信大の地域貢献サークル&学生グループ特集Vol.5 人文学部芸術ワークショップゼミ地域コミュニケーション
アートを通じて生み出す地域とのゆるやかな文化交流

「大学の地域貢献度ランキング」では毎回上位にランクされる信州大学。長野県内に5キャンパスという、タコ足大学の伝統を誇りとする本学はもちろん学生も頑張っていて、各キャンパスを飛び出して活動する、地域貢献を目的としたサークルが多いのも大きな特徴。リンゴあり、軍手あり、山林伐採あり…信州ならではの地域貢献が盛りだくさん!
「信大の地域貢献サークル特集」信大NOW誌面で一挙公開です。
・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第155号(2026.1.31発行)より
アートを身近に…学生が企画するワークショップや作品展
人文学部特集にちなんで、今号では「人文学部芸術ワークショップゼミ」をご紹介します。このゼミ(正式名:芸術コミュニケーション基幹・発展演習)には、主に人文学部哲学芸術論コースの学生が所属していますが、その他のコースからも授業の一環として自由に参加することができ、毎年20~30人ほどの学生が活動しています。
活動は前期と後期とに分かれており、前期は、松本市で毎年5月に開催されている「工芸の五月」と関わるイベントを企画。後期は、若手アーティストを松本に招き、企画から広報を含めた展覧会の実施を学生が担い「アーティストを支える仕事」を学びます。ゼミの活動について教えてくれたのは、学部2年生の頃から参加し、現在4年生の前田紗希さんと、清水梨沙子さん。
今年度前期のゼミ活動では、昨年5月に「クラフトフェア松本」が開催された2日間に、松本市立博物館を会場として、地域の方と一緒にワークショップや読書会を開催しました。博物館と聞くと、美術館よりもさらに敷居が高いようなイメージを持たれがちです。しかし、町中がお祭りのような雰囲気になるクラフトフェアの2日間に、誰もが参加できる自由なイベントを博物館で企画したことで「少しだけ、博物館を地域に開くお手伝いができたかなと思います」と前田さんと清水さんは振り返ります。
企画側に立つことで生まれる新たな視点、地域の人々との出会い
昨年度後期の活動では、辰野町を拠点に活動する、光を扱った空間芸術作家 千田泰広さんを招き、信州大学の敷地にある赤レンガ倉庫とマツモトアートセンターの2か所で作品展を行ったそうです。
ゼミ生は、実際に千田さんが作品を制作するところから関わったといい、「時には指示を受けて手を動かしながら、制作過程を間近で見られたことが一番面白かったです」と清水さんは笑顔で話します。また前田さんも、作品を見る側の視点ではなく「作品展をつくる側の立場になることで、新しい視点をもらえました」と話します。
さらに作品展には、小さな子供を連れた家族が訪れる場面もあったといい、「普段小さな子供と関わることはあまりないので、アートを通してこうした関わりが持てたのがうれしかった」と前田さん。
作品展の舞台となった赤レンガ倉庫は、松本に駐屯した旧日本軍の第五十連隊が食料保管庫として使用した、戦争の爪痕が残る建造物でもあります。千田さんの作品だけでなく、この施設についても知ってもらおうと、清水さんは赤レンガ倉庫の歴史に関する情報をテキストにまとめ、配布したそうです。「作品だけでなく、会場である建物自体にも関心を持って見てもらいたいと思いました。同時に自分にとってもこの場所の歴史を学べたのは大きな収穫でした」と振り返ります。普段は学生も立ち入ることのできない赤レンガ倉庫ですが、「ゆくゆくは地域にも開けた場所になればいいな」と清水さんは考えているそうで、「その第一歩になったかなと思っています」。
アートを通して、学生が地域で暮らす様々な大人と関わり、ゆるやかな関係性を築きながら行われる学生主体の自由なゼミ活動。もともと街歩きや美術展などが好きだったというお二人にも、ゼミを通して貴重な出会いがいくつもあったといい、「松本は面白い町だなと、ゼミを通して何度も実感しています。町や人と出会い直す機会をもらいました」と前田さん。「私たち学生の企画に、こころよく応じてくれる町の方々がたくさんいることがうれしいです。より気軽に、地域の人がアートに関わる様々な機会を作れたらと思います」と清水さん。
これからゼミを選ぶであろう後輩たちに「やりたいと思う強い意志があれば、いろんなことに挑戦できる得難い環境だよと伝えたいです!」と充実の表情で話してくれました。

