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卒業式 学長告辞

平成30年度卒業式・学位記授与式学長告辞 (2019年3月)

信州の山々は冬の様相を呈しているものの、春の兆しがそこここに見られ、旅立ちにふさわしい季節が到来したと感じております。本日ここに多くの皆様のご臨席を賜り、平成30年度信州大学卒業式・学位記授与式を挙行できますことは誠に喜びに堪えないところであります。

平成30年度信州大学卒業生の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。大学院修了生並びに学位を取得された皆さんにも心よりお祝いを申し上げます。また、本日まで立派にご子息・ご息女を育ててこられたご家族の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。

今、皆さんの胸中には、在学中の様々な思い出が去来しておられることだろうと拝察いたします。これまでには、楽しかったことばかりでなく、苦しかったこともたくさんあったことでしょう。それらを乗り越え、本日、卒業・修了・学位取得を迎えられましたことに対し、心よりお祝い申し上げます。

今日までのさまざまな思い出と新生活への希望を胸に、明日からはそれぞれの道へと旅立っていきます。これから新たな道へ歩んでいけるのは、これまでの皆さんの努力によることはもちろんですが、ご家族の方々をはじめ、諸先生方、学友たちといった多くの方々の温かい愛情と限りないお力添えのお陰だということをどうか忘れないでいただきたいと思います。それぞれの分野で学んだことを今後の人生に活かし、信州大学卒業生・修了生としての自覚と自信を持って今後の人生を送っていただきたいと思っております。

さて、信州大学では、現在教育組織の改組を順次進めております。平成27年度に理学部が、数理・自然情報科学科、物理科学科、化学科、地質科学科、生物科学科、物質循環学科の6学科体制から数学科2コース、理学科5コースの2学科7コース体制に、農学部が、食料生産科学科、森林科学科、応用生命科学科の3学科体制から農学生命科学科の1学科4コース体制に改組されました。理学部と農学部では、改組後初めての卒業生が巣立っていきます。新たな教育カリキュラムのもと勉学に励んだ卒業生の皆さんには、これまでに学んだことを十分に活かしていただきたいと願っています。

ところで、私事ですが、昭和34年(1959年)3月生まれの私は、60歳になったばかりです。昨年末に長野県経営者協会から会報「新春随想」コーナーへの執筆依頼がありました。年男・年女の方が執筆するコーナーで、今年は年男なのだとしみじみと感じた次第です。これまでの60年を振り返ったその内容をここでも紹介したいと思います。

60年というと、干支が一周したことになります。12年×5=60年で、これまでに5回の年男を経験したことになります。1回目の年男は生まれ育った神戸市で、2回目は東京工業大学の大学院生として東京都大田区で、3回目は信州大学助手の身分を有したまま客員研究員として留学していた米国ノースカロライナ州ローリー市で、4回目は信州大学教授として上田市で、そして、今回の年男は信州大学長として平日は松本市、週末は上田市で迎えることとなりました。

1回目の年男は、大阪で開催された日本万国博覧会の翌年です。「人類の進歩と調和」がテーマとして掲げられ、携帯電話や温水洗浄便座など現在では当たり前になっているものが展示され、未来への希望を感じました。2回目は、パソコンがようやく普及しはじめた頃で、高分子化学に関する研究で実験結果の数式による解析をしておりましたので、パソコンの研究への活用に胸躍らせておりました。また、その当時、日本語の報告は手書きで、英語の報告はタイプライターで書いておりましたので、ワープロの出現は論文やレポートの執筆に画期的な変革をもたらしました。3回目は、インターネットが普及しはじめた頃で、米国にてその便利さを実感しました。新聞社のウェブページが創られた時期で、日本の情報等が即時的に得られたのには感動さえ覚えました。また、電子メールを用いたやりとりもアメリカ在住時に本格的に活用しはじめましたので、非常に便利だと感じました。4回目はスマートフォンの足音が聞こえてきた頃で、今では当たり前のように毎日使用しておりますが、生活の大きな変化を感じました。そして、今回の5回目は人工知能やロボット・センサ技術等の革新的技術による大きな変革を感じております。

学部卒業生の皆さんはもうすぐ2回目の年男・年女となる人が多いと思いますし、大学院修了生の皆さんはすでに2回目の年男・年女を経験している人が多いと思いますが、何を感じますでしょうか。私自身、次回12年後には何を感じるのか、非常に楽しみにしておりますし、まだ見ぬものへの好奇心を失わずにいたいと思っております。皆さんもぜひまだ見ぬものへの好奇心を持ち続けて下さい

将来に対する期待に胸をふくらませると同時に、不安に心を痛めているとは思いますが、将来に対してもまだ見ぬものに対しても良いイメージを自ら描いて自分の信じる道を歩んでいって下さい。皆さんが信州大学卒業生・修了生としての高い志を持って、胸を張り、将来の人類社会のために頑張ってくれることを期待しております。それぞれの道で、最善を尽くし、活力のある社会を創るために自信をもって活動してください。結びに当たり卒業生・修了生諸君の社会でのご活躍を心より祈念し私の告辞と致します。

平成31年3月
信州大学長 濱田 州博