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令和2年度信州大学入学者等に対する学長メッセージ

  1. 令和2年度信州大学入学者等に対する学長メッセージ

令和2年度信州大学入学者等に対する学長メッセージ (2020年4月)

 暖かい日差しとともに、花の便りも聞かれる頃となり、新たな門出にはふさわしい季節となりました。本来ならば、信州大学8学部に入学された2,078名の学生、大学院5研究科に入学された801名の学生、ご来賓やご家族の皆様、教職員で、松本市総合体育館をお借りして入学式を挙行する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染が拡大している現在の厳しい状況の中で、学生だけでも2,879名に上る大勢の人間が一堂に会することは、出席者の感染リスクと感染拡大を防止するという社会的責任の観点から困難であるとの判断に至りました。学生やご家族の皆様、ご来賓とともに晴れの門出をお祝いできないことは、我々にとりましても苦渋の決断ですが、何卒ご理解下さいますようお願い申し上げます。本メッセージに関しましては、動画配信も考えましたが、いずれ状況が落ち着いた時点で、新入生の皆さんすべてと別々の機会であっても何らかの形で直接お目にかかり、挨拶したいとの思いから文面による方法を選択しました。事態が収束し、皆さんと直接お目にかかれる日を楽しみにしております。

 このような状況ですが、信州大学8学部並びに大学院5研究科に入学した皆さん、ご入学誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。大学進学に向けて、あるいは、大学院進学に向けて一生懸命に取り組んできたことと思いますが、その努力に対して敬意を表すると共に、暖かい愛情を持って皆さんを支えてこられたご家族の方々をはじめ関係するすべての皆様に心よりお祝い申し上げます。

 大学あるいは大学院における新たな生活に対しては期待や希望があるとともに、現在の状況に大きな不安もあるかと思いますが、皆さんがこれまでに培ってきた力だけでなくこれから様々な力を身につけていただき、有意義な学生生活を送っていただければと思っております。そのために、教職員一同でお力添えできればと思います。

 さて、信州大学では、教育組織の改組を順次進めてまいりましたが、本年4月の大学院総合人文社会科学研究科の設置と教職大学院の改組で、一区切りつくことになります。総合人文社会科学研究科は、人文科学研究科、経済・社会政策科学研究科、教育学研究科を統合再編して設置した研究科で、地域特有の課題に対して、自身の専門領域の高度な知識と技能に加えて、総合的な知見として、当該課題を客観的に分析解析する能力と課題全体を見渡せる俯瞰力や他分野への応用力を備え、他分野のメンバーとも協働して課題解決のための方策を提案できる「地域中核人材」の養成を目指しています。新しい研究科に入学した学生の皆さんには、自分自身で目標とする人材像を定め、勉学・研究に励んでいただきたいと思っております。学部新入生の皆さんには、将来の進学先のひとつとして今からご考慮いただければと思います。

 また、信州大学では、「全学横断特別教育プログラム」を開設しております。このプログラムは、意欲のある学生が自らの専門領域での学修に加えて、専門分野を超えた知や分析視点を獲得し、学術に対する深い理解と経験を養うための学習機会を提供するものです。信州大学独自の履修認定制度で、学士課程の学生を対象とし、全学横断的に実践学習・実践活動等を行う授業が用意されています。履修コースとしては、2017年度に「ローカル・イノベーター養成コース」を、2018年度に「グローバルコア人材養成コース」を、2019年度に「環境マインド実践人材養成コース」をスタートさせ、履修登録した学生が熱心に勉学に励んでおります。それぞれのコースについて理解いただいた上でぜひ履修を考えて下さい。

 ところで、皆さんは「エドテック(EdTech)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。教育(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉で、IT技術等を教育分野に活かす取組全般を指す言葉です。「EdTechエドテック テクノロジーで教育が変わり、人類は『進化』する」(山田浩司著、幻冬舎、2019年)を拝読すると、エドテックに関する概要が理解でき、エドテックの特徴について知ることができます。「データ化」、「可視化」、「効率化」が3つの特徴として記されています。コンピュータを使った勉強により、勉強の履歴がすべてデータ化されます。データ化によりその人の教育成果を可視化できます。それにより教育方針が明確となり、効率化につながると考えられます。信州大学でも早い段階でe-Learningシステムを導入しておりますが、これはエドテックの初期段階に過ぎません。米国ミネルバ大学では、固有のキャンパスを持たず講義をすべてオンラインで行っていますが、双方向通信を利用した学生同士のディスカッションが中心のゼミです。エドテックによる教育と実際にキャンパスで行う教育をどのように組み合わせていくかが今後大学の大きな課題になっていくと考えられます。移動が制限されるような状況にあっても教育をおろそかにすることはできません。教育を持続的に行う意味でもエドテックの重要性を認識いただければと思います。

 今年度は、新型コロナウイルス対策のため、教室での授業が5月11日まで延期されるなど、皆さんにとって、大変厳しい状況下で始まった学生生活ですが、世界が見えない敵と闘っているこういう時だからこそ、一人一人がどのように行動するか、よく考えてから行動して下さい。自分がこの行動をしたら何が起こるか、想像力を培って下さい。よい習慣を学生時代に身につけて下さい。特に、卒業後も一生涯学び続けるための方法論を身につけて下さい。人は人と共に生きていることを忘れないで下さい。

 結びにあたり、皆さんが、信州の自然豊かな環境で、多様な文化や習慣を持つ様々な地域で育った仲間と交流し、充実した教育プログラムのもと積極的に種々の力を身につけ、世界で活躍する人材として巣立っていくことを祈念して、私のメッセージといたします。

 ご入学誠におめでとうございます。

2020年4月
信州大学長 濱田州博