オンリーワンの魅力あふれる「森」。ビジョン2015・アクションプラン

信州大学は、著しい変貌を見せる近年の社会状況の中で、国内外の動向を展望し、「理念と目標」をもとに「信州大学ビジョン2015」を取りまとめ、今般このビジョンの実現を目指してアクションプランを策定しました。
(2008年にビジョン2015を作成し、翌年アクションプランを作成、2015年まで実施しました。)
本学は、大学を取り巻く内外の厳しい環境を飛躍への機会としてとらえ、歴史と立地条件を活かし、信州ならではの我が国唯一の教育研究領域を開拓します。
個性豊かな学部が協働し、総合力と相乗効果を発揮させ、教育研究にキラリと光る特色をもたせ、地域とともに成長し、世界へ飛翔する"オンリーワンの魅力あふれる地域拠点大学"をめざします。

未来の社会を展望した有為な人材教育の実践

高等教育を享受する者に期待されているのは、豊かな人間性と諸々の高度な知的技術的能力を身につけることにあります。また大学の教育は、「豊かな自己実現をめざす高度な能力の獲得」という学生の個人的要請に応えるのみならず、「持続可能な発展をめざす社会の担い手としての人材の育成」という今日の高等教育機関に課せられた社会的要請に応えるものでなければなりません。
信州大学は、学生の視点に立ち、その自己実現を支援し、優れた社会的課題解決能力などの人間力と豊かな人間性を備え、社会で指導的役割を果たしうる人材を育成することを教育の中軸とします。そのために信州大学は自らの理念と目標に立ち、構成教職員の有する多様で豊かな教育力と信州の自然、社会、歴史、文 化などの環境を最大限に活用して教育活動に努め、特に信州のフィールドを活かした"環境マインド教育"や"体験型教育"など独自の人間力養成教育を強力に推進します。
また、信州大学の教育においては、最新の情報通信技術(ICT)の積極的な活用(キャンパス間ネットワーク)など教育実施体制の整備充実に取り組みつつ、学生の修学支援を最大限行います。

1: 真理の探究による知の創造の成果に基づく教育の実践
 
  • 人類の知と文化創造の歴史に関する理解を深め、それを自らの力とする教育課程を編成し、実施する。
  • 社会人としての基礎的、実践的能力を涵養する教育を推進する。
  • 環境マインド教育を推進する。
  • 信州の自然、地域の特色を活かした教育を推進する。
  • 時代の変化を見据えつつ、教育課程を不断に見直す。
2: 地域社会および国際社会で活躍できる高度専門人材の育成
 
  • 大学院を軸に地域社会および国際社会で活躍できる語学力、情報収集・分析能力を備えた高度専門人材を育成する。
3: 生涯学習の支援と社会人再教育
 
  • 県内自治体および教育機関等との生涯学習ネットワークを構築する。
  • 生涯学習ニーズに応えた社会人向け教育コースを整備する。
4: 入学者受入方針に即した学生の受け入れ
 
  • 多面的な評価を重視しつつ、学生の受入れ方法を不断に見直す。
  • 大学、学部、研究科の魅力を明示する。
  • 地域社会や産業界の要請に柔軟に対応するため、カリキュラムを不断に見直し、社会人の受入れを促進する。
  • 国際化時代に対応し、外国人留学生の受入れを促進する。
5: 教育の「質」の保証
 
  • 学士、修士、博士課程において学位授与方針に沿った教育課程を構築し、不断に点検評価する。
  • 学位の国際通用性の確保を重視した教育課程を構築する。
  • 教育者としての大学教員の資質を高める教育プログラムを体系的に実施する。
6: 教育実施体制の整備充実
 
  • 社会が求める人材育成に応じる教育機能の強化のための検証を行い、これを踏まえて教育実施組織を見直す。
  • 教育力の向上のために県内外および諸外国の大学との連携を推進する。
  • 学生の視点に立った総合的な支援を行う。
  • 教育の場としての寮を整備する。
  • 学生の留学や教職員の海外派遣、留学生や海外からの研究者等の受入れのための体制・環境を整備する。

地域に根ざし世界に拓く研究拠点の形成

信州大学は、人類の知のフロンティアを切り拓き、自然との共存のもとに人類社会の持続的発展をめざした独創的研究を推進し、その成果を広く提供することにより、地域と世界に貢献します。

また、研究者を大切にし、若い才能をひきつける研究環境を築くことを目標に、長期的視野に立った基礎研究を着実に推進するとともに、地域に根ざした我が 国唯一の研究分野、世界的教育研究拠点をめざす分野の研究を推進します。

本学の研究の特色と今までの実績を踏まえ、重点分野への集中を図り、ファイバー工学、ナノテクノロジー、ものづくり、健康と長寿、高度先進医療、機能性 食料、山岳科学(里地・里山を含む)などの分野の優れた研究、さらに地域に根ざした新たな分野として地域ブランド、イノベーション・マネジメントなどの分 野の研究を推進します。併せて、これを基盤に優れた人材を育成し、新たな「知」を生み出すことにより、象徴的世界的研究拠点を形成します。

1: 長期的視野に立った基礎研究の推進
 
  • 教員の自由な発想に基づく研究を推進し、多様な知の蓄積と革新をもたらす。
  • 長期的視野に立った学問分野横断型の研究プロジェクトに挑戦する。
  • 国内外の大学、研究機関などとの連携により、特色ある研究拠点の形成を目指す。
2: 信州の自然や生活環境に根ざしたモデル研究の創出と世界展開
 
  • 地域に根ざした研究を基盤に国内外の研究拠点への展開を図る。
  • 地域の特性を活かした健康で豊かな社会の形成に貢献する研究を推進する。
3: グローバルな教育研究拠点の形成とネットワークの構築
 
  • 世界最高水準の教育研究拠点を形成する。
  • 国内外の優れた研究機関と協働し、研究推進において世界的リーダーシップを発揮する。
  • 世界トップレベルの研究者を受け入れる。
  • 若手研究者が研究に専念できる環境を整備する。
4: 学内高度研究特区などの設置を通じた研究推進
 
  • 産学官協働による地域活性化のための特区を整備する。
  • 大型競争資金の獲得による拠点形成など、研究優先組織の特区を整備する。
5: 「知的財産」の重視と円滑な「知的創造サイクル」システムの構築
 
  • 多様な知的財産の発掘から活用までを円滑に機能させる仕組みを構築する。
  • 知的財産に係る専門的人材を育成する。
6: 研究環境の整備
 
  • 施設マスタープランおよび設備マスタープランに沿って研究環境を整備する。
  • 他研究機関との連携を強化し、研究機能を補完する。
7: 研究資金の自立的獲得の支援
 
  • 資金獲得情報の収集・発信、申請手続きなどのサポート体制を一層充実する。
  • 地域産業界、地方自治体などとの共同研究、およびこれらからの受託研究受入をさらに推進する。

豊かな地域社会の創造に向けての協働と貢献

信州は、澄んだ空気、清い水、青い空など美しく多様性に富んだ豊かな自然環境の中で、各地域特有の歴史と文化・伝統を築き個性豊かな圏域を形成しています。

信州大学は、県内各地域でそれぞれ特色ある「知」の拠点としての役割を担って設立された伝統ある前身の高等教育機関を統合し設立された総合大学です。

信州にある唯一の総合大学として、県内全域への教育拠点づくりや地域のブランドづくり、街づくりなどにも積極的に関わっていきます。

これらの活動を通じ、信州を中心とした「知」の拠点として、地域と協働し、教育、文化、産業および健康・医療・福祉の基盤を支え豊かな社会の創造に貢献することによって、人々に信頼され、愛される大学として信州とともに発展していきます。

そのためには、大学が生み出した知識から革新技術や新産業の創出を通じて地域経済の活性化や人々の質の高い豊かで安全な生活の実現および魅力ある地域社会と文化の創造に協働します。

1: 信州を中心とした地域連携による、教育および文化の拠点としての機能強化
 
  • 知識、技術、情報、施設などの提供・発信を通し、地域の教育文化の向上に寄与する。
  • 地域の事情に精通したシンクタンク機能として地域の課題に取り組むなど、地域への貢献活動を積極的に行う。
  • 地域社会が多様な文化をもつ外国人と共生できるよう、その国際化を積極的に支援する。
2: 産学官連携強化による、産業振興と力強い地域経済構築への協働
 
  • 産学官連携により、地域の産業振興に寄与するプロジェクトを推進する。
  • 広域的産学官連携を深化・発展させ、地域イノベーションの創出に貢献する。
  • 産学官連携教育により、産業振興人材を育成する。
3: 高度な先進医療の提供、医療人の育成および健康増進のための地域システムの構築
 
  • 高度な先進医療を提供し、地域医療水準の向上に寄与する。
  • 地域医療機関との連携、協力を図りつつ、医学部および病院の特色を活かした医療人を育成する。
  • 健康で安全・安心な地域づくりのためのモデルを形成する。
4: 信大サポーターのネットワークづくり
 
  • 卒業生、在校生(保護者を含む)、地域住民によるサポーターのネットワークを充実する。
  • 開かれた「知の拠点」として知的情報を発信し、信大サポーターのネットワークをさらに拡充する。

社会環境の変化に柔軟に対応する大学経営の推進

本学は、大学を取り巻く社会環境が著しく変化する中で、学長のリーダーシップのもと「信州大学ビジョン2015」の達成に向けて効果的かつ効率的に取り組 んでいくため、教職員の意識改革に努めるとともに、広く内外の状況に目を向け、変化に柔軟に対応する自立的な大学経営を推進します。

また、地域社会の信頼に応え、その理解と支援のもとに経営基盤の強化とキャンパス環境の整備充実に努めます。

1: 社会的使命を踏まえた自立的な大学運営
 
  • 学長のリーダーシップによる戦略的な組織運営を行う。
  • 効率的な大学運営のため情報を共有し、活用する仕組みを整備する。
2: 財政基盤の強化
 
  • 戦略的な財務運営を推進する。
  • 外部資金や競争的資金の獲得を強化する。
  • コスト意識の徹底と費用対効果を考慮した効率的な運営を推進する。
3: 多様なニーズに応える人事システムと柔軟な組織の構築
 
  • 多様なニーズに対応できる柔軟性の高い人材や高い専門性を備えた人材を育成する。
  • 透明性、公平性の高い人事制度を整備する。
  • 国際性や専門性を備えた人材を登用するとともに、テニュアトラック制度を整備する。
  • 効率的な業務運営を推進するため、柔軟な組織編成を行う。
4: 病院経営の基盤強化
 
  • 広域の健康・医療システムの中核機関としての経営戦略を構築し、推進する。
  • 学外有識者、専門家などの参画により経営部門を強化する。
  • 増収および業務の効率化により、病院財政の健全化を図る。
5: ブランド・マネジメントの推進
 
  • 大学のブランド戦略を構築し、ステークホルダーを意識した広報活動を展開する。
  • 国内外に対する広報活動を強化する。
  • 学術情報などの情報基盤・メディアを整備する。
  • 説明責任および透明性の確保のための情報発信を積極的に行う。
6: 安全快適なキャンパス環境の整備
 
  • 各キャンパスの個性を大切にした整備を行う。
  • 現状資産を有効に利活用し、アメニティ(環境の心地よさ)を高めるための整備を行う。
  • 地域社会との連携・交流の推進に配慮した整備を行う。
  • 学生・教職員の参加によるキャンパスづくりを推進する。
  • エコキャンパスづくりなど、サスティナビリティ(持続可能性)の観点を重視した整備を行う。
  • 誰もが使いやすいキャンパスづくりを推進する。
  • 防災、防犯を考慮した安全なキャンパスの整備を行う。

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未来の社会を展望した有為な人材教育の実践
地域に根ざし世界に拓く研究拠点の形成
豊かな地域社会の創造に向けての協働と貢献
社会環境の変化に柔軟に対応する大学経営の推進