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卒業式告辞

卒業式 学長告辞

平成28年度卒業式学長告辞 (2017年3月)

 信州の山々には雪が残るものの、春の兆しがそこここに見られ、旅立ちにふさわしい時節が到来したと感じております。本日ここに多くの皆様のご臨席を賜り、平成28年度信州大学卒業式・学位記授与式を挙行できますことは誠に喜びに堪えないところであります。平成28年度信州大学学部卒業生の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。大学院修了生並びに学位を取得された皆さんにも心よりお祝いを申し上げます。また、本日まで立派にご子息・ご息女を育ててこられた保護者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。

 今、皆さんの胸中には、在学中の数年間にわたる思い出が去来しておられることだろうと拝察いたします。これまでには、楽しかったことばかりでなく、苦しかったこともたくさんあったことでしょう。それらを乗り越え、本日、卒業・修了・学位取得を迎えられましたことに対し、心よりお祝い申し上げます。

 今日までのさまざまな思い出と新生活への希望を胸に、明日からはそれぞれの道へと旅立っていきます。これから新たな道へ歩んでいけるのは、これまでの皆さんの努力によることはもちろんですが、保護者の方々をはじめ、諸先生方、学友たちといった多くの方々の温かい愛情と限りないお力添えのお陰だということをどうか忘れないでいただきたいと思います。それぞれの分野で学んだことを今後の人生に活かし、信州大学卒業生・修了生としての自覚と自信を持って今後の人生を送っていただきたいと思っております。

 さて、国立大学法人では、6年毎に中期目標・中期計画を作成して様々な事業を進めていくことが義務づけられており、平成16年度に法人化して以来2度の中期目標・中期計画期間が終了し、平成28年度から第3期中期目標・中期計画期間が始まりました。第3期では、国立大学法人が3つの分類に分けられ、信州大学は、3分類の内、重点支援①を選択し、先鋭領域融合研究群を中心とした世界的な教育研究と多分野における地域的・全国的な教育研究拠点を構築することを目標に掲げております。地域的な取組を重視しながらも特色ある分野で世界ナンバーワンを目指していくべく奮闘しているところです。そのような中で、世界的な情報サービス企業であるトムソン・ロイター社が保有する学術論文及び特許情報を基にアジアで最もイノベーティブな大学ランキングトップ75が昨年発表されました。1位は韓国科学技術院で、日本の大学に関しては、2位の東京大学を含め20大学がランクインしました。内訳は、国立大学17校、私立大学3校で、信州大学は39位でした。本ランキングは、科学の進歩、新技術の発明、グローバル経済の推進に最も貢献した教育機関を明らかにする試みとのことで、本学が39位、日本の大学の内14位にランクインしたことは卒業生・修了生の皆さんにとっても誇れることではないでしょうか。

 ところで、昨年教育学部附属松本中学校が創立70周年を迎え、その記念に「21世紀をリードする地球市民に期待すること」と題して講演させていただきました。講演に際して、自分が生まれた時代がどうだったのかを振り返ったのですが、私が生まれた1959年は、1964年に開催された第18回夏季オリンピックの開催地が東京に決定された年であることが分かりました。奇しくも、卒業生の皆さんが入学した2013年は、2020年に開催予定の第32回夏季オリンピックの開催地が東京に決まった年であり、時代が一巡した感がしております。講演の中では、3つのテーマを取り上げて提言し、中学生と意見交換しました。1つ目は、気象変化や自然災害など、環境変化にどう対応していくかです。地震、火山噴火、豪雨などとどう向き合っていくかを話しました。2つ目は、エネルギー供給をどうするかです。私が学生の頃、石油が無くなった後どう対応するかという授業をいくつか受けた記憶があります。現在はシェールオイルの利用等状況は変化しておりますが、再生可能エネルギーへの移行等考えていかねばならない大きな課題かと思います。3つ目は、メディア・通信の変化にどう対応するかで、生まれたときにテレビ放送が始まった私の世代とスマートフォンとともに育ってきた中学生ではメディア・通信に関する接し方は大きく違うように感じました。何れのテーマも時代とともに大きく変化しており、育った時代により感じ方や考え方は異なって当然かと思います。今後、バーチャルリアリティ(VR)、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などがより身近なものとなり、それらとともに育つ世代が出てくると思います。そのような中で皆さんがどのように働き、生活していくか、考えていただきたいと思っております。「時代」、大学は先取りするところだと私は考えておりますが、時代とともにどう歩むかはそれぞれの立場によると思います。皆さんがこれから歩んでいくそれぞれの人生で「時代」を常に意識していただければと願っております。

 将来に対する期待に胸をふくらませると同時に、不安に心を痛めているとは思いますが、将来に対しては良いイメージを自ら描いて日本の将来を担っていって下さい。皆さんが信州大学卒業生・修了生としての高い志を持って、胸を張り、将来の人類社会のために頑張ってくれることを期待しております。それぞれの道で、最善を尽くし、活力のある社会を創るために自信をもって活動してください。終わりに当たり卒業生・修了生諸君の社会でのご活躍を心より祈念し私の告辞と致します。

平成29年3月
信州大学長 濱田 州博