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  1. 西村悠斗さんが2023 International Conference on Advanced Nano-Micro MaterialsにおいてSILVER POSTER AWARDを受賞
研究
2023年6月7日(水)

西村悠斗さんが2023 International Conference on Advanced Nano-Micro MaterialsにおいてSILVER POSTER AWARDを受賞

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 令和5年5月15日、フロンティア応用科学研究棟・鈴木章ホールで開催された「2023 International Conference on Advanced Nano-Micro Materials」において、大学院総合理工学研究科 工学専攻の西村悠斗さん(修士課程2年)がSILVER POSTER AWARDを受賞しました。

 酸化物型全固体電池は、リチウムイオン電池に含まれる可燃性非水系電解液を不燃性の固体電解質に置き換えたもので、エネルギー密度や入出力密度、長期信頼性、安全性の面において、現行リチウムイオン電池の限界性能を大きく上回る可能性があります。世界で最も研究されている次世代蓄電池の一つと言えます。一方で、現在の技術では、現行リチウムイオン電池よりも基本性能に劣ります。リチウムイオンは固体粒子接点を介して移動するため、電極活物質粒子と固体電解質粒子界面、あるいは粒界における原子レベルの接点の形成がリチウムイオン拡散性を支配しますが、酸化物系固体電解質のイオン伝導率は結晶構造と原子配列により最適化されるため、結晶構造の崩壊や原子配列の乱れ、夾雑相の形成を伴う異相界面や粒界では、バルク領域と比べて、イオン伝導度が極端に低くなってしまいます。

 本研究では多元素化にともなう副格子の乱雑性の導入(ハイエントロピー化)による、高イオン伝導性の実現と粒界や異相界面構造の安定化による酸化物型全固体電池の高性能化に取組みました。結晶学的に等価なサイトに複数の元素を同時に導入することにより、固体電解質の結晶構造を維持したまま、原子配列を無秩序化し、格子ひずみや構造のゆがみに対応する柔軟性を高めることで、バルク領域と比較して原子配列変化の小さな準安定粒界や異相界面を形成できることを明らかにしました。なお、本成果はNEDO官民による若手研究者発掘支援事業(共同研究フェーズ)、ならびにJST-CREST「固液電気化学相界面の多階層構造制御」、科学研究費補助金基盤研究(A)「17H01322」 の助成を受けたものです。

 受賞演題は以下の通りです。
「The Effects of Multiple Elemental Substitutions at Zr site on the Grain Boundary Resistance for Garnet-Li7La3Zr2O12 Solid Electrolyte」
Yuto Nishimura, Shun Imai, Masayuki Nagamine, Nobuyuki Zettsu
(Shinshu University)