2017年7月10日(月)
日本学術会議中部地区会議学術講演会を開催
平成29年7月7日、信州大学松本キャンパス理学部C棟2階大会議室にて、日本学術会議中部地区会議学術講演会(主催:日本学術会議中部地区会議 共催:信州大学 後援:信濃毎日新聞社)が開催されました。
本講演会は、日本学術会議による「学術の成果を国民に還元するための活動」として一般公開され、今回は「学術の最前線と私たちの社会」をテーマに、3人の研究者が講演しました。
第一部は「学術は社会の期待にどう応えるのか」と題して、大西 隆 日本学術会議会長(豊橋技術科学大学長)が講演。科学の社会的責任について、原発事故、研究不正問題、安全保障の3つを例に説明があり、学術の有用面を発展させ負の側面を軽減するにはどうすべきかの議論を続けていく必要があるとの問題提起がなされました。
第二部は「だまされる心の心理学:思い込みや迷信を生む心のシステム」と題して、菊池聡 講師(信州大学人文学部人文学科教授)が講演。人の認知の仕組みや、その偏りについて説明がありました。だまされるのは当たり前と自覚し、適切につきあっていくことや、認知の弱点を理解し補うしくみを取り入れることがポイントとの説明がありました。
第三部は「幹細胞の解析と畜産、自然保護:生命工学的な解析が持つ意義」と題して、鏡味 裕 講師(信州大学農学部農学生命科学科教授)が講演。鏡味研究室による世界初の「4品種キメラ鶏」などを例に、幹細胞やゲノム編集など生命工学的な手法を利用した新たな畜産や、アレルギーを起こさない卵の開発、創薬の可能性などの説明がありました。
講演会には多くの聴講者が参加し、フロアからの質疑応答も行われ、盛会のうちに幕を閉じました。