メインコンテンツへ移動

メニュー
閉じる
閉じる

卒業式 学長告辞

平成29年度卒業式・学位記授与式学長告辞 (2018年3月)

信州の山々は冬の様相を呈しているものの、そこから緑の息吹も感じられ、旅立ちにふさわしい季節が到来したと感じております。本日ここに多くの皆様のご臨席を賜り、平成29年度信州大学卒業式・学位記授与式を挙行できますことは誠に喜びに堪えないところであります。

平成29年度信州大学学部卒業生の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。大学院修了生並びに学位を取得された皆さんにも心よりお祝いを申し上げます。また、本日まで立派にご子息・ご息女を育ててこられたご家族の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。

今、皆さんの胸中には、在学中の様々な思い出が去来しておられることだろうと拝察いたします。これまでには、楽しかったことばかりでなく、苦しかったこともたくさんあったことでしょう。それらを乗り越え、本日、卒業・修了・学位取得を迎えられましたことに対し、心よりお祝い申し上げます。

今日までのさまざまな思い出と新生活への希望を胸に、明日からはそれぞれの道へと旅立っていきます。これから新たな道へ歩んでいけるのは、これまでの皆さんの努力によることはもちろんですが、ご家族の方々をはじめ、諸先生方、学友たちといった多くの方々の温かい愛情と限りないお力添えのお陰だということをどうか忘れないでいただきたいと思います。それぞれの分野で学んだことを今後の人生に活かし、信州大学卒業生・修了生としての自覚と自信を持って今後の人生を送っていただきたいと思っております。

さて、信州大学では、平成28年度までに学部の改組を順次行ってきましたが、現在大学院に関しても研究科の改組を進めております。修士課程では、平成28年度から、教育学研究科に高度教職実践専攻いわゆる教職大学院を設置しました。また、理工学系研究科と農学研究科の2研究科18専攻を、理学、工学、繊維学、農学及び生命医工学の5専攻により構成される総合理工学研究科へ統合再編しました。改組で誕生した研究科では、初めての修了生を送り出します。1期生としての誇りを胸に秘めて社会において活躍されることを期待しております。さらに、博士課程では、新しい時代に対応した博士人材の養成を目指し、医学系研究科と総合工学系研究科を統合再編し、新たに総合医理工学研究科を本年4月に設置します。超高齢社会の医療・福祉を支える生命医工学分野の人材を育成するため、修士課程に新設した生命医工学専攻の学年進行に対応し、博士課程にも生命医工学専攻を設置します。医学系専攻、生命医工学専攻、総合理工学専攻の3専攻体制で教育・研究を展開していくこととなります。新しい研究科に進学する方は、次代を担う人材となるべく、勉学・研究に励んでいただきたいと思っております。

ところで、最近、ノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智(さとし)先生が著した「ストックホルムへの廻り道-私の履歴書」を拝読しました。山梨県での生い立ちから、北里研究所等での研究活動、女子美術大学理事長としての大学運営、美術に対する深い造詣など、大村先生の幅広いご活躍には驚かされるばかりでした。その中でいくつかの言葉が引用されておりました。私自身の心に響いた言葉を二つ紹介させていただきます。一つ目の言葉は、「居は気を移す」です。孟子の言葉で、「住む場所や地位によって人の気性は変わる」ということを意味しています。卒業生や修了生の皆さんは、卒業・修了後住居を変える方が多いと思いますが、新たな場所で心機一転頑張っていただきたいと思っております。

二つ目の言葉は、「至誠惻怛(しせいそくだつ)」です。先程述べたご高著の結びで、若い人に贈りたい言葉として記されている言葉です。ノーベル賞を受賞された平成27年に今年の言葉として色紙に書かれ、配られていたようです。この言葉は、幕末、備中松山藩で藩政改革を行った学者・山田方谷(ほうこく)が、越後長岡藩の河井継之助(つぎのすけ)に伝えた言葉で、中国明代の儒学者である王陽明の一節とのことです。「誠を尽くし、いたわりの心を持って人に接する。そうすれば必ず道は開ける」という意味です。皆さんもこれから様々な方と出会うと思います。その時の接し方が重要だと思います。

そして、もう一つ、学長室に飾ってある言葉を紹介させていただきます。この言葉は、私が学長に就任したとき、下諏訪町在住の書家である小松朝韻先生から贈られた言葉です。「古今無二路(ここんにろなし)」という禅語で、やり方は違っても、賢者たちの行く道は今も昔もひとつだという教えです。「今、目の前にある自分の責任を果たしていくことが道を究めることにつながる」という意味です。「賢い人は周囲や環境がどうであれ、今やるべきことを果たして自分の信じる道をひたすら貫いていく」と言い換えることができます。

将来に対する期待に胸をふくらませると同時に、不安に心を痛めているとは思いますが、将来に対しては良いイメージを自ら描いて自分の信じる道を歩んでいって下さい。皆さんが信州大学卒業生・修了生としての高い志を持って、胸を張り、将来の人類社会のために頑張ってくれることを期待しております。それぞれの道で、最善を尽くし、活力のある社会を創るために自信をもって活動してください。結びに当たり卒業生・修了生諸君の社会でのご活躍を心より祈念し私の告辞と致します。

平成30年3月
信州大学長 濱田 州博