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起立時の心拍数を調節する自律神経機能に下半身の圧迫が及ぼす影響

2024年01月10日 [研究]

 保健学科理学療法学専攻の小宅一彰准教授とゼミ生の片井美由紀さん(現所属、富山県立中央病院)、米山 杏さん(現所属、富士見高原病院)らが卒業研究の一環で取り組んだ研究成果が、生理学関連の国際誌 Frontiers in Physiology (IF4.0)に掲載されました。

 体位性頻脈症候群は、起立時の頻脈と立ち眩み症状を特徴とした、若年女性に好発する症状です。下腹部や下肢を腹帯やストッキングで圧迫すると起立時の頻脈を軽減できることが知られています。本研究では、健常成人を対象に、下半身の圧迫が心拍数を制御する自律神経機能にどのような影響を及ぼすのかを調べました。心拍数を制御する自律神経機能は、1拍ごとの心拍間隔の変動(心拍変動)を解析することで評価しました。本研究の対象者は体位性頻脈症候群と診断されていない健常成人でしたが、下腹部や下肢の圧迫により起立時の心拍数増加を抑える効果を認めました。また、圧迫により起立に伴う交感神経活動の興奮と副交感神経活動の減弱が共に抑えられることが示されました(参考図)。さらに変数間の関係を解析したところ、下半身への圧迫による交感神経活動の抑制が、起立時の心拍数増加を抑える効果に関連していることが示唆されました。起立時の交感神経の過活動は、体位性頻脈症候群を発症する要因の一つであると考えられています。
 本研究の成果は、体位性頻脈症候群の病態に応じた治療選択に役立つ基礎的なエビデンスとなることが期待されます。


240109_oyake_02.png

(参考図)


 


掲載論文情報
著者名: Oyake K, Katai M, Yoneyama A, Ikegawa H, Kani S, Momose K.

論文名: Comparisons of Heart Rate Variability Responses to Head-up Tilt With and Without Abdominal and Lower-Extremity Compression in Healthy Young Individuals: A Randomized Crossover Study

掲載されたジャーナル: Frontiers in Physiology 

論文掲載URL: https://doi.org/10.3389/fphys.2023.1269079


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