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入学式 学長式辞

平成30年度信州大学入学式 学長式辞 (2018年4月4日)

信州でもうららかな春の日差しが注ぐようになり、また、晴れやかな笑顔あふれる会場からも心温まる印象を受け、新たな門出にはふさわしい日となりました。本日ここに多くの皆様のご臨席を賜り、平成30年度信州大学入学式を挙行できますことは誠に喜びに堪えないところであります。
信州大学8学部に入学された2,114名の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。また、大学院6研究科に入学された781名の皆さんにも心よりお祝い申し上げます。大学進学に向けて、あるいは、大学院進学に向けて一生懸命に取り組んできたことと思いますが、その努力に対して敬意を表すると同時に、暖かい愛情を持って皆さんを支えてこられたご家族の方々をはじめ関係する皆様に心よりお祝い申し上げます。
大学あるいは大学院における新たな生活に対しては期待や希望があるとともに不安もあるかと思いますが、皆さんがこれまでに培ってきた力だけでなくこれから様々な力を身につけていただき、有意義な学生生活を送っていただければと思っております。そのために、教職員一同でお力添えできればと思います。

さて、信州大学では、学部の教育組織の改組や教育プログラムの改編に取り組んできましたが、現在、全学的な教育プログラムに関しても新たな取組をはじめているところです。一例を申し上げますと、昨年度から全学横断特別教育プログラムを開設致しました。このプログラムは、意欲のある学生が自らの専門領域での学修に加えて、専門分野を超えた知や分析視点を獲得し、学術に対する深い理解と経験を養うための学習機会を提供するものです。信州大学独自の履修認定制度で、学士課程の学生を対象とし、全学横断的に実践学習・実践活動等を行う授業が用意されています。履修コースとしては、昨年度にローカル・イノベーター養成コースをスタートさせました。このコースでは、将来に向けて取り組むべき課題を適切に設定し、地域社会の運営や経済活動等に革新をもたらす人材(ローカル・イノベーター)を育成します。本年度には、グローバルコア人材養成コースをスタートさせ、組織のコア人材として、現地スタッフをはじめ様々な人たちと協働しながら、求められるタスクを着実かつ確実に遂行できる人材(グローバルコア人材)を育成します。横串の教育プログラムにより新時代を担う人材を育成できればと考えております。

また、大学院に関しても研究科の改組を進めております。博士課程では、新しい時代に対応した博士人材の養成を目指し、医学系研究科と総合工学系研究科を統合再編し、新たに総合医理工学研究科を本年4月に設置しました。超高齢社会の医療・福祉を支える生命医工学分野の人材を育成するため、2年前修士課程に新設した生命医工学専攻の学年進行に対応し、博士課程にも生命医工学専攻が誕生しました。医学系専攻、生命医工学専攻、総合理工学専攻の3専攻体制で教育・研究を展開していくこととなります。本日出席している皆さんの中にも新しい研究科に入学した学生がいるかと思いますが、次代を担う人材となるべく、勉学・研究に励んでいただきたいと思っております。学部や大学院修士課程新入生の皆さんには、将来の進学先のひとつとしてご考慮いただければと思います。

そして、もう一つ、信州大学にとって非常に喜ばしいニュースを紹介させていただきます。平昌オリンピックは記憶に新しいと思いますが、信州大学関係では、教育学部卒業生で、現在相澤病院所属の小平奈緒選手、長野工業高等専門学校卒業生で、一時信州大学の職員として勤務し、現在株式会社電算所属の山中大地選手、出場当時信州大学教育学部4年生だった一戸誠太郎選手の3名がスピードスケートに出場しました。小平選手の金メダル・銀メダル獲得、山中選手と一戸選手の活躍は我々に大いに勇気と夢を与えてくれました。何れの選手も本学結城匡啓(まさひろ)教授の下で切磋琢磨してきたことが実を結んだものです。また、小平選手の言動には、競技に向き合う姿勢だけでなく、人生そのものに対する真摯な姿勢が現れていたと思います。我々も見習う点があるのではないでしょうか。

ところで、本日入学された皆さんは、将来2018年という年が大学に入学した年だと思い返すことがあるかと思います。私自身が大学に入学したのは、今からちょうど40年前の1978年です。少しだけ私の入学当時を振り返ってみることにします。兵庫県神戸市で生まれ育った後、1年の浪人生活を経て、大学進学に伴い東京へ移動しました。東京に住み始めた頃に感じたことで、今も覚えていることがひとつあります。それは、電車に関することで、複数のホームがあるときの発車する順番についてです。関西では、最初に出発する電車が「先発」、次に発車する電車が「次発」と表示されているのですが、関東のある私鉄では、最初に出発する電車が「こんど」、次に発車する電車が「つぎ」と表示されていました。自分自身の中では、「こんど」と「つぎ」は同じという感覚しかなく、『「こんど」と「つぎ」は一緒やろ』と思わず突っ込みを入れたくなるような戸惑いを感じたことを覚えています。これは本当に些細なことなのですが、多様な文化や習慣を持つ様々な地域から集まっている学生の皆さんは、これからこのような戸惑いを覚える機会が少なからずあるかと思います。些細なことであっても気づくということは非常に大事なことだと思います。日頃から「気づきの力」を養っていただければと思います。

次に、パーソナルコンピュータ、いわゆるパソコンも私が大学生の頃に個人所有できる価格帯のものが発売されました。と言いましても、大学生にはまだまだ高価でしたので、私が初めて触ったのは、大学4年生になった時で、研究室に置いてあったパソコンだったと思います。最初は、データ解析に使っていたのが、ワープロとしての使用になり、インターネット接続による電子メールや様々な情報検索、また、種々のソフトウェアの利用など広く活用されるようになっていきました。そして、今では、スマートフォンの普及により、インターネット接続は歩きながら行えるようになり、パソコン自身の使用形態も少し変わってきたように感じております。私自身は、成人した後にパソコンに出会い、30歳代半ば以降にインターネットを使い始めましたので、人生の半分以下しかインターネットに接触してはいません。それに対して、皆さんは、生まれたときからインターネット環境の中で生活し、様々な人やものがグローバルにつながれた世界で過ごしていると思います。コマーシャルの言葉を借りれば、スマホと一緒に大人になっていく多分はじめての世代だと思います。

そのような環境の中で皆さんは深く考えていますでしょうか。川上浩司(ひろし)先生が著した「京大式DEEP THINKING-最高の思考力」の中で、『「深く考える」とは、プロセスを省略せずに存分にたどり、様々な発見をし、自分なりの答えを導き出す営み』と記されています。また、『そうやって「発見」の回路が脳に一度形作られれば、深く考えることが自然と増え、自ずと思考力強化につながっていく』とも述べられています。大学時代は、深く考える力を身につける絶好の時期だと思います。様々な物事に好奇心を持って気づき、それについて深く考えてみて下さい。そのようにして身につけた「気づきの力」や「深く考える力」は、大学生活でも卒業後の社会における活動でも、基盤的な力として自分では意識しなくとも発揮できると思います。

結びに、皆さんが、信州の自然豊かな環境で、多様な文化や習慣を持つ様々な地域で育った仲間と交流し、充実した教育プログラムのもと種々の力を身につけ、世界で活躍する人材として巣立っていくことを祈念して、私の式辞といたします。
ご入学誠におめでとうございます。

平成30年4月4日
信州大学長 濱田州博