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卒業式 学長告辞

令和元年度卒業式・学位記授与式学長告辞 (2020年3月)

令和2年3月21日 学長室にて収録

令和2年3月
信州大学長 濱田 州博

信州の山々から吹く風の冷たさも和らぎ、日差しにも暖かさが増し、春の訪れを感じるようになりました。新型コロナウイルス感染症が国内で拡大している現状に鑑み、令和元年度信州大学卒業式・学位記授与式を卒業生・修了生の代表者による小規模な形で行うことといたしました。そこで、すべての卒業生・修了生の皆さんにビデオによりメッセージをお送りしたいと思います。

令和元年度学部卒業生の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。大学院研究科修了生並びに学位を取得された皆さんにも心よりお祝いを申し上げます。また、本日まで立派にご子息・ご息女を育ててこられたご家族の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。

今、皆さんの胸中には、在学中の様々な思い出が去来しておられることだろうと拝察いたします。これまでには、楽しかったことばかりでなく、苦しかったこともたくさんあったことでしょう。それらを乗り越え、本日、卒業・修了・学位取得を迎えられましたことに対し、心よりお祝い申し上げます。

今日までのさまざまな思い出と新生活への希望を胸に、明日からはそれぞれの道へと旅立っていきます。これから新たな道へ歩んでいけるのは、これまでの皆さんの努力によることはもちろんですが、ご家族の方々をはじめ、諸先生方、学友たちといった多くの方々の温かい愛情と限りないお力添えのお陰だということをどうか忘れないでいただきたいと思います。それぞれの分野で学んだことを今後の人生に活かし、信州大学卒業生・修了生としての自覚と自信を持って今後の人生を送っていただきたいと思っております。

さて、信州大学では、教育組織の改組を順次進めてまいりました。今から4年前の平成28年度に、教育学部は、4課程から学校教育教員養成課程の1課程14コースに改組しました。経済学部は、経法学部に改称し、学士(経済学)を授与する応用経済学科と学士(法学)を授与する総合法律学科の2学科体制になりました。工学部は、7学科から物質化学科、電子情報システム工学科、水環境・土木工学科、機械システム工学科、建築学科の5学科に、繊維学部は、4系9課程から先進繊維・感性工学科、機械・ロボット学科、化学・材料学科、応用生物科学科の4学科に改組しました。教育学部、経法学部、工学部、繊維学部では、改組後初めての卒業生が巣立っていきます。新たな教育カリキュラムのもと勉学に励んだ卒業生の皆さんには、これまでに学んだことを十分に活かしていただきたいと願っています。

ところで、令和元年10月12日に日本に上陸した台風19号は、関東地方、甲信地方、東北地方などに記録的な大雨を降らせ、甚大な被害をもたらしました。長野県内でも千曲川の決壊、越水等により甚大な被害が出ており、その影響が未だに残っております。信州大学でも被災した教職員や学生がおり、また、ご家族の皆様にも被災された方がいると思います。心よりお見舞いを申し上げます。近年、様々な地域で頻発する巨大災害は、皆さんに不安を与えているかもしれません。しかし、この不安は必ず払拭できると信じて今一人一人ができる最善を尽くしてほしいと願っています。

ここで、9年前、東日本大震災直後の卒業式で繊維学部長として贈った言葉、私が学生時代に読んだ小説で最も印象に残っている作品、トルストイの「人はなんで生きるのか」からの言葉を今一度皆さんに贈りたいと思います。この中で、天使が神様から3つの言葉の意味を調べるよう命じられます。1つ目は、「人の中には何があるか」で、「人の中に愛がある」ことが分かりました。2つ目は、「人には何が与えられていないか」で、「人には自分には何が必要なのか知る力が与えられていない」ことが分かりました。3つ目は、「人は何によって生きるか」で、「人はだれでも自分自身のことを思いわずらうことによってではなく、愛によって生きる」ことが分かりました。これら3つの言葉は、人間には未来が分からないが、一緒に生きることによって前進していけることを示しています。予想を超えた今回の台風による被害から「ONE NAGANO」を合言葉に復興しようとしている人々の姿を見るにつけ、人と共に生きることの大切さを思わざるを得ません。皆さんにもこれら言葉の持つ意味を胸に刻んでいただけたらと思っています。また、現在感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症に対しても一人一人が一緒に生きることを考えた行動をお願いいたします。

将来に対する期待に胸をふくらませると同時に、不安に心を痛めているとは思いますが、将来に対して良いイメージを自ら描いて自分の信じる道を歩んでいって下さい。皆さんが信州大学卒業生・修了生としての高い志を持って、胸を張り、将来の人類社会のために頑張ってくれることを期待しております。それぞれの道で、最善を尽くし、活力のある社会を創るために自信をもって活動して下さい。結びに当たり卒業生・修了生諸君の社会でのご活躍を心より祈念し私の告辞と致します。