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ダブルディグリー第一号をめざしてフランスへ留学する 石川達也さん 大学院(修士課程)理工学系研究科1年

ダブルディグリー第一号をめざしてフランスへ留学する 石川達也さん 

ダブルディグリーとは、母校の学位と留学先の学位を同時に取得できる制度のこと。繊維学部では、4年前にフランスの国立繊維工芸工業高等学院*と大学院修士課程レベルのダブルディグリーのプログラムについて実施協定を結んでいる。石川さんは繊維学部側から送り出す初めてのダブルディグリープログラム参加者だ。

2012年7月から渡仏する石川さんに、今回の留学にまつわる話を聞いた。

*フランス国立繊維工芸工業高等学院:ENSAIT(EcoleNationaleSuperieure des Artset Industries Textiles)

TOEICと留学

繊維学部では英語力を身に付けるために1,2年生はTOEICを年に2回受験することになっている。TOEICの高いスコアは、就職に有利であるし、研究者になるために英語力は欠かせないから皆頑張って勉強している。この勉強をきっかけに留学を考えるようになったのが石川さんだった。それまで「高校の時には、英語は苦手だし、留学するなんて全く考えていませんでした」という。

勉強法が的を射るものだったのだろうか、学部3年前期には、苦手だった英語を克服、750点という高スコアをマークした。「せっかく英語でコミュニケーションができるようになったのだから英語を使ってみたい、本格的に留学を考えてみようか…」と、先輩と初めて松本キャンパスにある国際交流センターを訪ねたのは3年の秋の始まりだった。その後、繊維学部国際交流推進室にも相談し、そこでダブルディグリーの制度の説明を受けた。

しかし、この時は2つの学位を取れることに魅力を感じたものの、フランスは全く知らず、フランス留学をイメージすることはできなかった。

なんといっても海外へ出たことがない。
石川さんは春休みを利用して、語学研修とホームステイをするためにカナダ・バンクーバーへと向かった。

ENSAITを目指して

大越研究室
大越研究室にて
フランス語講座
フランス語講座送別会

バンクーバーで石川さんが感じたのは、「自己主張をしないと誰も自分を認めてくれない」ということ。さまざまな国からやってきた学生たちの話に圧倒された。一方、日本人学生も多く、日本人同士固まりやすいのをみて、「お金かけてここまできているのに、なんてもったいないんだろう」とも思った。

日本へ向かう飛行機の中で石川さんは国際交流推進室で聞いたフランス留学の話を思い出す。「今や英語は当たり前。フランス語も知っていた方がいいんじゃないだろうか。もしかしたらフランス語を身に付けた方がぼくなりの個性が出せるのではないだろうか」
帰国するやいなや「よし、ダブルディグリーの制度を利用して、フランスへ留学しよう!」と心が決まる。

そうとなれば…行動が早く、集中力もぐんと増すのが石川さん。春休みが開けると、さっそく繊維学部でフランス語講座(授業時間外の有志によるもの)へ参加。発音や会話を学び、参考書を買って独学で文法などを学んだ。
フランス語講座では、長くフランスに在住していた経験を持つ坂本聖子さん(繊維学部学務グループ)が講師となり、繊維学部で学んでいるENSAITからの留学生も学習の支援をしている。

「石川くんはすごい、センスがあるのよ」坂本講師が石川さんのめざましいフランス語の上達ぶりを褒める。4月から習い始めて、10月のフランス語検定には準2級に合格。「奨学金制度への応募と準備は結構大変でした」という石川さんだが、日本学生支援機構留学生交流支援制度(長期派遣)とフランス政府給費留学生に応募し、フランス語の面接もこなして、見事に両方とも採択された(受給制限のためフランス政府奨学金の受給は辞退)。

ダブルディグリープログラム参加 先駆者として

ダブルディグリー第1号学生壮行会
ダブルディグリー第1号学生壮行会

プログラムの概要は、信州大学で修士課程の前期を終えて、後期から2年間をENSAITで学び、帰国後、後期の半年を再び信州大学大学院に通うというもの。通常2年の修士課程を3年かける。

協定を結んでから、ENSAITから2名のフランス人留学生が来て学位を取得している。短期(1セメスター)の交換留学は、すでに双方から数名の参加があるので、まったく未知の世界に飛び込んでいくわけではない。しかし、修士論文につながる研究を行い、双方の学位を得るのは信州大学では初めてのことだ。

石川さんの研究は、繊維の高強度化。繊維の製造技術については、日本は世界トップレベルで、フランスでは繊維の加工技術の研究が盛んだという。強度化に結びつく加工技術について研究する予定とのこと。

「研究のことだけ考えたら繊維学部にいた方が、機器も揃っていて効率が良いのかもしれません。でも、日本とは違う文化、異なる研究方法を学ぶことは自分にとって必ずプラスになると思います。また、こんな自分でも行けるんだということを見せたら、後が続いてきますよね、きっと」と石川さん。

一番であることを、不安や未知を全部ひっくるめて楽しもうという勢いが伝わってくる。
国際交流推進室の室長、下坂誠教授は「繊維分野のトップ技術者を養成しているENSAITで学んだ経験は、将来、繊維産業界で国際的に活躍するための糧になることと思います」。プログラム第一号の石川さんの2年後の成長を楽しみに、期待をかけて見守っている。

それでは、石川さん、輝く未来へ向かって、行ってらっしゃ~い!


*フランスの高等教育は、大きく分けてグランゼコールと大学とに分かれる。ENSAITは、グランゼコール。多くの学生を教育する大学とは違い、グランゼコールでは、専門分野においての高度専門職養成機関として、少数精鋭のエリート教育を行っている。

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