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2025年 秋・イタリア 「世界へ飛び出すという選択」(基礎研究)

氏名:桑子 洸侑
派遣先:イタリア トリエステ大学
期間:2025年9月~2025年11月

留学先大学について:
トリエステは、イタリア北東部にある港町として栄えた都市で、スロベニアやオーストリアと隣接しており、イタリア文化に加えて中欧的な要素も感じられる落ち着いた雰囲気の街です。歴史的背景を反映した街並みが特徴的で、他のイタリア都市とは異なる魅力を持っています。市内には多種多様なレストランやバーがあり、イタリア料理だけでなく周辺国の文化が融合した食文化を楽しむことができます。トリエステ大学はこのような特徴を持つ都市に位置しています。複数の学部を有する歴史ある大学で、ヨーロッパを中心に多くの留学生を受け入れており、国際的な研究・教育環境が整っています。また、大学は高台に位置しており、キャンパスからはトリエステ市街やアドリア海を一望できます。

学習面について:
学習面では、PhDの指導のもと、iPS細胞を用いた研究に取り組みました。研究テーマは、ミトコンドリア病に関連するPOLG遺伝子変異が細胞レベルでどのような病態メカニズムを引き起こすかを明らかにするものでした。iPS細胞の培養をはじめ、qPCR、免疫染色、MitoRED染色などの実験手技を学び、最終的には一連の実験を一人で行えるようになりました。日本語であっても理解が容易ではない内容を、英語を用いて専門的な議論を行うことには当初大きな壁を感じました。しかし、指導教員やラボの方々の丁寧なサポートのもと、積極的に質問しながら研究を進めることで、徐々に英語での研究生活に適応することができました。この留学は、研究技術のみならず、国際的な環境で主体的に学ぶ姿勢を養う貴重な経験となりました。
 
生活について:
トリエステは、他のイタリアの都市と比べても治安が良く、夜間でも比較的安心して市内を出歩くことができました。公共交通機関は主にバスが発達しており、路線や本数も充実しているため、市内の移動に不便を感じることはほとんどありませんでした。中心街は活気があり、スーパーマーケットが多く生活必需品の調達に困ることはありませんでした。また、バーやレストランも豊富で、日常生活の中で外食を楽しむ機会も多く、長期滞在でも飽きることなく過ごすことができました。留学初期の9月頃には、ビーチで海を楽しむこともでき、トリエステならではの生活を体験できました。
今回は同期3人で渡航し、シェアハウスで生活しました。生活面で大きな困難はなく、互いに支え合いながら充実した毎日を送ることができました。一方で、円安の影響もあり物価は全体的に高く感じられたため、スーパーマーケットを利用して自炊することが多かったですが、その点も含めて貴重な経験となりました。

留学で得たこと:
留学として得たことは、なんといってもコミュニケーション能力でしょう。イタリア人は総じて非常にフレンドリーで、日常会話から研究に関する議論まで積極的に話しかけてくれる場面が多かったです。そのような環境の中で、正確さにこだわり過ぎるよりも、まずは自分の考えを言葉にして伝える姿勢が非常に大切だと思いました。積極的に会話に参加するうちに、英語で意思疎通を図ることへの抵抗感が次第に薄れ、コミュニケーション能力の向上を実感しました。この姿勢は、英語に限らず、どんな場面においても役立つものだと感じています。
また、研究室では自ら動かなければ研究は進まず、受け身の姿勢では取り残されてしまう環境でした。そのため、分からない点は自分から質問し、次に何をすべきかを常に考えて行動することが求められました。この経験を通して、主体的に行動する姿勢の重要性を実感するとともに、結果として積極性が自然と身についていきました。
また同時に、研究を通して厳密さや忍耐力を鍛えることができました。実験では一つ一つの手技を丁寧に行い、再現性を意識することが強く求められ、思うような結果が得られない場面も少なくなかったです。しかし、その過程で粘り強く原因を考え、改善を重ねる姿勢が身についていきました。そこで培った姿勢は、将来臨床医として医療に向き合う上でも重要であり、今後に活かせる貴重な経験となりました。

後輩へのアドバイス、奨学金システムへ一言:
本学にこのような留学プログラムが用意されていることは、我々学生にとって非常に恵まれた環境であると感じています。休学することなく海外留学を経験できる機会は決して多くなく、留学に少しでも興味があるのであれば、ぜひ積極的に挑戦してほしいと思います。言語や文化の異なる環境で数か月間生活することに対して、懸念を感じるのはごく自然なことであり、私自身も期待と同時に不安を抱えて出発しました。しかし、実際に現地で生活を始めてみると、不安に感じていたこと以上に、日々新鮮で刺激的な経験の連続であり、不安に思うどころか、毎日が楽しくてたまりませんでした。振り返ってみると、この留学は今後一生忘れることのない、かけがえのない経験になったと強く感じています。
また、英語力に不安があることを理由に挑戦をためらう方もいると思いますが、実際には現地の方々は非常に優しい上に、日々の生活や研究を通して必要なコミュニケーション能力は自然と身についていきます。少しの勇気を持って一歩踏み出すことで、得られるものは非常に大きいです。ぜひ多くの後輩に、この貴重な経験を味わってほしいと切実に願っています。
最後に、本留学の実現にあたり多大なご支援を賜った国際交流推進室の皆様、奨学金による支援をしてくださった松医会の皆様をはじめ、留学を支えてくださった全ての関係者の方々に、この場を借りて心より感謝申し上げます。

 
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