第3回「地域をみなおす、うごかす。」地域課題解決プラン公開審査会(前編)地域コミュニケーション

第3回「地域をみなおす、うごかす。」地域課題解決プラン公開審査会(前編)

第3回「地域をみなおす、うごかす。」地域課題解決プラン公開審査会(前編)

 信州大学、長野県、日本ケーブルテレビ連盟信越支部長野県協議会等で作る第3回「地域をみなおす、うごかす。」実行委員会は、2017年12月16日、信州大学長野(工学)キャンパスにて、地域課題解決プラン公開審査会を開催、県内各地から地域おこしに取り組む様々な団体の方々、約150人が集結しました。審査への応募は17団体、その中から信州という中山間地域が抱える喫緊の地域課題などを解決するため、着実に、そして持続可能な形で取り組まれている、第一次審査を通過した7団体による、創意工夫の企画プレゼンテーションに耳を傾けました。

(文・毛賀澤 明宏)
・・・・・ 信州大学広報誌「信大NOW」第109号(2018.1.31発行)より

COC事業の最終年度は長野県の地域おこし事情を考慮

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天野 良彦
実行委員長・公開審査会審査員・COC事業推進リーダー・信州大学 学術研究院工学系教授

「地域をみなおす、うごかす。」と題した催しは今回で3回目。1・2回目は長野県との共催で、信州大学のCOC事業との合同講義のような位置づけで開催し、地域振興に取り組もうとしている方々の、「ファーストステージ(着手段階)」の取り組みを報告、人的交流することを主眼に置いていました。
 3回目となった今回は、信州大学と連携協定を結ぶ日本ケーブルテレビ連盟信越支部長野県協議会(以下県内CATV局)と、学内では広報室も企画と実行委員に加わっていただき、イベントのコンセプトを大きく変えています。いよいよ本格的かつ具体的に“次の一歩”を進めようとしている「セカンドアップ(発展段階)」の地域活動を公募し選考するという「コンペ形式」にいたしました。
 入賞された方は、CATV局の協力のもと、活動に有効となるプロモーションビデオを制作する機会を得られます。コンペ形式のため、最終的には誰かを選ばなければならないという、我々にとって心苦しい面もあるのですが、本年度はCOC事業の最終年度でもあり、長野県内で着手されている様々な地域おこしが直面している課題に正面から向かい合い、解決する方法を浮き彫りにできれば幸いだと考えています。

信大×長野県×CATV局による新しい地域支援スキーム誕生

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向山 賢悟 氏
日本ケーブルテレビ連盟 信越支部長野県協議会会長・伊那ケーブルテレビジョン代表取締役社長

 ケーブルテレビは、それぞれの地域の情報を取材し発信するため、「地域おこし」にはなくてはならない存在だと考えています。「地域を元気にすること」が私たちの仕事の目指すところです。同じ仕事をする全国の仲間で連盟をつくっており、その支部が信越地区にあり、長野県には33局による長野県協議会があります。県の協議会と、信州大学は5年ほど前に「もっと地域を元気にしたい」と考えて連携協定を結びました。その後、信州で行われる火祭りや、南信濃・上村の霜月まつりなどに焦点を当てたフォーラムなどを共同で開催させていただき、信州大学と一緒に、地域おこしのお役に立つことを目指してきました。
 今回、こうした全県規模の審査会の運営のお仲間に入れていただき、私たちの強みでもある番組制作という形で協力させてもらうことになりました。入賞者のプロモーションビデオを制作させてもらうだけでなく、本日の審査会の様子も全て収録し、のちほど県内CATV局で放送させてもらいます。本日の司会、当社の平山直子さんも信州大学の卒業生で、県外から信州に来て、この地に根ざして地域の仕事をしてくれている一人です。皆さんのがんばっている様子を、CATVスタッフ一同わくわくしながら、番組にできればと思っています。

信州で始めた米づくりとグローバル展開も参考になれば

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出口 友洋 氏
公開審査会審査員・基調講演者・(株)WakkaJapan代表

 「三代目俵屋玄兵衛」のブランドで、香港・シンガポール・台湾・ホノルルで日本米を販売する米屋さんを営んでいます。日本から玄米を輸出し、現地で精米して販売しています。生まれは北海道ですが、信州大学教育学部の卒業生で、ご縁があって、濱田信州大学長や伊藤広報室長にご尽力いただき、また、毛賀澤さんや当該地域の皆さんのご協力をいただいて、2017年から伊那市長谷地区で遊休農地をお借りし、海外販売用の高規格自然栽培米を栽培しています。
 この新規事業が、地域を元気にする新しい取り組みとして多方面から注目していただけたことから今回の講演の依頼をいただき、審査会の審査員も務めさせていただくことになりました。また(賞の)見本となるプロモーションビデオまで作っていただき、大変うれしい限りです。長野県各地の地域おこしの取り組みを教えていただき、私も勉強させてもらえればと思います。

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出口さんの米づくりの圃場となった伊那市長谷地区。日本の原風景と言えそうな里山だ。

最終選考7プランと受賞者



酒井 裕司さん

優秀賞


合同会社南信州米俵保存会
酒井 裕司さん



稲わらを活用した地域活性化と儲かる稲作への挑戦―失われつつあるわら細工技能の継承

 古くからの米の産地である飯島町で、米俵マラソンの開催などが取り組まれ、ある程度の成果を生んできたが、さらに稲作農家の収益向上と地域活性化を目指して、稲わらを使った工芸品づくりを広げる計画




浅野 知延さん

丸増
浅野 知延さん



信州新町信級の炭焼き技術継承と炭を器にした盆栽制作、販売

 地域おこし協力隊をはじめ、Iターン者が複数定住し始めている信級地区で、間伐材などを使った炭焼きを継承しつつ、高付加価値商品として炭でできた器を使った盆栽を、制作・販売して地域活性化を図る計画




桑原 祐紀さん

こうみゆうきの里山活性化プロジェクト
事業推進事務局 桑原 祐紀さん



小海町の中山間地区における有機農業の推進と農産物加工直売所の活性化を行う

 リニューアルされた直売加工所を拠点にして、地域おこし協力隊が地域の有志と共にリーダーシップをとり、農家・加工事業者・観光事業者の連携で、有機農業・直売加工事業・農泊観光事業を進める計画




渋沢 美知世さん

さみず農産物直売加工組合加工部
渋沢 美知世さん



熟年パワーによる飯綱町農家レストラン、オープン盛り上げプロジェクト

 「おふくろの味」加工品で13年の営業実績を誇る、さみず農産物直売加工組合加工部が、生活改善運動の成果を活かした農家レストランを開業する。そのオープンを盛り上げ、認知度を高める事業計画




スミス 陽子さん

最優秀賞


森の古民家リトリート あだむさんち
スミス 陽子さん



雑穀ソルガム中心の循環性の暮らしと地域の活性化

 長野市七二会地区で築120年の古民家と土蔵を活用して陶芸制作販売、ミニ牧場、ランチカフェなどの複合施設を運営してきたが、遊休農地対策を兼ねて機能性の高い雑穀ソルガムを栽培することで、地域のさらなる活性化を目指す




土屋 みどりさん

ゴー・グローカル
土屋 みどりさん



木曽地域の資源活用と海外展開

 塩尻市の奈良井宿と木曽平沢地区を中心にして、これまでの宿場町や伝統工芸を使ったインバウンド等の取り組みを、実用的な漆器工芸品の製造開発と世界的販路形成によって、さらに発展させようという計画




野田 智彦さん

優秀賞


木曽踊保存会
野田 智彦さん



木曽節・木曽踊りの振興とそれに根ざした地域づくり

 木曽地域に古くから伝わる木曽節・木曽踊りを、町の認知度アップのための対外発信の観点からだけでなく、地元住民自身による再評価と再度の土着化によって、生きて継続される地域振興の支柱にする計画


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プレゼンテーションを聞く審査員4名
(産直新聞社毛賀澤明宏氏・出口友洋氏・天野良彦実行委員長・船木成記長野県参与)

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最優秀賞者、スミス陽子さん(団体名:森の古民家リトリートあだむさんち)らの表彰に続いて講評を行う船木長野県参与

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日本ケーブルテレビ連盟信越支部長野県協議会による番組収録。
やがて長野県内CATVネットワークで放送される。

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当日初公開、出口さんを題材にして作成したプロモーションビデオの一場面。
受賞者はこのようなPVを作ることができる。

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