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研究ハイライト

  1. 理学部の教員・大学院生がLHC加速器を用いた素粒子物理学の実験「アトラス実験」に参加
注目の研究
2018年3月26日(月)

理学部の教員・大学院生がLHC加速器を用いた素粒子物理学の実験「アトラス実験」に参加

 アトラス実験はCERN研究所(ジュネーブ)が開発した世界最大のLHC加速器を用いた素粒子物理学の実験です。
 信州大学理学部の2名の教員(竹下徹教授・長谷川庸司准教授)と大学院生が参加しています。この実験は、陽子と陽子を世界最高エネルギーで衝突させ、宇宙のはじまりを人工的に作り出し、研究しています。
 最近の大きな成果は、宇宙の物質が質量を持つことの説明を与える粒子である、ヒッグス粒子を発見したことです。これによりヒッグス粒子を理論的に予言した、アングレール博士とヒッグス博士が2013年のノーベル物理学賞を受賞しました。

atlas1.jpg

図1:ヒッグス粒子の事象候補(Copy right: ATLAS)

 図1の事象は、陽子・陽子衝突により生成されたヒッグス粒子が2つのZ粒子(弱い力を伝える重い中性ボソン)に崩壊し、さらにZ粒子がそれぞれ2つのミュー粒子と反ミュー粒子に崩壊したと考えるとつじつまが合います。信州大学などのグループが担当する陽子の入射方向に近いミュー粒子用トリガーシステムがZ粒子の崩壊からのミュー粒子を捉えていることがわかります。

atlas2.jpg

図2:建設中のアトラス実験装置(Copy right: CERN)

 図2の装置は、高さ20mの円形で畳大100枚の装置の組み合わせで構成されています。この装置は、中央の青い円筒を陽子が走り衝突して、生成された粒子のうち貫通能力の高いミュー粒子の通過位置を測定し、アトラス実験全体に有意義な事象の発生を知らせます。信州大学など国内の研究機関とイスラエルの研究機関により、開発、製造され現在も運用されています。
 LHC加速は、陽子・陽子衝突の頻度を今後3倍に増強し、ダークマターなどの発見に主力を移していく予定です。