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平成25年度 放送公開講座

ごあいさつ

信州大学は「地域に根ざし、世界に拓く」を標榜し、地域の「知」の拠点として、信州の歴史や文化、自然や気候風土に根ざした特色ある先進的研究成果を広く国内外に発信しています。そして、地域社会への教育貢献の推進のため、地域と連携して公開講座や出前講座、市民開放授業、放送公開講座などを実施しております。こうした活動実績等が認められ、日本経済新聞社が実施した2013年大学の地域貢献度ランキング調査で、昨年度に引き続き、全国1位という評価をいただきました。地域再生の核となる大学として、これからも信州にしっかりと根を張る「知の森」を築いてまいります。

さて、信州大学放送公開講座は、創立50周年を機に平成11年度より開始し、本学の教育、研究内容を広く公開することを目的に、毎年放映しております。総合大学の特色である多様な研究内容を、映像を通して視聴者の皆さんにわかり易くお伝えする番組として好評を得ております。平成25年度は「信州「知の森」が拓くエネルギーの近未来~エコ生活のヒントあります~」と題して、"エネルギー"をテーマに、信州の環境や現状を踏まえながら、様々な視点でエネルギー関係の最先端分野に焦点を当て実施いたします。
この放送公開講座をぜひご覧いただき、信州のエネルギー、環境について皆様で考えるきっかけとなれば、また、本学へのご理解をさらに深めていただければ幸いです。視聴後は、今後のより良い企画のためにも本講座に対するご意見、ご感想をお寄せ下さいますようお願いいたします。

信州大学理事(産学官・社会連携、国際学術交流、情報担当)
三浦 義正

平成25年度放送公開講座
「信州「知の森」が拓くエネルギーの近未来~エコ生活のヒントあります~」

信州大学動画チャンネル(You Tube)でも番組を公開しております。

パンフレットはこちら

平成25年度放送公開講座詳細

第1回 1月26日(日)15:00~15:30

エネルギーの地産地消社会へ ~地域で見つめる水エネルギー~

  • 地域戦略センター
    林 靖人 准教授

東日本大震災以降、自然エネルギー、とりわけ日本が他国にアドバンテージを持つ"水エネルギー"が注目を集めています。しかし、その導入には、技術力はもちろん、社会・地域の創出が不可欠です。経済や法制度、コミュニティ・ルールとしての観点など、使う人たちが、新しいエネルギー利用社会をイメージできることが重要になります。もともと信州は"水の里"であり、水に活かされて地域が創られてきました。水エネルギーの導入は、工学系・理学系の技術と共に、人文・社会科学系の研究のノウハウを使うことで、地域社会の人々が持つニーズに正しく応えることができます。また、地域の将来を見据えた取り組みが可能になります。栄村における小水力発電導入までの経緯を中心に、エネルギーの地産地消社会を構築するための課題やプロセスについて考えます。

第2回 2月2日(日)16:00~16:30

再生可能エネルギーとしてのバイオマス利用の未来

  • 工学部
    天野 良彦 教授

バイオマスは現在ではバイオエタノールやBDF(バイオディーゼル燃料)でも利用されてきており、世界的に見れば利用が進んできています。すでに固定化されたエネルギーなので安定的で、出力のコントロールなども太陽光などと比較しても容易なことが特徴ですが、生産にあたっては食糧と競合していて課題も多く、第2世代のバイオマスを使用することが重要になってきています。長野らしい技術の一つの可能性としてきのこの技術を使った未来型の小規模かつ省力エネルギー生産があげられます。キノコの菌のバイオマスの分解能力とキノコの持つアルコール発酵能力を組み合わせることで、自然にアルコールになる夢のような技術を作ることができます。将来的には、各家庭にこの装置を置いて、蛇口をひねるとアルコールが出てきたり、または燃料電池と合わせると発電と給湯を行うといった将来像を示します。

第3回 2月9日(日)15:00~15:30

太陽からの贈り物 人工光合成で新エネルギーの開発

  • 農学部
    伊原 正喜 助教

ソーラー発電に代表される太陽エネルギーの活用ですが、今太陽光から新しいエネルギーを作ろうという研究が進んでいます。中学校の理科で、「光合成」とは植物が太陽光エネルギーを使って、二酸化炭素と水から炭水化物を合成し酸素を放出すると勉強しました。人工光合成によって、太陽から新しいエネルギーを作り出す研究の最前線を紹介します。
光合成によって作られる炭水化物などグルコースは、バイオエタノールに変換することで燃料として利用出来ます。ところが自然界には、光合成によって重油と同じ成分を作る藻があります。既に藻類燃料として注目され、実用化に向け世界中で研究が進んでいます。さらに21世紀のエネルギー源である水素。太陽光から光合成微生物を利用して、プラチナなどの希少金属を使うより効率的に水素を生産する研究についても取り上げます。

第4回 2月16日(日)15:30~16:00

グリーン自動車の心臓部 スーパーキャパシタと燃料電池

  • 繊維学部
    杉本 渉 教授

「ナノ材料から大きなエネルギーを生み出す」をキーワードに、スーパーキャパシタや燃料電池の材料研究を紹介します。グリーン自動車として期待される電気自動車と燃料電池車ですが、前者は航続距離が短く、後者はまだ高額です。電気自動車の場合、大量にエネルギーを貯められる革新的な次世代蓄電池が必要になります。私達が開発しているスーパーキャパシタは急速充電性と蓄電池の大容量性の特長を活かしたハイブリッド蓄電デバイスで、実用化されれば短時間の充電で長距離走行も可能になります。一方、燃料電池車は1回の充填で長距離走行は可能ですが、その性能を実現するには多量の白金触媒が必要でコストダウンの足枷となっています。「ナノシート」という新しいナノ材料を使用して白金触媒の性能を高める技術や新材料開発を進めることでその問題が解決できます。蓄電池や燃料電池が切り開くグリーンイノベーションを考えます。

第5回 2月22日(土)13:30~14:00

エコに暮らすヒント~信州の省エネ住宅を考える

  • 工学部
    高木 直樹 教授

長野県が公表している温室効果ガス排出量の内訳を見ると、全国平均に比べ、産業部門が少なく、民生(会社や店、住宅)部門の割合が大きいという特徴があります。これは夏暑く、冬寒いという気候による特性であり、建物の省エネ化を進めることで対策が検討されています。
では、「省エネ住宅」とはどんなものでしょうか。ひとつの考え方として、冷暖房のエネルギー消費量が少ない、すなわち断熱性、気密性が高く、冷暖房の効率が良い住宅に着目します。「省エネ住宅」と、そうではない「従来型」の住宅では何が違うのかを、実際の住宅をおとずれて検証します。同一室内の温度差、部屋と部屋との温度差、時間帯による温度差などの様々な「温度差」という点からサーモカメラを使い、分かりやすく比較します。また新築以外にも、省エネのためのリフォームや、簡単にできる一工夫なども紹介します。

第6回 2月23日(日)15:00~15:30

環境デザインと地域再生 スモール・イズ・ビューティフル

  • 農学部
    上原 三知 助教

自然に恵まれながらも少子高齢化が進む信州で持続可能な社会をどのように創るべきか、英国の過疎地域にある世界最初のエコビレッジCAT(Centre for Alternative Technology=代替技術センター)を事例に考えます。CATの取り組みは逆説的ですがエネルギーの無制限消費(足し算)ではなく、いかに無駄なエネルギーを使わないか(引き算)という取り組みです。地域環境を最大限に活かし、太陽光や小水力などの地域に適した小さなシステムだけで快適に過ごす代替案を視察や体験に訪れる年間10万人の市民に示しています。今回はCATの環境共生技術と農村の伝統的な知恵との共通性を探り、信州型エコビレッジのモデルになりうる飯田市の「NPO法人いいだ自然エネルギーネット山法師」のエコ体験施設、急傾斜地で太陽光を最大限に活かす飯田市上村下栗集落の気候景観などを紹介します。地域デザインの観点から環境やエネルギー活用を考えます。

過去の放送公開講座

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研究推進部産学官地域連携課
FAX:0263-37-3049