国際交流・留学
2023年度 春・ドイツ 「ドイツ留学報告」(臨床実習)
氏名:内田 貴文
派遣先:ドイツ ドレスデン工科大学
期間:2024年3月~5月
留学先大学について:
ドレスデン工科大学は、ザクセン州で最大規模の総合大学です。医学部のキャンパスは病院、講堂、研究室、カフェ・レストランなどが隣接して建てられ一つの町のようになっていました。ドレスデンは学生が多く住んでいる町ということもあって、治安がよく安心して生活することができました。
学習面について:
Viszeral-, Thorax- und Gefäßchirurgie(胸部・腹部・血管外科)で実習をし、名前の通り、消化管や肝胆膵、肺、乳腺など幅広い領域の手術を見学できました。その中でも教授が専門としている肝胆膵領域、特にPPPD(膵頭十二指腸切除術)の手術は件数が多く、個々人の解剖学的な構造の違いを術前CTや術中所見から把握し、出血などの侵襲が少なく短時間で終わるオペを目指している姿が印象的でした。また臨床と基礎の繋がりに興味があったため、1型糖尿病に対する異種膵島移植のカプセル材料の研究をしているラボも見学しました。拒絶反応を避けられ、より生着が得られやすい素材の開発が進めば、膵島移植のドナー不足を解決しうる研究とのことで非常に興味深かったです。その他、先生方のご厚意で消化器内科や総合診療科でも実習をさせていただきました。
生活について:
留学生が住むマンションで生活しました。キッチンが共用のため、一緒に留学した信大の学生と話して気分転換ができました。また他の国の学生と話す機会もあって、インドから来た留学生からカレーを一口もらったり、ガラムマサラをお土産にもらったりしてとても楽しかったです。朝食は大学病院までの200mほどの道のりにパン屋が3軒あり、日替わりでいろんなパンを食べて病院に向かっていました。ご飯のことばかり書いてしまいましたが、その他の面でも不自由なく生活できました。
留学で得たこと:
留学前にドイツ語の日常会話を勉強していったのですが、実習初日の朝カンファレンスで先生方が話していることが何も分からなかったときは目の前が真っ暗になりました。それでも、内容を周囲の先生に質問したり、図書館でドイツ語の医学書を読んで勉強したりしているうちに理解できるようになったのが嬉しかったです。もし困っていたとしても黙っていたら周りからは分からないため、勇気を出してヘルプを求めることの大切さを学びました。
後輩へのアドバイス、奨学金システムへ一言:
たとえ言葉の壁があっても、助けてくれる人は必ずいます。それに居心地の良い日本を飛び出して異国の暮らしに適応する中で、自分には意外と適応力があってどこに行ってもなんとかなるんだという図太さが身につきました。海外の病院や研究室で実習をする機会は、この留学プログラム以外ではなかなか得られないチャンスだと思うので、後輩の皆さんにはぜひ挑戦してみてほしいです。
今回の留学では、松医会の先生方の支援下で貴重な経験をさせていただきました。またサポートしてくださった先生方、友人、家族、一緒にドイツに留学してたくさん助けてくれた3人にも感謝しています。この場を借りて、お世話になった皆様に感謝申し上げます。