
理学部の理数学生応援プロジェクト(2009~2012年度)の受講生の佐藤永太郎さんが、平成24年2月18日(土)、19日(日)に文部科学省主催で行われた 「サイエンス・インカレ」(於:日本科学未来館および東京国際交流館プラザ平成)でポスター部門の奨励賞を受賞した。3年生(当時)でまとめられた自主研究の受賞は快挙だ。佐藤さんに話を聞いた。
ポスター発表をした研究テーマは「鉱物の構造色(輝石の例)」。鉱物は岩石と混同しがちだが、鉱物は、ほぼ一定した化学組成で、結晶としての性質を持つ岩石の構成要素になる。この鉱物の一つのグループが輝石。輝石にもいろいろとあるが、佐藤さんの研究した輝石は、珍しい黄金色にみえるものだ。
佐藤さんは、2年生の冬に理数学生応援プロジェクトで、世界の様々な石材を見るための日帰り研修に参加した。そこで出会ったのが、この輝石だった。黒い岩石の中にキラキラと、まるで金粉のように輝いている。
「輝石は、そのままでは光らないんです。なぜ、この色に光るのか追究したいと思いました」
応援プロジェクトの指導担当の先生に相談すると「面白いテーマだ」。ちょうど応援プロジェクトの「公募型のアドバンス実験・実習」の応募時期にあたり、計画書を申請、審査を通過し、研究が始まった。(「サイエンス・インカレ」には、研究がまとまりを見せてきた10月末に応募している)
CDや、しゃぼん玉のようにそのものに色がついていなくても、光のかげんで虹色のように見える。光には波動性があり、光の色(赤、黄、紫等)は、それぞれに波長の長さが違う。CDやしゃぼん玉など、その構造による反射の仕方で同じ長さの光の色の波長が強調されて(光の干渉)その色が見えるのだ。この色のことを構造色という。
佐藤さんの手にした輝石も、なんらかの組織的な構造から、黄金色の構造色が見えるのだ。電子顕微鏡や偏光顕微鏡、X線分析を駆使して観察、解析を重ねた結果、黄金色は、ほぼ2色の青色とオレンジ色の反射する光が混じり合って見えたものであり、この2色は薄膜干渉という光の干渉がもたらした構造色であったことがわかった。
しゃぼん玉も薄膜干渉で、薄膜ながら、膜の表面で反射する光と膜の厚さを通過して、内側の底辺から反射する光があり干渉がおきている。厚さによって強調される波長が変わってくるので、一定の厚さであれば一つの色に見える。輝石の場合、それが、オレンジ色を反射する厚さのものと青色を反射する厚さを持つイルメナイトという鉱物の薄膜が一定方向に並んでいて見えたものだった。
この結果に辿りつくまでに、仮説を立て、検証すべきポイントを定めて、観察し、調べる。観察するものは、もちろん、ナノメートルの超微細の世界で、一つ一つの要素を特定する小さなデータをたくさん積み上げていかなくてはならない。
佐藤さんは、この取り組みで初めて本格的な研究の手法や必要な機器の種類や使い方、さらにプレゼンの仕方を学んだ。必ずしも順調ではなく、立てた仮説の挫折も経験。「研究とは決して一人でするものでなく、相談し、意見をもらいながらやっていくものなんだ」と感じたという。
それまでやや引っ込みがちな自分であったというが、迎えた「サイエンス・インカレ」当日は、「自分の研究をたくさんの人に知ってもらいたいという強い気持ちで」臨み、見事ポスター部門にて奨励賞を受賞した。
応援プロジェクト担当の公文富士夫教授に受賞理由を尋ねると「学術的なオリジナリティと、会場で一生懸命に説明する、その真摯な姿があったことで高い評価を得ました」という。ちなみに信大からは、同時にもう一組の3年生が参加して、こちらも受賞は逃したものの高い評価を得ている。
インカレの会場では「かなりの高揚感」を味わったという佐藤さん。会場にいた医学や工学など他分野の学生たちの研究発表を聴いたり、他大学の地質関係の先生方と話したりして、大いに刺激を受け充実な時間を過ごしたようだ。中でも、鉱床の研究をしていた他大学の4年生との話は格別だった。卒業研究は、微量元素を用いて鉱床の研究をするつもりだという。
「研究者向きの・・」という評価もあるが、「将来は、銅やレアメタルなどの鉱床を外国に探しに」いく夢を抱いているようだ。
幼いころは、恐竜や化石が好きな父親に、よく博物館に連れていってもらった。「昔から石が好き」で、採取の仕方を覚えた今は、一人でひょいひょい近くの山に石を採りに行く。どうやら、彼に語りかけてくるのは“流行り”ではなく、足もとの地面、地球の声らしい。“冒険科学者”という将来像もあるかもしれない。
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