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入学式式辞

入学式 学長式辞

平成29年度信州大学入学式 学長式辞 (2017年4月4日)

 松本平に降り注ぐ光にも、北アルプスから吹く風にも、春の暖かみを感じるようになり、新たな門出にふさわしい季節となりました。本日ここに多くの皆様のご臨席を賜り、平成29年度信州大学入学式を挙行できますことは誠に喜びに堪えないところであります。
 信州大学8学部に入学された2,160名の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。また、大学院6研究科に入学された808名の皆さんにも心よりお祝い申し上げます。大学進学に向けて、あるいは、大学院進学に向けて一生懸命に取り組んできたことと思いますが、その努力に対して敬意を表すると同時に、暖かい愛情を持って皆さんを支えてこられた保護者の方々をはじめ関係する皆様に心よりお祝い申し上げます。
 大学あるいは大学院における新たな生活に対しては期待や希望があるとともに不安もあるかと思いますが、皆さんがこれまでに培ってきた力だけでなくこれから様々な力を身につけていただき、有意義な学生生活を送っていただければと思っております。そのために、教職員一同でお力添えできればと思います。

 さて、まずは国立大学法人を取り巻く環境について少し触れておきたいと思います。国立大学法人は、6年毎に中期目標・中期計画を作成することとなっており、昨年度から第3期中期目標・中期計画期間が始まりました。第3期では、国立大学法人運営費交付金において3つの重点支援枠が設けられました。信州大学は、重点支援①を選択しましたが、それは、主として、地域に貢献する取組とともに、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で世界・全国的な教育・研究を推進する取組を中核とする国立大学を支援する枠組みです。平成26年3月に設置した先鋭領域融合研究群を中心とした世界的な教育研究と多分野における地域的・全国的な教育研究拠点を構築することを目標に掲げております。一昨年まで実施された日経グローカル誌による「全国大学の地域貢献度ランキング」で、4年連続1位となった地域的な取組を重視しながらも、特色ある教育・研究分野で世界ナンバーワンを目指していきたいと考えております。皆さんもぜひ独創性の豊かさが認知されている信州大学生として共に目標達成に向けて取り組んでいただければと思います。

 第3期中期目標の達成に向けて、特色ある教育・研究のグローバル展開、創造性豊かな人材育成、地域・社会発展への寄与を持続的・戦略的に行うために、6つのキーワード、3つのGと3つのLを設け、大学運営の基本方針を定めております。3つの「G」は、Green、Global、Gentleで、自然環境豊かな信州での環境マインドの涵養、グローバルに活躍でき、気品高い人材の育成を、3つの「L」は、Local、Literacy、Linkageで、地域と連携した戦略的な取組、深い教養が身につく教育、研究を通した次代の教養構築、様々な連携の強化を示しています。入学生の皆さんには6つのキーワードに込めた思いをご理解いただき、信州大学生として歩んでいっていただければと願っております。

 ところで、皆さんは信州大学の広報誌「信大NOW」をご存知でしょうか。信州大学のトピックスを広く周知するためのものです。信州大学のウェブページでも閲覧できますので、今後ともご覧いただきたいと思います。その広報誌の企画に、「伝統対談」があり、私が学長に就任以降3名の卒業生と対談させていただきました。一人目は、農学部卒業生の宮崎吾朗さんです。スタジオジブリで「コクリコ坂から」など、アニメーション映画の監督をされている方です。宮崎さんとの対談の中で印象に残っている言葉があります。それは、「一人でヒマなとき、ボーッとしているときに見える風景は信州ならではです。私の場合は前に畑、森があって奥に南アルプスが聳えていました。このボーッとしているときに見ていた対象が、人工のものではなくて自然のものであることは、財産とも言えるものです。」という言葉です。皆さんもぜひキャンパス生活や日常の暮らしの中で信州ならではの時間の使い方や感じ方をしていただければと思います。
 二人目は、教育学部卒業生の出口友洋さんです。Wakka Groupの代表で、三代目俵屋玄兵衛と言うブランド名で新鮮なお米を香港、シンガポール、台湾、ハワイにおいて販売されている方です。出口さんは、学生時代に1年半休学して中国、韓国、アメリカを回られたとのことで、その海外経験が現在海外で仕事をすることにつながっているとのことでした。皆さんもぜひ積極的に海外への短期、長期の留学を考えてみてはどうでしょうか。また、出口さんは、今年から伊那市で輸出専用米の生産を始めており、北海道出身ながら信州には強い思い入れをお持ちです。長野県出身者が今年の入学生も25%と少ない信州大学ですが、卒業生の約40%が長野県内の自治体や企業等に就職します。学生時代に長野県内の自治体や企業等をよく知っていただき、長野県内就職も一つの選択肢にしていただければと思います。
 三人目は、工学部卒業生の野村達雄さんです。ナイアンティック社でポケモンGOのゲームディレクターをされている方です。大学で受けた「論理回路」の授業の楽しさと研究室での研究の充実感が今の職業に進む大きなきっかけになったとのことです。また、「18歳に戻れたとしたら」という質問には、「社会に出ると、じっくりと腰を据えて勉強する時間は取れませんから、後輩の皆さんに声をかけるとすれば、『時間がある今のうちに勉強しておくといいよ』と言いたいです。」と答えています。皆さんにはぜひ学生時代だからこそある時間を十分に考えて使っていただければと思います。
 3名の卒業生との対談からは、学生時代の学び方や過ごし方が社会に出てからの活動にも大きく影響していることが分かります。どのように時間を使うかは、皆さん自身で考えねばなりません。自分に最も適した使い方を考えて下さい。大学では、皆さんが選択した専門分野の学修だけではなく、社会を生き抜く力も身につける必要があります。様々な方法論を身につけると共に、時間の使い方も体得して下さい。

 最後に、皆さんが、自然豊かな環境で、異文化で育った仲間と交流し、充実した教育プログラムのもと次代を先取りし、世界で活躍する人材として巣立っていくことを祈念して、私の式辞といたします。
 ご入学誠におめでとうございます。


平成29年4月4日
                     信州大学長 濱田州博