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  1. スパッタリングにより成膜された磁性絶縁体の電流誘起磁化反転に成功
研究
2025年10月10日(金)

スパッタリングにより成膜された磁性絶縁体の電流誘起磁化反転に成功

 情報社会の発展に伴い、電子機器の消費電力削減は喫緊の課題です。電源を切っても情報が消えない磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)は、その切り札として期待されていますが、情報書き込み時のエネルギー効率の向上が求められていました。新しい磁性絶縁体であるツリウム鉄ガーネット(TmIG)は低消費電力かつ高速制御可能なため世界中で研究が進められている注目材料ですが、従来の作製法は量産に不向きな特殊な手法に限られていました。

 九州大学大学院システム情報科学研究院の山下尚人准教授、チャルマース工科大学のロゼル・ンガロイ氏(博士課程学生)、サロジ P. ダッシュ教授、大邱慶北科学技術院(DGIST)のユ・チョンヨル教授、信州大学の李垂範助教らの国際共同研究グループは、この課題を解決する新たな製造プロセスを開発しました。MRAMの量産にも用いられる汎用的な技術であるオンアクシス・スパッタリング法を用いて高品質なTmIG薄膜を作製、さらに白金(Pt)層を堆積させて微小な電流を流すだけで磁石の向き(メモリ情報)を反転させることに成功しました。この情報書き込み効率は従来法で作製したものに匹敵し、汎用的な技術で高品質な磁性絶縁体の単結晶薄膜を作製できることを示しました。

今回の成果は、高性能な磁性絶縁体メモリ技術を、基礎研究から応用研究へと橋渡しする重要な一歩です。新たなスピントロニクスデバイスの開発研究を加速し、持続可能な情報社会の実現に貢献することが期待されます。

本研究成果は英国の雑誌「npj Spintronics」誌に2025年10月10日(金)午後6時(日本時間)に掲載されました。

詳細は下記のPDFをご覧ください。