」が3月8日、松本キャンパスの旭総合研究棟に開設された。
・・・・・信大NOW63号(2010.6.4発刊)より
専門の医学関連の解析機器を整備し、〝地域の技術シーズに対する医学的エビデンスの立証〟を行うことが基本的目的。併せて医学部・附属病院・産学官 連携推進本部の協力の下に、メディカル領域への技術シーズの展開に不可欠な、倫理面や安全面での審査、薬事申請・保険収載、販路開拓等を総合的に支援す る。
「100年に一度」と言われる経済不況の下で、電子・素材・精密機械を中心とする長野県の産業界は、メディカル=医療分野への展開に大きな期待 を寄せている。高い精度と安全性が求められる医療機器は、その製造に高度な技術性が必要で、日本のモノづくりの技が活かせる最後の領域とも言われている。
また、健康に良い影響を与える食品の機能性の研究は食品産業の前途を切り開くものであり、ソフト面・ハード面を併せ持つ健康産業は、停滞する産 業界の救世主になりうると注目されている。
こうした医療・医学の領域への地元産業の参入をサポートし、大学や地元企業で開発された新技術や新製品・新サービスを、医学的効果・安全性・現 場での実用性などの観点から検証・ブラッシュアップ、実用化することを目指す。
平成21年度補正予算で独立行政法人科学技術振興機構が公募した「地域産学官共同研究拠点整備事業」で採択されたもの。信州大学、長野県、長野県経 営者協会の産学官の3者が連名で提案した点に特徴がある。
旭総合研究棟を拠点に、今後、(1)メディカル産業への参入を目指す県内の機器関連企業との共同研究、(2)大学等での素材研究や微細加工技術 開発成果の、産学官連携よるメディカルへの応用、(3)大学などを中心とした新規医療機器の開発、(4)産学官連携による医学的エビデンスが立証された機 能性食品の開発、(5)メディカル領域でのビジネスを目指した地域のベンチャー企業の創生、(6)産学官プラス民の連携による健康寿命の延伸に関する研究 開発―等を行う。
開設の8日には、旭総合研究棟正面に新たに掲げられた「信州メディカルシーズ育成拠点」の看板の除幕式の後、開設記念シンポジウムも行われた。
文部科学省 科学技術・学術戦略官付 地域研究交流官の西村文彦氏は、地域における科学技術振興について」と題して、「地域」とは「イノベー ションを創出するために適切な一定の圏域」のことを差し、「地域の元気の上に国の活力は成立する」と話した。
育成拠点の現場の先頭に立つ、信州大学産学官連携推進本部杉原伸宏講師が拠点の概要説明をしたのち、実際にメディカルシーズ開発に関わった人々 が壇上に立ち、地域における3つの事例を紹介。
カーボンナノチューブを含有する人工関節を開発した医学部斎藤直人教授。糖尿病治療用インスリン注射の注射器の針で起こる医療事故を防ぐために 簡易で安全な針回収機の開発に携わった附属病院の高橋良恵看護師。就寝中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症の疑いがある患者の呼吸を、ベッドなどに拘束するこ となく自然に計測することのできる装置を開発したGAC株式会社の新空調事業部商品開発室窪田茂男次席部員―らが、開発のきっかけや苦労話を語り、参加者 は真剣に聞き入っていた。
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