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保健学科 検査技術科学専攻 長野則之教授グループの病院下水に潜在する薬剤耐性菌の調査解析に関する研究論文がJournal of Global Antimicrobial Resistance誌に掲載されました

2022年10月18日 [研究]

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 医学部保健学科 検査技術科学専攻 病因・病態検査学領域 長野則之教授の研究グループ所属の瀧澤志野さん、曽我英司さん (医学系研究科 修士課程)の共同筆頭著者論文がJournal of Global Antimicrobial Resistance誌 (IF 4.349)に掲載されました。

 病院下水は薬剤耐性菌の主要なリザーバーであり、且つ耐性遺伝子の水平伝播の場として認識されています。病院下水はこれらの薬剤耐性菌、耐性遺伝子の市中下水への供給源となり、雨水下水合流式下水道の場合、異常気象による豪雨の溢水で市中環境が汚染され公衆衛生上の懸念を招く可能性があります。従って病院下水における薬剤耐性菌、耐性遺伝子の調査研究は病院施設内及び地域レベルでのそれらの動向把握に重要な情報を提供します。
 薬剤耐性菌、特にカルバペネマーゼ産生菌は感染症治療の最後の砦となるカルバペネム系薬に耐性を示すことから、臨床上重要な薬剤耐性菌として注視されています。本研究では病院下水からカルバペネマーゼ産生菌の検出を試みた結果、国内ではいまだ希なGES-24カルバペネマーゼ産生菌が優位に、GES-5カルバペネマーゼ産生菌がこれに次いで腸内細菌目細菌の複数菌種から長期にわたって見出されました。この医療施設では臨床分離株においてGES型カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌の検出履歴がないことが注目されます。特にGES-24カルバペネマーゼ遺伝子は稀なTn402様クラス3インテグロンの多様な遺伝子カセット領域内に担われていることが明らかとなり、このインテグロンが病院下水環境中で種々耐性遺伝子を付加的に獲得できる適応能を有することが懸念されます。さらには病院下水環境中に長期間定着しているこれらの薬剤耐性菌が配管システムを介して上行性に拡散し、シンク等の病院環境を汚染し医療関連感染の発生リスクを増大させる可能性があることに対して注意を喚起するものです。


論文
Takizawa S, Soga E, Hayashi W, Sakaguchi K, Koide S, Tanabe M, Denda T, Sugawara Y, Yu L, Kayama S, Sugai M, Nagano Y, Nagano N.

Genomic landscape of blaGES-5- and blaGES-24-harboring Gram-negative bacteria from hospital wastewater: emergence of class 3 integron-associated blaGES-24 genes.

Journal of Global Antimicrobial Resistance, Volume 31, 2022, Pages 196-206,(ISSN 2213-7165)
doi: 10.1016/j.jgar.2022.09.005.

論文掲載URL
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S221371652200220X?via%3Dihub

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