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経法学部 金本圭一朗講師が、世界各国での財・サービスの生産、消費活動が及ぼす絶滅危惧種への影響について、地図上での視覚化に成功

17年01月04日

金本圭一朗(信州大学経法学部、信州大学社会基盤研究センター)
Daniel Moran(Norwegian University of Science and Technology)  

 

世界各国での財・サービスの生産、消費活動が及ぼす 絶滅危惧種への影響を地図上に視覚化
~生物多様性を保護するためのより有益な手段を探る新たなツールとして~  

 

◇発表概要

  • 187 カ国における 1 万 5000 以上の財・サービスと消費者とを結ぶサプライチェーン(※原料の段階から財やサービスが消費者の手に届くまでの全体的な流れ)が、 世界のどの場所で絶滅危惧種に影響を与えているかを地図上に明示し、ある国の生産・消 費活動が世界の生物多様性に及ぼす影響を視覚化した。
  • 日本の消費が、東南アジア、南アメリカをはじめとする世界各国で種を絶滅の危機にさらしていること、さらにその危機が生じさせている詳しい地域を含めて初めて明らかにし た。その結果、東南アジアでその影響が局所的に大きいことが明らかになった。 
  • 世界各地の生物多様性の保護における責任の所在が明らかになり、研究結果を利用するこ とで、政府や企業による保護政策がより効率的なものとなることが期待できる。
  • 研究成果は、2017 年創刊の Nature誌の姉妹誌 Nature Ecology & Evolution誌に掲載された。  

 

◇研究方法

  • 国際自然保護連合(IUCN)の「絶滅のおそれのある生物種のレッドリスト」および BirdLife International が作成した絶滅危惧種の生息範囲を示した地図から、生物多様性 が危機にさらされている地域(ホットスポット)の世界分布図を構成した。
  • ある国に着目し、その国で最終的に消費された財・サービスの生産活動が、それぞれの種が瀕している危機にどの程度影響しているかを上記の図と世界経済モデルを統合するこ とにより推計した。
  • 日本および世界各国の消費によって引き起こされている生物多様性が危機にさらされて いる地域を約 7000 生物種ごとに可視化して、その図を重ねあわせることで陸域ではその 値が高いほど図を暗い紫色、海域では黄色で着色した (下図参照)。  

20170104figure01.jpg 日本の消費によって世界各国で種を絶滅の危機に晒している場所を地図上に視覚化した図  

 

◇研究の特徴

  • 本研究は、2012 年 6 月に、発表者 2 人を含む 6 名の研究者の共著で Nature 誌にて発表 した論文「開発途上国の生物多様性の脅威を助長する国際貿易」で得たデータを元として いる。
  • 前回発表した論文では、財・サービスのサプライチェーンと生物多様性への影響とを国同士のレベルでのみ記述していたが、今回、各国内の地域レベルにまで範囲を特定して関連 を明らかにすることで、世界ではじめて地図上に視覚化した。  

 

◇期待される効果

  • ある地域での生物多様性の危機について、その地域内だけでなく、国際貿易を通じたサプライチェーンに関わる製造業や販売業者、消費者など多様な主体が負うが地図上で明らかになった。例えば、住宅建設メーカーが、世界中のどの国のどの地域から木材を輸入すべきでないのか、逆に、どこからであれば生物多様性への影響を最小限にできるのかが明 らかになった。
  • 日本および世界各国が、生物多様性の危機について、どの地域へどのような施策を打つのが効果的であるかを考えるデータとなる。例えば、自国の消費が種を絶滅にさらしている地域に保護区を設定することで、効率よく多くの種を絶滅の危機から救うことが可能と なる。  

 


◇発表者 
 金本圭一朗(信州大学経法学部、信州大学社会基盤研究センター)
 Daniel Moran(Norwegian University of Science and Technology) 


◇発表論文・発表雑誌

 雑誌名:Nature Ecology & Evolution
 掲載日:2017 年 1 月 4 日
 論文タイトル:Identifying the Species Threat Hotspots from Global Supply Chains
 著者:Daniel Moran, Keiichiro Kanemoto 
 http://dx.doi.org/10.1038/s41559-016-0023


◇問い合わせ先
信州大学経法学部、信州大学社会基盤研究センター
講師 金本圭一朗
オフィス: 0263-37-2326
keiichiro.kanemoto@gmail.com