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  1. 電源・ポンプ不要で水道圧駆動する新型極超低圧RO膜を開発ー 災害時・途上国での活用に期待
研究
2025年8月4日(月)

電源・ポンプ不要で水道圧駆動する新型極超低圧RO膜を開発ー 災害時・途上国での活用に期待

信州大学遠藤守信特別栄誉教授(アクア・リジェネレーション機構)は7月22日、電源もポンプも不要で、一般家庭の水道水程度の圧力だけで稼働する新型の逆浸透膜(RO膜)を開発したと発表しました。国内外の企業と共同で行った実証試験でも、従来製品を上回る高い浄水性能を確認し、このRO膜研究の成果は2025年7月10日に国際学術誌 Advanced Materials Interfaces に掲載されました(online 2025 July, DOI: 10.1002/admi.202500318)。


この新しい信大RO膜は、食品用途のナノセルロースファイバーと高分子素材を組み合わせた独自構造を有しており、従来よりも50%以上も低い圧力で2~3倍の十分な水透過性と不純物除去力を両立し、また残留塩素による劣化も革新的に防ぐため、前処理に用いる活性炭が全く不要になる点が特長です。さらに、有機フッ素化合物(PFAS)についても、専門機関との共同試験で97%以上の高い除去効果が実証されています。


開発チームは当日の記者会見場に新型RO膜を使った浄化装置を展示し、動作デモンストレーションを実施しました。遠藤守信特別栄誉教授は「大学発の技術が世界の水問題解決に貢献できる」と述べ、電力が不安定な国・地域での活用、集合住宅への導入、さらには災害時など、多様な応用の可能性を示しました。国内初の国際認証を既に取得し、海外でも実証試験段階にあり、今後は広く家庭用やコミュニティ向け浄水システムとして普及を目指します。

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記者会見の様子

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デモンストレーションで解説をする遠藤守信特別栄誉教授