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  1. 工学部物質化学科の戸田泰徳助教、菅博幸教授らの論文がACS Editors' Choiceに選出
研究
2017年8月25日(金)

工学部物質化学科の戸田泰徳助教、菅博幸教授らの論文がACS Editors' Choiceに選出

工学部物質化学科(信州大学学術研究院工学系)の戸田泰徳助教、菅博幸教授らの研究グループは、新しいコンセプトで独自のリンイリドを開発し、求核触媒として第1級アルコールの選択的アシル化反応における触媒能を世界で初めて明らかにしました。本成果はイリドの化学や有機合成化学の発展に貢献すると期待できます。

カルボニル基により安定化されたリンイリドは、炭素原子上と酸素原子上の2カ所で反応する“アンビデントな求核剤”として知られています。これまで、熱力学生成物を与える炭素原子上での反応性が注目され、反応剤として汎用されてきました。一方、速度論生成物を与える反応酸素原子上での反応はあまり利用されていませんでしたが、最近になってリンイリドとアシル化剤の反応が酸素原子上では可逆的に、炭素原子上では非可逆的に進行することが報告されました。今回、分子構造の修飾により炭素原子上での非可逆反応を抑制し、酸素原子の求核性を触媒として利用することに成功しました。この新規リンイリド触媒を用いると、第2級アルコール存在下における第1級アルコールの選択的アシル化反応が可能となります。

本研究は本学大学院総合理工学研究科の坂本智行氏(M1)、小見山裕崇氏(M2)、戸田泰徳助教らにより実施され、アメリカ化学会の「ACS Catalysis」誌(インパクトファクター:10.6)に掲載されるとともに、ACS Editors' Choiceに選ばれました。ACS Editors' Choiceは広く公益に資するイノベ―ティブな研究を特集する、2014年から開始されたサービスです。ACSが発行する全雑誌から編集委員の推薦に基づき1日1論文が選考されます。選出された論文は、無料で閲覧ならびに他論文への引用転載が可能(オープンアクセス)となります。なお、本研究は科学研究費補助金のサポートを受けています。

論文情報
A Phosphonium Ylide as an Ionic Nucleophilic Catalyst for Primary Hydroxyl Group Selective Acylation of Diols
Toda, Y.; Sakamoto, T.; Komiyama, Y.; Kikuchi, A.; Suga, H. ACS Catal. 2017, 7, 6150-6154.
DOI: 10.1021/acscatal.7b02281
http://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acscatal.7b02281
研究者情報(SOAR研究者総覧)
菅博幸:http://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/profile/ja.HmShyVfp.html
戸田泰徳:http://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/profile/ja.HhkabUkh.html

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