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  1. 原弥仁さんが日本金属学会2023年秋期講演大会にて優秀ポスター賞を受賞
研究
2023年10月25日(水)

原弥仁さんが日本金属学会2023年秋期講演大会にて優秀ポスター賞を受賞

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2023年9月19日~22日に開催された日本金属学会2023年(第173回)秋期講演大会において、大学院総合理工学研究科物質化学分野2年の原 弥仁さん(新井・清水研究室)が優秀ポスター賞を受賞しました。

https://store-confit.atlas.jp/jim/jim2023autumn/static/20230922093016727_ja.pdf

優秀ポスター賞は秋期講演大会のポスターセッションにおいて発表した講演の中から厳密な審査により選考されます。対象者は若手研究者(30歳以下の学生または若手研究者)です。

【発表題目】Ag-Bi合金めっき膜の硬度の耐熱性
【発表者】〇原 弥仁、堀田将臣、南澤比佳理、清水雅裕、新井 進

【研究概要】EVの急速充電を可能にするためのコネクタ部品にはAg合金めっきの一つであるAg-Sb合金めっきが使用されている。しかしながらAg-Sb合金めっき膜は使用環境下で再結晶化による硬度低下が進行し耐摩耗性が劣化することが実用上の問題となっている。また、Ag-Sb合金めっきには人体に有害なシアン化物浴(Ag+イオンの錯化剤にシアン化合物を用いるめっき浴)が使用されている。当研究室ではAgの再結晶化抑制効果が報告されているBiに着目し、Ag-Bi合金めっき技術の開発を進めており、すでに非シアン化物浴であるヨウ化物-酒石酸浴(Ag+イオンとBi3+イオンの錯化剤にそれぞれヨウ化物イオンと酒石酸を使用するめっき浴)からパルスめっき法によりAg-Bi合金めっき膜が作製可能であることを報告した。本研究では、作製したAg-Bi合金めっき膜の硬度の耐熱性評価を実施した。160℃で300時間まで加熱処理しためっき膜の硬度変化を実測し、300時間後も硬度が低下しないことを実証した。加えて加熱後は加熱前よりも膜の硬度が増大する現象を見出した。膜硬度の優れた耐熱性の要因を明らかにするために、加熱したAg-Bi合金めっき膜の結晶子サイズ変化をEBSD解析(IPFマッピング)により評価し、Ag-Bi合金めっき膜は加熱による再結晶化が進行し難いことが主要因であることを明らかにした。また、加熱による膜硬度の増大について理解するためにTEM解析を実施し、加熱時にAgマトリクス中へBiが固溶することによる膜硬度の増大メカニズム(固溶強化による膜硬度増大メカニズム)を提案した。

本研究はJSPS科研費 22K04775の助成を受けたものです。

優秀ポスター賞受賞者である原さんは日本金属学会発行の機関紙「まてりあ」の12月号で紹介されます。