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入学式式辞

入学式 学長式辞

平成28年度信州大学入学式 学長式辞 (2016年4月4日)

 北アルプスから吹く風にも、また、会場近くの女鳥羽川を流れる水にも暖かみを感じるようになり、新たな門出にふさわしい季節となりました。本日ここに多くの皆様のご臨席を賜り、平成28年度信州大学入学式を挙行できますことは誠に喜びに堪えないところであります。
 信州大学8学部に入学された2178名の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。また、大学院6研究科に入学された744名の皆さんにも心よりお祝い申し上げます。大学進学に向けて、あるいは、大学院進学に向けて一生懸命に取り組んできたことと思いますが、その努力に対して敬意を表すると同時に、暖かい愛情を持って皆さんを支えてこられた保護者の方々をはじめ関係する皆様に心よりお祝い申し上げます。
 大学あるいは大学院における新たな生活に対しては期待や希望があるとともに不安もあるかと思いますが、皆さんがこれまでに培ってきた力だけでなくこれから様々な力を身につけていただき、有意義な学生生活を送っていただければと思っております。そのために、教職員一同でお力添えできればと思います。
 さて、信州大学では、現在大学改革の一貫として教育組織の改組が進行中です。平成25年度に人文学部が2学科から1学科に改組しましたが、その1期生が今年度4年生となり、1年生から4年生まで改組後の学生となります。新たな教育体制ですべてのカリキュラムを開講することとなり、文字通り完成年度を迎えます。そのような年に入学する人文学部入学生にはカリキュラムの全体像がつかみやすいかと思いますので、計画的に学修していただければと思います。平成27年度には、理学部が6学科から2学科に、農学部が3学科から1学科に改組しました。本日ここにいる理学部入学生や農学部入学生は、改組後の2期生に当たります。昨年入学した1期生は教養教育中心の1年生から専門教育中心の2年生になったばかりですので、新たな教育体制においてはまだ創生期と言えます。1期生とともに新たな理学部、新たな農学部の歴史を刻んでいっていただければと思います。
 本年度、平成28年度には、4学部で改組を行いました。教育学部では、「生涯スポーツ課程」と「教育カウンセリング課程」の学生募集を停止し、「学校教育教員養成課程」と「特別支援学校教員養成課程」を一つに統合して、1課程14コースで学生を募集しました。すべてのコースで卒業要件を満たせば教育職員免許状を取得することができます。また、卒業要件とは別に必要な単位を修得することで様々な教育職員免許状の取得も可能です。教育学部入学生の皆さんは教育職員免許状の取得に向けて、さらに、教員となるために日々学修に励んでいただければと思います。工学部では、7学科から5学科に改組しました。この改組には3つのポイントがあります。一つ目は、エネルギー、食、水などといった現代社会が抱える課題を見据え、その解決を目指した学科構成であることです。二つ目は、学科横断特別プログラムなどにより専門分野を超えて横断的に学べることです。三つ目は、次の時代、次の世界を工学から創造していく人材を育成できる体制としたことです。工学部入学生の皆さんには工学を軸に次代を担う人材となるために学修に励んでいただければと思います。繊維学部では、細分化された4系9課程を再編し、柔軟な履修を可能にする4学科に改組しました。それとともに、学問分野を融合した学びを提供するために、学科横断教育プログラム、「ファッション工学プログラム」、「先進複合材料工学プログラム」、「国際連携プログラム」を新設しました。繊維学部入学生の皆さんには、新たなプログラムに挑戦し、学修の幅を広げていただければと思います。最も大きく変わったのが、経法学部です。経済学部から改称し、学士(経済学)を授与する応用経済学科と学士(法学)を授与する総合法律学科の2学科体制になりました。ホームページにありますように、時代が要求する能力をベースとした新しい学びのスタイルで、課題解決に直結した社会科学、社会に活かせる経済学や法学を学ぶために生まれた新学部です。今年度の経法学部入学生は、経法学部1期生ですので自分たちが新たな歴史をつくるという気概を持って学生生活を送っていただければと思います。
 医学部では、組織的な改編は行っていませんが、カリキュラムを絶えず見直し、国際的に通用する人間性豊かな医療人材の育成を行っております。医学部入学生の皆さんには、医学的知識や医療技術の修得はもちろんのことですが、医療従事者として人間性を磨いていただければと思います。
 大学院修士課程でも平成28年度から新たな組織がスタートしました。一つは、教育学研究科に高度教職実践専攻いわゆる教職大学院を設置したことです。教職大学院では、「臨床の知」をさらに深化させ、学びをデザインできる指導力、多様な教育課題に柔軟に対応でき解決できる能力やマネジメント力を持った教員を育成することを目的としております。教職大学院入学生の皆さんには、学校現場をフィールドとした実践的な実習の中で教員としての資質を高めていただければと思います。また、学校教育専攻入学生の皆さんには、それぞれの専修で教育専門職業人としての資質の向上を目指していただければと思います。もう一つは、理工学系研究科と農学研究科の2研究科18専攻を、理学、工学、農学、繊維学及び生命医工学の5専攻により構成される総合理工学研究科へ統合再編したことです。医学・理学・工学・農学・繊維学の垣根を越えた異分野連携を可能とする生命医工学専攻を設置することにより学際的な教育・研究も強化できると考えております。総合理工学研究科入学生の皆さんには、幅広く学修し、異分野も考慮した研究をしていただければと思います。
 また、人文科学研究科、経済・社会政策科学研究科、医学系研究科、総合工学系研究科入学生の皆さんには、精一杯勉学、研究に励み、世界で活躍できる人材に巣立っていっていただければと思います。
 ところで、皆さんは信州大学の名称の由来をご存知でしょうか。教育学系:石澤 孝教授が執筆した「ながの学ことはじめ-信州名称考」では、次のように述べられています。単科大学及びこれに類する大学以外の複数学部からなる新制国立大学は、1949年に奈良県を除く全国の都道府県に一つずつ計46大学設けられました。これらの新制大学の名称には、原則として本部が所在する都道府県名または都市名が冠されました。例えば、信州大学の近くで言えば、山梨大学や群馬大学は県の名前、金沢大学や名古屋大学は都市の名前が付いています。例外が東北大学、九州大学、琉球大学、信州大学の4大学です。東北大学と九州大学は旧制帝国大学を母体とした地域の名称で、琉球大学は当時の米軍統治下の琉球列島国民政府によって設立されたのでその名称に由来しています。例外中の例外が信州大学の名称です。発足時は、旧長野県である長野市を中心とする東北信地方と旧筑摩県である松本市を中心とする中南信地方の人口がほぼ等しく、最後の分県運動が生じた時期とほぼ一致しています。そのことから、旧長野県をイメージする「長野」ではなく、県内を広くさす呼称である「信州」という名称を大学名に冠したのではないかと考えられています。名称だけとっても様々な歴史的背景が隠されています。皆さんにはぜひ前身の学校も含めた信州大学の歴史にも思いをはせていただければと思います。信州大学の歴史を思い起こしていただくという意味では、入学式にて信州大学の前身の一つである旧制松本高等学校思誠寮の寮歌「春寂寥」と昭和30年代の学生歌「叡智みなぎる」を斉唱します。本日は、「春寂寥」を作曲された濱徳太郎様のご子息素紀様とご令嬢有(あり)様、両曲の編曲をされた丸山嘉夫様にご臨席を賜っております。
 先程旧国名として信州を述べさせていただきましたが、旧国名と言えば、「信濃」という言葉を耳にすることも多いかと思います。現在放映されているNHKの大河ドラマ「真田丸」では、真田家は信濃の国衆であると紹介されています。ドラマなのでかなり脚色されておりますが、主人公の信繁は安土へ行ったり、京都へ行ったり、上越へ行ったり、様々な場所で見聞を広げる様子が見られます。ついつい今の時間感覚で見てしまいますが、実際には現在の海外旅行よりもはるかに長い時間をかけて出かけていたのだと思います。その中で異文化に触れ、様々な知識や術を獲得し、人間を磨いていったのだと思います。何となくこじつけのようになってしまいますが、入学生の皆さんにも様々な人や文化と触れていただき、それを糧に自分磨きをしていただければと思います。幸い信州大学には北海道から沖縄まで全都道府県の学生が在籍しております。まずは異なる文化的背景を持った学生と会話をして異文化に触れてみるのも良いでしょう。また、積極的に海外に出かけ、他国の文化に触れてみるのも良いでしょう。
 もう二つ入学生の皆さんにお願いがあります。一つは、主体的に学習に取り組んでいただきたいということです。学力の重要な三つの要素としては、基礎的・基本的な知識・技能、知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等、主体的に学習に取り組む態度が示されております。皆さんが主体的に何をどのように学ぶか積極的に取り組むことで4年間の成果が決まると思います。単位を取得するための学習ではなく、主体的に学修して結果として単位が修得できるように取り組んでいただければと思います。もう一つのお願いは、皆さんのほとんどが松本の住人であり、住人としての役割も果たしていただきたいということです。住民票を移しているかどうかに関わらず生活をしている場所ですので、防災意識として自助、共助、公助と言うことを強く意識して下さい。松本市24万人のうち約6千人、40人に1人が信州大学生です。防災に限らず皆さんが市民の皆様と一緒に活動することはいろいろとあるかと思います。ぜひ松本の住人であることも意識していただければと思います。
 最後に、皆さんが主体的な学修を通して人として成長し、世界で活躍する人材として巣立っていくことを祈念して、私の式辞といたします。
 ご入学誠におめでとうございます。


平成28年4月4日
                     信州大学長 濱田州博