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お知らせ

  1. 「地域中核大学」としての信州大学の果たすべき役割、使命 ~令和6年(2024年)年頭所感~
その他
2024年1月10日(水)

「地域中核大学」としての信州大学の果たすべき役割、使命 ~令和6年(2024年)年頭所感~

 改めて、元日に発生した令和6年能登半島地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。本学では、今回の地震発生直後より、地域防災減災センターが中心となり、附属病院(DMAT)、学内事務局等が連携し、緊急対応と支援活動に尽力しております。被災地の全ての方々に、一日も早く安寧な日々が戻ることを心よりお祈りしております。

 その上で、この新しい年の始まりに際し、本学の果たすべき役割、使命を学内外のステークホルダーの皆さまと共有したいと思います。ご案内のように、本学は、昨年、地域の中核大学としての機能をより強化するため、「グレーター・ユニバーシティ・ビジョン(VGSU)」を打ち出しました。これは多様な学問分野、業界、世代、そして地域社会に分散している「人」や「知」を結集、共有、活用することで、新たな価値を創出し、地域の発展に貢献するエコシステムの構築を目指すものです。本学は、大学の使命である教育、研究、そして社会貢献における本学の特色や強みを伸ばし、地域の社会課題を解決するための「知」を豊富に揃えることを目指しています。また、VGSUでは、地域の活性化に貢献するため、「Extend(伸ばす)」、「Expand(拡げる)」、「Enrich(豊かにする)」という三つの「E」をキーワードに掲げています。これは本学の価値創造のステップでもあり、地域の発展をけん引し、豊かな社会とより良い未来を創ることを意味します。VGSUに先立ち、本学は「信州大学改革実行プランinGEAR」を策定し、地域中核・特色ある研究大学としての目指す姿を定めています。
 今後、本学は、長野県だけでなく近県の大学・企業・自治体など、圏域を越えた連携を強化し、生み出された「知」を広く社会(世界)に還元する取り組みを進めてまいります。

そのような中で、昨年、本学は次の7つの競争的公的事業に採択されました。
① 「アクア・リジェネレーション共創研究センター」(地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業、文部科学省)
② 「信州デジタルXことづくりリスキリングプログラム」(成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業、文部科学省)
③ 「次世代長距離通信技術を使った山岳・中山間エリアにおける課題解決サービス創出」(地域デジタル基盤活用推進事業(実証事業)、総務省)
④ 「高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援」(大学・高専機能強化支援事業、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構)
⑤ 「地域STEAM教育に関する国際共修人材育成プログラム」(令和5年度大学教育再生戦略推進費「大学の世界展開力強化事業」~米国等との大学間交流形成支援~、文部科学省)
⑥ 「アクア・リジェネレーション分野の研究力を核に、一歩先のソリューションを共創する大学」(地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)、文部科学省)
⑦ 「Inland Japan Innovation Ecosystem (IJIE)」(大学発新産業創出基金事業スタートアップ・エコシステム共創プログラム 地域プラットフォーム共創支援、科学技術振興機構JST)

 これらの内、①と⑥の事業は、令和4年度第2次補正予算(地域中核・特色ある研究大学の振興)によるもので、「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」の一丁目一番地と目されているものです。大学ファンドによる国際卓越研究大学のカウンターパートとされている事業で、特定の研究分野に強みを持つ大学に対して、他大学との連携やスタートアップ創出、海外資金の獲得などにより、「このテーマならこの大学」と一目置かれる研究大学群の一員になることを目指す取り組みを支援することが目的とされています。本学はこの支援事業のハード面(施設整備)とソフト面(強化促進)の両方に採択となりました。循環社会の実現、地球規模の社会課題の解決に向け、大学の総力をあげて取り組むことにより、本学の社会的存在価値をさらに高めていきたいと考えています。

 人材育成の観点では、地方創生に資することのできる、所謂、地域中核人材を育成する「全学横断特別教育プログラム」やCOC+R「ENGINEプログラム」など、地域の総合大学ならではのユニークなプログラムを提供しています。令和4年に採択された、長野大学及び佐久大学との国公私立大学連携による教育プログラム「しあわせ信州を創造する地域活性化高度人材育成プログラム、SPARC NAGANO」もいよいよ本格稼働です。それを実現するための法人として、昨年末には文部科学省から大学等連携推進法人「信州アライアンス」の認定を受けたところです。ロジカル思考、アート思考、デザイン思考を涵養し、困難に打ち勝つ力を備えた未来志向の卒業生、修了生を次々に世に送り出すことができればと考えています。そのような観点から、昨年、本学は、“本学での学びによる最終的な到達状況を示すもの”、“教育の質保証”として「信大コンピテンシー」を次のように定めたところです。

~信州という美しい環境で、人を敬い自然を愛しつつ、豊かな未来を切り拓く力を身につけている~

 また、社会人向けのリカレント(リスキリング)教育にも力を入れ、地域の中核大学として、地域社会のニーズに応えるプログラム開発にも取り組んでいます。

 加えて、教育、研究、社会貢献という大学に課せられた3つの使命を教職学協働の理念に基づき一丸となって取り組むため、昨年、本学は、大学総合司令塔である「アドミニストレーション本部(Administrative Headquarters at Shinshu University: AHSU(アース))」を設置しました。AHSUを中心に、①リアルタイムな情報収集と解析、②エビデンスに基づく実効性ある戦略プランの策定、③プラン実行のための部局横断マネジメント、④抜本的課題解決に資するシナリオの共同提案・実行をすることで、新たな価値の創造と社会発展のけん引役を務めてまいります。VGSUの旗印の下で、隣接する市町村や県とも連携し、広域での産学連携や地域連携に取り組み、この地域と一緒に発展する未来に貢献していく所存です。

 繰り返しになりますが、この度、本学は晴れて「地域中核大学」としての客観的な認証(J-PEAKSに採択)を受けることができました。ご存知のように、全国津々浦々に配置された国立大学は、地域の知(地)の拠点として地域が求める人材を育成し、地域の経済を活性化することが期待されています。しかしながら、「地域中核大学」の使命はそのもう一段上にあると認識しています。人類の平和と福祉、安寧のため、今はやりの言葉でいえば、ウェルビーイングとサスティナビリティに資することのできる人材育成を目指すものでなければなりません。そのプロセス上に地域への貢献があるといえます。近視眼的に地域だけを見ていては本当の意味での地域貢献にならない。世界的視野で、世のため、人のためになる教育研究力を磨き、その成果を地域に還元することで、はじめて地域の真の知の拠点となることができる。これが私の信ずるところです。信州大学は、これからも「世界の中の信州大学」を意識した教育、研究、社会貢献活動を展開してまいります。社会を元気に、そして豊かにするため、今後も引き続き、誠心誠意、頑張ります。「地域中核大学」としての信州大学にご期待ください。

 春光に、煌めく学舎、地(知)の誉れ、紡ぐVGSU未来への軌跡

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堂免 一成 特別特任教授、中村 宗一郎 学長、遠藤 守信 特別栄誉教授、手嶋 勝弥 学長特別補佐