
経済学部の教育内容や研究成果を学生や一般市民に発表する公開教育企画が平成25年2月6日、信州大学松本キャンパスにて開催された。この企画は、「経済学科専門ゼミ活動成果発表会」と「経済学部学生・卒業生による先生の論文合評バトル!」の2部構成で、それぞれ学生らが中心となって発表を行なった。経済学部の1年生を中心に130名を超える参加者が集まった。
金早雪教授は、「今回は、大学生が中心でしたが、今後は、高校生や一般市民に向けて今回の様な企画をしていくことで、信大をもっと身近に感じてもらえるようにしていきたい」と語った。
専門ゼミ研究活動発表会では、2年生から4年生までの9チームがそれぞれ専攻している研究テーマをプレゼン。参加者が審査員となり、一番優れたプレゼンをしたチームを決める投票も行なわれた。
経済学部では、2年生から個別のゼミに分かれて研究が行われるため、同じ学科内でも隣のゼミの学生がどのような研究をしているのか分からないという声が聞かれていた。同学部の金早雪教授は「今回の発表会を通して、情報交換を行い、相互に発展していって欲しい」と話した。
発表会では、身近な社会問題を経済学的視点から考えるチームや、M&A(企業買収・合併)への考え方が日本とアメリカでどのように違うかといったグローバルな視点で発表するチームなど、様々な研究成果が発表された。
最優秀賞に選ばれたのは、「商店街が生き残るために~大型ショッピングセンターとの共存は可能なのか?」という演題で発表した2年生の乙川祥希さん、石場絢子さん、チョッチョッルインさんの3人だ。長野市の権堂商店街を例にとり、「大型ショッピングセンターと商店街がそれぞれ足りない部分を補い、共存・提携していける形を目指すことで、商店街が活性化していくのではないか」と発表した。
同チームは、ユニークなBGMと語り口調を用いて、会場からの笑いを誘い参加者から多くの支持を得た。乙川さんは「発表内容には自信がなかったので、プレゼンの方法で参加者の印象に残る方法を考え、練習しました。最優秀に選ばれて嬉しい」と喜びを語った。
優秀賞には、2組が選ばれた。1組目は、「放置自転車の経済学 ―バイシクルdeバイシクル」を発表した2年生チームだ。大学のキャンパス内の放置自転車を無くす方法として不要な自転車を事前回収し、必要な人に譲渡するというシステムを考案。「保管場所や人件費などの課題もあるが、アクションを起こしていく価値はあるのではないか」と語った。
同じく優秀賞に選ばれたのは、「流行するアルコール飲料の提案」を発表した2年生チーム。同チームは、ペルソナマーケティングの手法(ある特定のターゲットとなる人物「ペルソナ」を作り、その人が満足する商品を作る手法)を用いて、アルコール飲料の提案を行なった。ラベル等も自身で作成した点が審査員から評価されていた。
内田真輔講師は、「期末試験等で忙しい中、遅くまで残って研究発表の準備を行うなど、本当に良くやってくれたと思います」と発表者達をねぎらった。
経済学部経済学科の教員、元教員ら24人が執筆を分担した「大学生が出会う経済・経営問題」が昨年11月に出版された。同書籍は、平成21年に出版された経済システム法学科編「大学生が出会う法律問題」が好評だったことを受け、出版が決まった。
今回の出版を記念して、「大学生が出会う」シリーズ合評バトルを開催。この企画は、経済学部の学生や大学院生、OB、OGら7人が、シリーズの内どちらかの本を選択し、論評するというものだ。発表者が忌憚なく意見できるようにと、それぞれ仮面などを被り、匿名で行なわれた。
「学部生1、2年生に向けて書かれているので、非常に読みやすく、生活の中で出会う法律の問題や経済の問題がわかりやすく解説されている」など、発表者からは好意的な意見が多く聞かれた。そして、最後には参加者による投票が行なわれ、マザー・テレサに扮した論評者が最優秀賞に選ばれた。
経済学部の徳井丞次学部長は「本を読んで、自分の意見を述べるというのは、とても大切な事です。今後もこのような機会が学生等に与えられることを期待しています」と公開教育企画を締めくくった。
企画者である金早雪教授は、「教員が一方的に教える講義ばかりでなく、今回の2つの企画のように、学生と教員らが相互に刺激し合える様なイベントを今後も続けていきたい」と力強く語った。
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