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お知らせ

  1. 令和8年(2026年)年頭所感
その他
2026年1月5日(月)

令和8年(2026年)年頭所感

令和8年(2026年)年頭所感

学長 中村宗一郎

 新年あけましておめでとうございます。

 信州大学を支え、ともに歩んでくださっているすべての皆さまの本学の教育・研究・社会貢献の営みに寄せていただいている温かなお力添えに、心より感謝申し上げますとともに、教職員・学生一人ひとりが、それぞれの現場で挑戦を重ねていることに、学長として深い敬意と感謝の意を表します。

 信州大学は、J-PEAKS研究大学として、「地域と世界をつなぐ知の創出」に挑み続けています。研究大学の使命とは、単に知を積み上げることにとどまらず、人類の尊厳を守り、持続可能で公正な未来を切り拓くための普遍的価値を創造することにあります。その営みを支えるのは、理念に裏打ちされた不断の努力と、未来に対する静かな覚悟にほかなりません。本学が推進するARG(アクア・リジェネレーション)構想は、その覚悟を具体化する象徴的な取り組みです。水を基点とした研究は、信州の地域課題に根ざしながら、アフリカ、アジア、中東へと広がり、水・エネルギー・環境・食といった地球規模の課題に応答する知のモデルへと発展しつつあります。地域での実践が世界に広がり、世界で得られた成果が再び地域へと還元されていく。このようなグローカルな往還こそが、信州大学の独自性であり、研究大学としての揺るぎない強みです。

 私は、大学という知の共同体が拠って立つ普遍的理念の第一義として、DEI(Diversity, Equity and Inclusion)の重要性を捉えています。多様な人々が、公平な条件のもとで尊重され、包摂されることは、時代や地域を超えて、大学が守り続けるべき根源的な価値です。そして今日、私はこのDEIをさらに深化させ、DEI&B(Belonging)という考え方を信州大学の指針として位置付けています。多様性・公平性・包摂性が制度として整えられるだけでは、大学は真の力を発揮することはできません。そこに、「自分はこの共同体の一員である」という確かな帰属の実感、すなわちBelongingが重なったとき、大学は初めて、知を生み出し続ける生きた共同体となるのです。

 孔子は「徳は孤ならず、必ず隣有り」と語り、アリストテレスは「人間はポリス的動物である」と説きました。人は共同体の中でこそ自己を実現し、社会を築きます。大学もまた、研究者・学生・教職員が「ここに所属する」という覚悟を共有することで、知の創造と継承を未来へと確かにつないでいくことができます。Belongingとは単なる安心感ではなく、共に未来を築く意志であり、私たち一人ひとりに託された責務なのです。

 未来は与えられるものではなく、共に創り出すものです。信州大学は、普遍的価値を羅針盤とし、Belongingの力を基盤に、地域と世界を結びながら、次世代に継承すべき叡智を形づくってまいります。学内の皆さまには、共同体の一員としての誇りと覚悟を胸に、これからも共に歩んでいただきたいと願っております。併せて、信州大学を支えてくださるすべての皆さまに、変わらぬご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。

 結びに、一句添えさせていただきます。

  水ひかり
  人の縁(えにし)を
  春へ編む

 新しい年が、皆さまにとって希望に満ちた実り多き一年となりますことを心より祈念し、年頭のご挨拶といたします。