研究の目標と特色
信州大学の強みや特色である5つの分野からなる先鋭領域融合研究群を中心に、本学が進めるイノベーション創出に向けた研究をご紹介します。
研究に関する目標
人類の知のフロンティアを切り拓き、自然との共存のもとに人類社会の持続的発展を目指した独創的研究を推進し、その成果を地域と世界に発信し、若い才能を引きつける研究環境を築きます。
信州大学の特色ある研究領域を結集した
「先鋭領域融合研究群 」
今回の改組で3つの研究所と3つの特定領域研究拠点が設けられました。前者には先鋭材料研究所、バイオメディカル研究所及び社会基盤研究所が、後者には繊維科学研究所、山岳科学研究拠点及び航空宇宙システム研究拠点がそれぞれ該当します。研究所のミッションは、①世界の学術フロンティアを先導する。②データサイエンスを駆使し、未来社会の価値を創造する。③オープンイノベーションのプラットホームとなる。④次代の信州大学の屋台骨となり得る挑戦的新学術領域を創出する。となっており、特定領域研究拠点のミッションは、①将来に渡って維持、発展すべき特長ある研究を育む。②特定領域での研究を軸としたイノベーションを引き起こす。③信州大学の特色と強みを活かした教育プログラムの母体となる。④次代の信州大学を担う若手研究者を育てる。となっています。
新しい研究群では、第一期先鋭領域融合研究群での成果を生かし、世界最先端の研究グループと伍して戦えるよう、信州大学の特色ある研究を研ぎ澄まし、新たな融合研究領域の創造を目指します。
特別招へい教授制度について
グローバルな視野からの研究を更に前へと推し進めるため、海外から著名な研究者を特別招へい教授として招へいします。また、特別招へい教授を中心としたユニット(研究チーム)招へいも積極的に行います。信州大学の強みや特色を活かしながら、研究群の研究力を強化するとともに、研究指導等を通して学生の教育や若手研究者の育成にも参画し、世界的な教育研究拠点を目指します。
ライジングスター教員制度について
新しい学術領域の創成や新規コア技術開発を担うことのできる若手人材(ゲームチェンジャー)を育成し、研究群の中からイノベーションを起こすこと(タレントイノベーション)を戦略的に推進します。第一期先鋭領域融合研究群に引き続き、研究群所属の特に優れた若手教員にはライジングスター(RS)教員の称号を授与します。RS教員には、研究費支援や研究時間の確保等、高度研究専念を行う上での研究環境を確保するとともに、手当の支給、早期昇進の機会を与える等人事面での優遇を行います。
信州大学国際科学イノベーションセンター(AICS)を中核とする
「アクア・イノベーション拠点(COI)」
信州大学など研究機関が持つ革新的な炭素素材・繊維素材の研究成果と、長野県などの企業が持つものづくり技術を活かし、産学官連携で取り組むのが、最長9年間にわたる国家プロジェクト「世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献するアクア・イノベーション拠点(COI)」です。このプロジェクトは、信州大学、日立製作所、東レ、昭和電工、物質・材料研究機構、長野県が共同提案し、2013年10月に全国12か所(現在は18か所)の拠点の一つとして採択されました。
その活躍の中核施設となるのが、長野市若里の長野(工学)キャンパス内にある信州大学国際科学イノベーションセンター(AICS)です。ここでは、2030年に世界人口が80億人を超え、各地で水不足が予想される将来を見据え、「世界中の誰もが十分な水を手に入れられる社会」の実現を目指し、イノベーションを生み出す試みが着々と進められています。
大学の研究成果を地域に生かす産学官金融連携
「信州発」産業イノベ ーションの創出
環境・エネルギー材料、バイオメディカル、繊維・ファイバー、農学生命科学、地域ブランド...信州大学の研究領域のほぼすべての分野で、産学官、さらに金融機関との連携が加速しています。毎年300名超の銀行や自治体の職員が連携コーディネータとして研修を受け、地域企業のニーズと大学シーズとのマッチングを図る活動をしています。
医・工連携のライフイノベーション分野では、信州メディカルシーズ育成拠点に医学的解析装置を整備したほか、企業・団体からなる信州メディカル産業振興会を組織化しており、信州地域技術メディカル展開センターで、企業や医療関係者がひとつ屋根の下で研究を推進する理想的な体制が確立されています。
アグリイノベーション分野では、農業の6次産業化に向けた技術開発を図るとともに人材育成教育を行う「食・農産業の先端学際研究会」が農業団体や企業・行政等と農商工連携を推進しています。また、地域の企業・団体・行政機関並びに大学の連携により設立された「伊那谷アグリイノベーション推進機構」が中山間地域の課題解決を含めた農林畜産業等の活性化を目指し、活発に活動しています。
これら様々な産学官金連携の成果は、毎年「信州大学見本市」を開催し、地域・社会に広く還元されています。
"着るロボット"ロボティックウェア「curara®(クララ)」
繊維学部とモータや減速機メーカー等国内企業との共同開発。生活動作支援やリハビリテーション用途にも適した、非外骨格型 (骨格系を利用して関節の動きを補助するタイプ)構造が特徴の動作アシストスーツで、企業や福祉機関の注目を集めています。
近未来 体内埋め込み型歩行アシストサイボーグプロジェクト
日本初の医学・工学・繊維学分野の連携研究として、先鋭領域融合研究群の4つの研究所が参加する最先端のプロジェクト。難病などで歩くのが困難な人のため、ロボティックウェア「curara®(クララ)」の技術をベースに、装置や非接触充電バッテリーを小型・軽量・高性能化し、骨髄内釘手術を応用して脚などに埋め込むサイボーグ技術を開発しています。
Walking Assist Cyborg (Image)
展示会「信州大学見本市」
信州大学の研究シーズや成果を、広く企業や団体に紹介し、産学官金融連携を推進する展示会を大学独自で開催しています。研究者がブースを構え、プレゼンテーションステージにも立ちます。またこの催しには、学内の研究者間の連携や、学生を研究者に育成する効果も生まれています。
信州大学連携コーディネータ研修
研修を受けられた金融機関や自治体職員の方々に、「信州大学連携コーディネータ」を委嘱しています。豊富な企業ネットワークを活かし、顧客の抱える事業課題や地域ニーズと大学の研究シーズのマッチングを図り、産業界や地域課題の解決、新たな産業創出を進めています。