
日本最大のアーチ式ダム=黒部ダムをモチーフにした「大町市ご当地グルメ『黒部ダムカレー』」が、6月24日から7月7日の2週間限定で、コンビニエンスストア「サークルKサンクス」の長野県内全126店で発売された。
この商品は、サークルKサンクスの地域活性化企画である「信州MOTプロジェクト」と大町市・信州大学の「地域ブランド共同研究」が連携し、共同企画したもの。発売期間中は、マスコミなどでも大きく取り扱われ、大町市の地域ブランド構築の新たな一歩となった。
・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第64号より
今回、サークルKサンクスの弁当として発売された「黒部ダムカレー」は、ご飯を黒部ダムの堰堤形(えんていがた)に盛り付け、ダム湖に当たる堰堤の内側部分にルーを、堰堤の外側に岩や森・流木に見立てた具材を配置する。ダム湖に浮かぶ遊覧船(ガルベ)に見立てて好みの具をトッピングして食べたり、ダムの放水に見立てて食べるという趣向。味付けや具の選定、盛りつけなどには学生のアイデアが多数盛り込まれている。
「黒部ダムカレー」は、もともと立山黒部アルペンルートの入り口である大町市扇沢駅の大食堂(現在のレストラン扇沢)で、昭和40年代初頭から提供されていた「アーチカレー」がモデル。共同研究の成果を基に、平成21年7月から観光・地域振興を狙って「黒部ダムカレー」と名称変更し、大町市内の飲食店を中心に20店舗で提供されるようになっていた。それを、コンビニ弁当として全県的に売り出し、「ご当地グルメ」としての位置を確固不動のものにすると共に、大町市の認知度アップや観光誘客を狙ったのが、今回の企画だ。
コンビニ弁当「黒部ダムカレー」は、そのネーミングとコクのある深い味が好評のようであった。
6月22日に松本キャンパスで行った試食販売のプレイベントでは、特設の販売コーナーに長い行列が出現した。
食べた学生からは「ご飯がダムの形をしていて印象に残る」「デミグラスソースのような奥深い味が良いのでまた食べてみたい」「名前が面白い」などの感想が多く出た。
こうした学内での反応を見る限り、ご当地グルメをコンビニ弁当にし、黒部ダムと大町の名を印象付けようという目的はおおむね成功裏に達成されたといえよう。さて、長野県全域ではどうだったのだろう?その具体的成果は、これから浮き彫りになって来るだろう。
信州大学は、平成19年12月に大町市と連携協定を結び、翌年度から人文学部や産学官連携推進本部地域ブランド分野が中心となって、大町市の地域ブランド構築に関する共同研究を進めてきた。
その研究の一環として、大町市の全国的な認知度や、地域資源などを多角的に調査し、大町の知名度を上げるキーワードが「黒部ダム」であることを明らかにしてきた。
この研究成果を基に、大町市が中心となって、黒部ダムにまつわる“食の資源”として「アーチカレー」に注目し、黒部ダムを管理する関西電力など関係団体との調整をはかりつつ、「黒部ダムカレー」に名称変更し、「ご当地グルメ」「地域活性化のツール」とし
て地域の店舗で提供するに至っている。
また、今回、サークルKサンクスの提案で実現した「黒部ダムカレー」の販売に当たっても、特にPR・情報マネジメントは、信州大学がトータルにサポートしている。製品パッケージやポスターの設計はもちろん、店頭で消費者に「黒部ダムカレー」のコンセプトを的確に伝えるための動画を利用したデジタルポップの提案・制作も学生が行っている。
これらは、主に、マーケティングやブランディングといった、社会科学・文系領域からのアプローチに基づいている。地域活性化研究・地域ブランド研究に関する講義の中でこれらの知識を学び、実践に活かす教育活動としても同時に取組んできた。社会科学系・文系の「知」を、地域振興にどのように活かすか?この視点からも、信大は地域のイノベーションに挑戦している。
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