信州大学大学院 「サスティナブルソサイエティグローバル人材養成プログラム」8年間の軌跡
信州大学大学院で2013年から実施してきた「サスティナブルソサイエティグローバル人材養成プログラム」が、2021年3月で8年間の事業期間を終了します。本プログラムは、修士課程の総合理工学研究科、博士課程の総合医理工学研究科と経営大学院、さらに先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所(※1)や企業が連携した、修士・博士課程(5年一貫プログラム)の学内版リーディング大学院です。(※1)2019年に環境・エネルギー材料研究所から改称
2020年12月18日、修了生や関係者を集めたオンラインシンポジウムを開催しました。そこで語られた修了生の言葉をご紹介しながら、8年間の軌跡を振り返ります。(文・柳澤 愛由)
2020.12.18 オンラインシンポジウム開催
(主会場:信州大学国際科学イノベーションセンター)
・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第126号(2021.3.31発行)より
バックキャスティング(※2)で選定したライフラインの自立循環をテーマに、分野横断で臨む高度人材育成
世界的な人口増によって、エネルギー、水、食料など、人々の生活や経済活動を支える資源の需要が急速に高まっています。一方、人口減少社会を迎えた日本では、大規模な社会インフラの維持は困難であり、今後は自立循環型のコンパクトなライフラインシステムの構築が必要だとされています。
人々が生きていくために不可欠な資源や社会インフラを将来にわたっていかに確保するかは、世界共通の課題です。本プログラムは、持続可能な社会の在り方を見据え、エネルギー、水、食料問題という3つの課題をバックキャスティングで選定し、サスティナブルライフラインへの転換を実現するグローバルリーダーの養成を目指して始まりました。
(※2)目標となる未来を想定し、そのうえで現在取り組むべき解決策を考える思考法
ライフラインに特化した3つのコース。研究室ローテーションや合同ゼミ、海外研修も行う実践的カリキュラム
本プログラムでは、サスティナブルエネルギーコース、サスティナブルウォーターコース、サスティナブルフードコースの3コースを設置しました。履修生は総合理工学研究科(修士課程)、総合医理工学研究科(博士課程)に学籍を持った上で、各コースに所属。専門性だけでなく、異分野の知識や国際性、マネジメント力などを身に付けるため、従来の修士・博士課程教育に加え、研究室ローテーションや合同ゼミ、国内外でのインターンシップ、海外研究留学など、さまざまな分野横断的テーマに取り組んできました。
1期生の入学を開始した2013年度から2019年度までに、3人が全カリキュラムを無事終え、2020年度には1人が修了予定です。膨大な実践的カリキュラムを終えた修了生たちは、高い専門性に加え、幅広い知識・俯瞰力を身に付け、博士人材としてのキャリアプランを描きながら社会に出て活躍しています。
SDGsやSociety5.0などが重要視される今、世界的課題を視野に入れた大学院改革は、大学教育における喫緊の課題です。信州大学は、本プログラムの8年の軌跡の中で得られた経験や連携体制を維持しながら、今後も未来の社会で求められる高度人材育成に取り組みます。
履修生・修了生からの報告
オンラインシンポジウムで報告があった 履修生・修了生4人からの声をご紹介します。