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信州大学YOSAKOI祭りサークル「和っしょい」 悲願の「どまつり大賞」を受賞

「和っしょい」 「どまつり大賞」を受賞

 「和っしょい」が、「第15回にっぽんど真ん中祭り」(略称どまつり)で、ついに「どまつり大賞」を受賞した!!創立12年目、11回目の出場にして成し遂げた快挙であり、悲願だった。しかもその受賞は、敗者復活戦からの勝ち上がりというドラマティックなもの。
 8月23日から名古屋で繰り広げられたどまつりの3日間について、代表の神原学さん(理学部3年)、伊能智音(いよくともね)さん(人文学部3年)、浪田雄介さん(工学部1年)から聞いた。

(文・中山万美子)
代表の神原学さん(理学部3年)

神原学さん(理学部3年)

伊能智音さん(人文学部3年)

伊能智音さん(人文学部3年)

浪田雄介さん(工学部1年)

浪田雄介さん(工学部1年)

23日 前夜祭は、雨だった。


写真提供:にっぽんど真ん中祭り

 ぽつぽつとしていたものの、和っしょいがステージに出る瞬間にザアーッと降ってきた。今年のどまつり初舞台、最高の笑顔で踊ろうとしても、濡れた舞台は滑る、すべる。演舞途中で転んでしまう人もいてフォーメーション(編成・配置)は乱れがち、全員が集中しきれない不完全燃焼の幕開けとなってしまった。
 意気揚々と名古屋にきたのに、最初の演舞がこれか・・・。夜の雨にぬれるメンバーの顔が見る見る沈みかけていくのを感じて神原さんは喝を入れた。「明日からの本番にかけていくぞ!!」「おう!」
 そう、こんなところで沈んでいる場合ではない。24、25日が本祭だ。100人のメンバーに“気”が戻った。

 どまつりは、1999年に「踊りで感動を伝えられるような祭りを名古屋で!」という学生たちの熱意から生まれたお祭り。いまや3日間の来場者数は200万人を超え、国内外から審査対象としておよそ200チームが出場し23000人が演舞する。会場は久屋大通公園を中心に19カ所に設けられ、商店街の路上などでもパレードの演舞が見られる。
 どまつり大賞は、最高の賞でファイナルコンテスト(最終審査)に出場する12チームによって競われる。このファイナルコンテストのステージ、ファイナルステージに立つことが、すべてのチームにとっての夢であり、目標となっている。もちろんファイナルステージ常連と言われるチームもある、その一つが信大の和っしょいなのだ。
 ファイナルステージに立つには、パレード審査で一位通過(10チーム)するか、敗者復活戦で1位を獲得するか。あるいは和っしょいのように昨年最終審査まで残ったチームにはファイナルシード決定戦で1位を獲得してシードチームに選ばれるという手もある。つまり和っしょいには3つの可能性があった。

24日 パレード審査とシード決定戦


写真提供:にっぽんど真ん中祭り

 24日は、昼ごろから午後5時ごろまで、2つのパレード会場(うち一つが審査会場)とメイン会場で合わせて10曲分以上踊った。和っしょいは、パレードがやや苦手。「同じ審査グループにはアクロバティックなパフォーマンスをするパレードに強いチームがいました。それでも、私たちも審査時にはベストな演舞ができたんです」と伊能さん(振付担当)。パレード審査の結果発表は翌日。夜はシード決定戦に出場した。シード決定戦はすぐに結果が発表されたが、今年選ばれたのは岐阜県のチームだった。
 「お客さんの反応が良かったから、いける!って思っていたのに、悔しくて。だったらファイナルステージで負かしてやろう!って思いました」(伊能)みんなファイナルステージには行けると信じていた。

25日 最終日。ファイナルステージへ


写真提供:にっぽんど真ん中祭り

動画提供:にっぽんど真ん中祭り

 午前10時前から、中川かぶきもん祭会場、大津通パレード会場、名古屋駅西銀座通パレード会場で演舞。審査対象ではなく、祭りとして楽しみながら踊った。各会場でのお客さんの反応もよく、メンバーは2時ごろに発表されるというファイナルステージ出場権の知らせを待っていた。  午後2時過ぎ、パレード最後の演舞を終えて引上げる際にお客さんから声をかけられる。
 「おまえら、セミファイナル頑張れよ!」。
 「えーっ」その声を聞いたメンバーの何人かが、ショックで顔を合わせ、ヒソヒソ話し出す。セミファイナルとは、敗者復活戦。つまりパレード審査で1位通過できなかったのだ。全員が待機場所についたところで、神原さんが真剣な顔で言った。  「パレードは2位通過でした」どよめく、メンバーたち。
 和っしょいは2002年にチームを結成。03年から出場し、05年からファイナルステージに立ち、7年間立ち続けてきた。先輩たちが積み上げてきたものが、それが、ここで途切れてしまうかもしれない・・・「もう、メチャクチャ、救いようのないほどショックでした。だけど、ぼくがこんな顔していたら、みんなによくない影響が出ると思って」。神原さんは、下腹にぐっと力を入れて言った。
 「おまえらが和っしょいを通して学んだすべてをこの3分30秒で見せてくれ。次のことなんて考えなくていいから。この演舞が最後の演舞だと思え!」
 「神原さんが喝をいれてくれて。ぼくらの演舞はメチャよかったから、きっとファイナルへ行けるって思いました」(浪田さん)

 しかし、セミファイナルは強敵が揃う。どまつりも15年目を迎え、常連チームのほかにも力をつけているチームがどんどん台頭してきていた。常連チームでセミファイナルにいたのは、和っしょいだけではなかった。
 「俺らはステージなら絶対に負けない!」全員で休みなく、来る日も来る日も猛暑の中で練習を重ねてここまでやってきた。先輩の積み上げてきたものを私たちが崩すわけにはいかない・・・。100人の心は、一つになった。
 「正直言って、3日間の中で一番いい踊りでした」(神原)「みんな一列になって手をつないで結果発表を待っていました。隣りの3年の先輩が握る手に力がこもって…痛いほどでした(笑)。決まった瞬間は泣きました。もう、安心して。ぼくはその後の大賞とった時よりも泣きました」と浪田さん。「100人の部員にファイナル行けないのを味あわせたくなかった」と神原さん。
 ファイナルステージの順番は1番手だった。「あとは、全力で踊るだけ」(伊能)。
 「ファイナルステージで踊れる!」安堵感と嬉しさ。セミファイナルの盛り上がりのまま、ファイナルステージに突入。野沢温泉の道祖神祭りを題材にした演目「集火(つどいび)」は、“仲間に対する感謝”、そして“学生の持つ爆発力・エネルギー”がテーマになっている。
 男女の声だし役が、歌うがごとく言う。
 冬を彩る 祭りの炎 信濃に集いし若人よ
 祭りにかける思いは一つ 決意を宿した仲間と共に
 和っしょい 2013集火
 始まりは冬景色をイメージした白地に茶と青の1色ずつを配した衣装で踊り出す。こぶしを振り上げ、左右から走り込み、前後、左右にフォーメーションが変わり、また正面を向いて全員で同じ振りをする。祭りを迎える準備が整うと、中央に黒とオレンジの衣装で点火された炎を表す男性の迫力ある踊りが現れる、すると見る間に全員の衣装が黒とオレンジに。
 フォーメーション、振り、そして衣装がぴったりと合い、炎がだんだんと勢いを増し、祭りのエネルギーが増していく様子の美しさと迫力。そしてついには、全員が朱色と黄色の衣装となり、一つの炎になっていく。

 一人ひとりがテーマを胸に、踊り切ったステージだった。
 そして、どまつり大賞の受賞発表。
 会場から和っしょいに惜しみない拍手が送られる「良かったね」「良かったね」といってうなずきあう姿もある。
 どまつり会場と一体となった和っしょいは、最後の演舞を披露した。
 心ひとつに よいてぇこしょ~!

2013 どまつりが終わって

 どまつりを振り返っての言葉を神原さんに聞いた。
 「どまつりを終えて、まず仲間に感謝です。後輩も本当によくついてきてくれました。そして歴史を積み上げ、支えてくれた先輩たちへの感謝と尊敬の念がわき上がりました。月並みでも本当にそう思いました。誰もやったことがないこと(大賞を獲る)をやるには、これぐらいやらなくちゃと、僕は例年より練習量を増やしたんです。僕自身が代表として先輩たちに比べて劣等感もあったから、なおさら。大賞受賞の瞬間は、これまで生きてきた中で一番うれしかったですよ」
 3年生はこれで引退となり、2年生に引き継がれる。1年の浪田さんは大賞を獲ったことで「メチャうれしかったけど、翌日には、これからどうするのかな…とプレッシャーを感じた」という。そして「先輩たちがのこしたものを大切にしつつ、乗り越えていかなければ」と言葉を続けた。そう、「心ひとつに よいてぇこしょ~!」だ。みんな応援している。(了)

ポーズをとって撮影

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