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  1. 3年目となった、信州大学×長野県CATV伝統野菜映像アーカイブスプロジェクト2023
社会連携
2023年4月4日(火)

3年目となった、信州大学×長野県CATV伝統野菜映像アーカイブスプロジェクト2023

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長野県では現在 79種類の「信州の伝統野菜」が選定され、そのうち51種類について49の生産者グループが伝承地栽培認定を受けていますが、生産が危惧される品種もかなりあることがわかっています。

2020年から信州大学と長野県ケーブルテレビ連盟(県下30局)による連携事業として、各地のCATV局が、地元伝統野菜の歴史や特徴を映像に収録、伝統野菜を研究する信州大学の研究者(農学部:松島憲一准教授〈信州伝統野菜認定委員会座長〉)が、それぞれの品種の学術的な解説を提供し、動画コンテンツにして情報発信することで、各地域の地域ブランドとしての訴求やシビックプライドの醸成にもつなげています。

今年度も新たに8種の伝統野菜映像コンテンツを制作しました。伝統野菜にまつわる郷土の歴史や伝統、関係者の思いをぜひご覧ください。

信州の伝統野菜⑰八町きゅうり(須坂市)

長さは20cm程度で、一般の胡瓜と比べ「ずんぐりむっくり」した形。見た目はゴツゴツしているが、皮が薄く肉厚でたねが少ないのが特徴。 昭和20年頃、長野県須坂市上八町の農家によって育種され、昭和30年代に絶大な人気を博したが、その後、果樹栽培の普及によって生産農家が減少。近年では、八町きゅうりを見直す動きが高まり、信州の伝統野菜として伝承していこうと「八町きゅうり研究会」が中心となって普及に尽力している。 収穫は7月上旬から9月上旬。そのまま丸かじりをして素材の味を楽しむほか、信州の郷土食「おやき」の具や、味噌づくりが盛んな須坂市ならではの「味噌漬け」も人気。

信州の伝統野菜⑱常盤ごぼう(飯山市)

飯山市常盤地区の千曲川河川敷周辺で栽培されているごぼう。 収穫は10月上旬から下旬にかけて行われ、大きいもので太さおよそ7、8センチ、長さは1メートルほどに成長するが、煮ると柔らかく、風味があり、灰汁が少ないのが特徴。 1800年代に江戸滝野川の「赤茎ごぼう」の種子が導入されたことが常盤ごぼうの始まりだといわれ、 郷土料理として常盤ごぼうの太煮が挙げられる。 昔は河川敷の辺り一帯がごぼう畑だったが、近年は常盤ごぼうの生産者の減少・洪水の影響により、河川敷から少し離れた場所で栽培しており、生産量の減少からこの地域周辺にした出回らない希少な伝統野菜となっている。

信州の伝統野菜⑲佐久古太きゅうり(佐久市)

佐久市の春日地区と志賀地区で昭和30年代以前から栽培されてきた。 一般的なきゅうりに比べ太いことや冷涼な気候でも大きく育つこと、また、パリッとした食感が特徴。粕もみで食すことが伝統的で収穫は7月下旬から10月にかけて。 飛び成りと呼ばれる育ち方をするため全体の収穫量が少なく、佐久市内の直売所や特定のスーパーマーケットでのみ購入することができる。 テレビで取り上げられる機会が増え、徐々に知名度を上げてきている佐久古太きゅうりだが、それには普及活動などを進める保存会の影響が大きい。 近年は、地元レストランと協力し、新たなレシピを教える料理教室などを開催している。

信州の伝統野菜⑳ひしの南蛮(小諸市)

「ひしの南蛮」は、小諸市菱野地区の特産品として知られるトオガラシの一種。 一説では、昭和18年頃に朝鮮から帰国した人のポケットに入っていた種を蒔いたのが、栽培の始まりだといわれている。そのころから現在まで、交配を避けるために専用の畑で栽培されてきた。 成熟する前に収穫するため、果肉が薄くて柔らかく、種やヘタまで全部食べることができるのが特徴。 7月初旬から10月頃まで収穫されるが、7月から8月にかけての時期が一番の食べごろだ。 食べ方は様々楽しめ、ふくめ煮や天ぷら、素揚げなどにして食べるのが一般的。

信州の伝統野菜㉑稲核菜(いねこきな)(松本市)

松本市安曇稲核地区に古くから伝わる特産の漬け菜。およそ300年前に飛騨地方から持ち込まれたものが稲核地区に定着したといわれている。 収穫は11月中旬から12月初め頃。霜にあたり葉が赤紫色に変わると収穫の合図。 野沢菜に比べ草丈が短く、根の部分のカブは大きめ。茎には繊維質が多く歯ごたえがあるのが特徴。霜にあたると甘みが増し、漬け菜の絶品と言われている。また、カブもわずかな辛みがあり美味しい。 かつては松本平一円で広く栽培されていたが、現在は地区の各家庭で自家消費用に栽培されるだけになっている。 地区の人口減少や高齢化により、作り手がいなくなることが心配されるが、同地区で道の駅「風穴の里」を運営する「稲核生産者組合」が、在来品種を守り将来へつなげるため、栽培し種を採っている。

信州の伝統野菜㉒松本一本ねぎ(松本市)

松本市筑摩を中心に約300年前から栽培され、かつては将軍家にも献上されていた。 一般的な白ネギと違い、太く曲がっていることが特徴で、甘みがあって柔らかい。 夏に手作業で植え替えを行い、冬に収穫する。贈答品として重宝されてきたため、県外からの人気が高いが、地元の小学校の授業で取り上げられたり、自動販売機で「松本一本ねぎ餃子」が販売されたりするなど、地元の人にも親しみのある伝統野菜になっている。

信州の伝統野菜㉓親田辛味大根(下條村)

下伊那郡下條村親田地区で古くから栽培されてきた品種。現在は、村内全域で栽培されている。 起源は定かではないが、江戸時代「尾張徳川家に献上された」という記録が残っているため、300年以上栽培が続けられていると推測できる。形は蕪のような丸形。味は、鮮烈な辛さの中にほのかな甘みがあるのが特徴で、おろし大根として食されることが多い。特にソバとの相性は抜群で、全国のソバ屋から注文が入る。

信州の伝統野菜㉔大鹿唐辛子(大鹿村)

昭和30年代以前から、下伊那郡大鹿村大河原地区で自家採種を繰り返し栽培されてきた品種。平成23年の「大鹿村・食の宝探しプロジェクト」で、その存在が確認された。地域内では、伝統的に唐辛子味噌に加工されて食されているほか、近年では、大手七味唐辛子メーカーに出荷もされている。果実は長さ約10cm、幅約1cmの長形。辛味は、一般的な唐辛子「鷹の爪」と同等で、旨味もあるのが特徴。