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平成21年度 放送公開講座

ごあいさつ

信州大学は地域の「知」の拠点として、その研究成果を地域社会と連携して社会に還元することを目標の一つに掲げ、公開講座、出前講座、市民開放授業などを実施しています。放送公開講座は、創立50周年を機に平成11年度より開始し、本学の教育、研究内容を広く公開することを目的に、毎年テーマを変えながら放送しています。総合大学の特色である多様な研究内容を一つのテーマにまとめ、映像を通して視聴者の皆さんにわかり易くお伝えし、好評を得ております。第11回の本年度は「青少年の健康を守る~生活習慣病の予防を目指して~」と題し、6回シリーズで放送します。

近年、生活習慣病あるいはメタボリックシンドロームが社会的問題とされ、とりわけ生活習慣病の低年齢化が注目されております。生活習慣病の発生と関係の深いライフスタイルは小児期に形成されることを考えると、小児期から子どもとその家族に対して予防的介入をすることは重要な課題であります。信州大学医学部では、青少年の生活習慣病予防ならびに健康増進の教育プログラムを作成し、生活習慣を反映した学校健診を行う目的で、県内の中学校、大学で生活習慣の調査研究を実施しております。さらには、学童・小児、青少年の生活習慣病の現状を知り、青少年の健康管理や健康づくりに貢献することを目的として「青少年のメタボリックシンドロームを考える」研究会を結成し、学術講演会、市民公開講座、出前クリニックなどの社会活動を行っています。

本講座では、医学部保健学科の活動を中心に、青少年を対象とした生活習慣病の調査研究結果、出前クリニックなどの社会的取り組み、小児肥満及び脂肪肝の生活習慣との関連について、健康診断データの解説、小児生活習慣病の調査結果から食生活の実態と問題点ならびに適切な食生活習慣を育む「食育」について、生活習慣の改善に欠かせない運動とは、さらには妊娠と生活習慣病の関連についてわかりやすくご紹介いたします。

この放送公開講座をぜひご覧いただき、本学へのご理解をさらに深めていただければ幸いです。今後のより良い企画のためにも本講座に対するご意見、ご感想をお寄せ下さいますようお願いいたします。

信州大学理事(研究・財務・産学官連携・国際交流担当)
三浦 義正

平成21年度放送公開講座
「青少年の健康を守る ~生活習慣病の予防を目指して~」

パンフレットはこちら

平成21年度放送公開講座詳細

第1回 平成22年1月23日(土)

「今なぜこどもの生活習慣病が注目されているか?」

担当講師
医学部
本郷 実 教授
附属病院長
小池 健一 教授

最近私たちは、長野県内で急性心筋梗塞、狭心症を発症した若年者(20-40歳)虚血性心疾患患者の発症危険要因の調査を実施した結果、最も重要な発症因子は肥満、特に小児期肥満であることを認めました。そこで、青少年の生活習慣病予防ならびに健康増進の教育プログラムを作成し、生活習慣を反映した学校健診を行う目的で、県内の中学校、大学で生活習慣病の調査研究を実施しています。その結果、肥満、脂質異常症、空腹時高血糖、高尿酸血症など生活習慣に関連した項目の異常、鉄欠乏性貧血、不規則な食生活、運動習慣の欠如が高率に認められました。青少年の生活習慣病予防活動には、家族や地域住民と連携した健康教育、食育、効果的な運動などの啓発活動が必要と考えられ、医療チームで出前クリニック、出前授業などの社会活動を実施しています。この講座では、それらの調査結果、社会的取り組み、予防を中心とした生活上の注意点についてご紹介いたします。

第2回 平成22年1月30日(土)

「小児肥満・脂肪肝と脂肪肝炎」

担当講師
医学部
鶴田 悟郎 医員
医学部
田中 直樹 助教
医学部
市川 元基 教授

我が国の全国データで肥満度20%以上の児童の割合を小・中学校各学年別で調べてみると、それぞれの年代で男女ともに増加傾向があり、特に中学校1年生の肥満の割合が約9人に一人 と最も多く、40年前に比べると3倍以上となっています。近年はその増加に一定の歯止めがかかっているとの報告もありますが、肥満の児童・生徒の割合が都市部で減少していても地方では増加していたり、健康に留意しようと生活習慣の見直しができたご家庭とまだこれからのご家庭があるようです。そうした二極化が進んでいるとすれば、まだまだ安心はまだできません。今回のテーマでは、肥満の増加・肥満の分類・肥満の成因・肥満の治療について、スライドやグラフ等をもちいて解説します。
生活習慣の変化に伴い、メタボリック症候群や肥満が増加しています。同様に、肝機能異常の原因として脂肪肝の割合が多くなってきています。脂肪肝は症状もなく軽く見られがちな病気ですが、糖尿病や動脈硬化とも関連しており、肝硬変や肝癌に進行する場合もあります。また最近では小児でも脂肪肝を指摘されることがあり、決して大人だけの病気ではありません。今回は脂肪肝の基礎知識、生活習慣との関連について紹介いたします。

第3回 平成22年2月6日(土)

「健診データを知って楽しく健康家族」

担当講師
医学部
日高宏哉 准教授
医学部
寺澤文子 准教授

健康診断では、身長や体重などの身体検査と血液や尿に含まれる成分や濃度を測定する血液・尿検査がありますが、その項目に正常・異常のマークがついてくるだけで、内容の説明が十分でありません。そこで、今回のテーマでは、【1】健康診断で血液・尿検査がなぜ必要なの? (検査の意義)【2】血液・尿検査で何がわかるの?(検査の内容) 【3】検査はどのように行われているの?(検査の実施)【4】検査の結果はどのように見るの?(検査結果の判定)【5】受け取った検査結果はどうすればいいの?(検査結果の解釈と対策) 【6】生活習慣病、メタボリック症候群は子どもには関係ないの?(疾患と検査)【7】楽しく健康家族!(食生活や日常生活と検査)等について、紹介と解説を行います。

第4回 平成22年2月13日(土)

「食生活習慣と生活習慣病・長野県中学生の実態と予防への取り組み」

担当講師
医学部
阪口しげ子 教授
松本大学人間健康学部
廣田直子 教授
長野県松本保健福祉事務所
飯澤裕美 主査管理栄養士

近年、生活習慣病予備軍の低年齢化が注目されています。生活習慣病の発生と関係の深いライフスタイルは小児期に形成されることを考えると、小児期から子どもとその家族に対して、予防的介入をすることは重要な課題であります。私たちは2004年から長野県内(3中学校)の生徒を対象に、生活習慣の質問紙調査とともに、身体計測、腹囲・血圧測定、血液生化学検査を実施してきました。その結果、小児生活習慣病には食生活の関連が最も大きいことが認められ、予防にむけて中学校への"出前クリニック"などを実施し、子どもとその親を対象に食生活・栄養に対する改善と指導に取り組みはじめております。本講座ではその調査結果と取り組み状況を紹介いたします。
1)小児生活習慣病の調査結果から、中学生の食生活の実態と問題点を検討します。
2)食生活・栄養に対する改善と指導の取り組み状況を紹介し、適切な食生活習慣等を育む「食育」について説明します。

第5回 平成22年2月20日(土)

「運動って本当に良いの?・どの様に運動すれば良いの?」

担当講師
医学部
大平雅美 教授
医学部
阪口しげ子 教授

近年、生活習慣病あるいはメタボリックシンドロームが社会的問題とされ、その対策にはまず食事、運動や睡眠などの生活習慣改善が大切だと言われています。本屋さんにはこれらの解説書が山積みされています。ただ、いざ自分自身あるいは家族に生活習慣改善が必要な時になったとき、運動について難解なもの、一見分かりやすそうでも具体的にはピンと来ない解説書も見受けられます。そこで、本講座では、【1】運動とは?体力とは? (運動・体力の簡単な定義)、【2】運動は生活習慣病の予防に役立つの?(運動の基本的役割,効果)【3】 どのような運動が良いの?(運動の種類)【4】どのように決めるの?(運動処方;強度,時間,頻度) 【5】大変そうだけど?(運動負荷試験) 【6】元気な人でも運動負荷試験をするの? (簡単な運動負荷試験の紹介)【7】いつでも,どこでも,誰にでも (運動を続ける工夫)等について概説し、ワンポイントアドバイスを行います。

第6回 平成22年2月27日(土)

「妊娠と生活習慣病」

担当講師
医学部
金井誠 教授
医学部
坂口けさみ 教授

生活習慣や加齢が与える体への負担に耐えられなくなると生活習慣病(高血圧・糖尿病など)が発症するといった考え方と同様に、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病は、妊娠が体に与える負担に耐えられなくなった妊婦さんに発症する可能性があり、妊娠中の生活習慣病のような疾患ともいえます。分娩後に軽快しても、将来高血圧・糖尿病を発症するリスクが高いのです。今回のテーマでは、妊婦にも赤ちゃんにも重大な影響を与える「妊娠高血圧症候群」と「妊娠糖尿病」について、病態や合併症、発症の予防などを概説します。また、最近注目されている「成人病胎児期起源説」とは、小さく産まれた赤ちゃんは将来生活習慣病(肥満、高血圧、糖尿病、心臓病など)になりやすい可能性があるというもので、最近の若い女性のやせ願望や低出生体重児の増加などから心配されているものです。『小さく産んで大きく育てる』は間違いであったというお話も紹介します。

放送公開講座に関するご意見・ご感想

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研究推進部産学官地域連携課
FAX:0263-37-3049