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  1. 大気からの酸素の分離速度を2000倍に...革新的空気分離の発表
研究
2018年5月17日(木)

大気からの酸素の分離速度を2000倍に...革新的空気分離の発表

 信州大学先鋭領域融合研究群 環境・エネルギー材料科学研究所 金子克美特別特任教授とフェルナンド バイエホス ブルゴス研究員は、酸素分子より小さなナノメートルサイズの窓、「ナノ窓」(ナノウィンドウ)という新概念を発表。この「ナノ窓」があるグラフェンは、大気からの酸素の分離速度を現状より2000倍にできることをつきとめ、平成30年5月15日記者会見を行いました。
 大気は人類の生存上大切な資源。有用な酸素、窒素、アルゴンなどを大気から高効率で分離できると、エネルギー効率を増大させて大幅に二酸化炭素排出量を削減でき、医療や食品産業などにも更に広く応用されるようになります。
 炭素原子一層からなるグラフェンに酸素分子程度の大きさの「ナノ窓」をつけると、これら三つの気体を選択的かつ極めて迅速に分離できることを理論的に予測、ナノ窓には酸素と水素原子を含む窓枠があり、その窓枠が協奏的に動いて酸素分子を優先的に透過・分離できる機構を明らかにしました。このナノ窓のあるグラフェンを分離膜として使うと、既存の分離技術の酸素分離速度の2000倍を実現することができ、革新的な空気分離技術になると期待できます。
 また、今後、グラフェンに0.3~0.4nm程度のナノ窓を制御して創製する技術を確立できると、産業界でのエネルギー削減に留まらず、医療現場や家庭でさえ容易に使える酸素リッチの空気を簡便に作り出せるようになります。
 本研究成果は、イギリスの科学誌「Nature Communications」電子版に2018年5月4日付で掲載されました。

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記者会見を行う、信州大学環境・エネルギー材料科学研究所 金子克美特別特任教授(左)とFernando Vallejos-Burgos(フェルナンド バイエホス ブルゴス)研究員(右)

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「ナノ窓」を窒素分子が通過するイメージ(CG)