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土屋 英樹 先生(長野朝日放送株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

土屋 英樹 先生(長野朝日放送株式会社 代表取締役社長) の講義が行われました

2021. 10.27

  • 経営者と企業

 2021年10月27日、2021年度「経営者と企業」第2回の講義として、長野朝日放送株式会社 代表取締役社長 土屋 英樹氏から「abnが目指すもの」と題して講義が行われました。

 長野朝日放送株式会社はテレビ朝日系列局として1991年に長野県内では民放4番目の局として開局し、2021年4月に開局30周年を迎えました。現在は美ヶ原の送信所+43の中継局をかまえ、信州の魅力をさまざまな形で発信しています。
 ローカル局の存在意義を土屋氏は、「地域に必要な情報を集め、伝えること」「地域コンテンツを全国・海外へ発信すること」とし、県民に愛され、選ばれ、信頼されるテレビ局になるために、地域を明るくする番組を制作・放送するとともに、常に新たな取り組みにもチャレンジされています。
 講義の途中、開局以来続くニュース番組「abnステーション」、タレントの三四六さんが信州大学の松本キャンパス近郊を歩いた「どーゆーの?信州(信州大学編)」、地元のスゴサを探る「いいね!信州スゴヂカラ」等のオリジナルコンテンツを動画で御紹介くださいました。それらに学生が興味深く見入っていたのが大変印象的でした。

 2020年、日本の総広告費は新型コロナウィルス感染症の影響を受け、6兆1,594億円と前年比で7,787億円も減少したようです。業種別の広告費をみると、前年までのインバウンド消費がほぼなくなり、外出・移動の自粛によって外食、交通・レジャーを中心にダメージを受けたことが大きいと述べ、長野県も観光客の減少によるダメージが大きく、広告業界もその余波を受けたとお話しされました。
 長引くコロナ禍により、人々の生活様式は一変。巣ごもり需要が活発化してネット通販やデリバリー、リモートワーク、キャッシュレス決済などが一気に加速したことに伴い、インターネット広告が2019年、初めてテレビ広告を超えるという結果につながりました。
 昨今はコンテンツの多様化により、特に若者のテレビ離れが進み、インターネットに費やす時間が拡大しています。テレビの前に座る時間が減り、テレビ自体を持たない人もいるなど、スマートフォンをはじめとしたデバイスの普及で、さまざまな情報収集がインターネットを中心に行われるようになっている現状に、「今回のコロナ禍で、人々のメディアへの接触行動が変わってきており、この流れは止められないだろう。これからは、いかなる変化にも対応できないと広告効果への影響はあきらかだ」との見解を述べられました。

 それを受けてキー局のネット戦略や同時再送信、ローカル局にとっての同時再送信についてローカル局にとっての課題を御説明いただき、「我々は、いかに地域の人に向けた情報を提供し、貢献していくか。長野県の局として生き残りをかけ、新しいことにチャレンジすることが必要だ」と述べ、新しい取り組みのひとつである「株式会社LIP(リップ)北信越」の設立について解説されました。
 これは「新潟テレビ21」「北陸朝日放送(石川)」「長野朝日放送」の3県でマーケティングを行う会社で、3県が連携をとることにより、「どれだけ魅力のあることができるか」「首都圏(東京)へアピールできるか」等、今までとは視点を変えてやってみることが必要であり、喫緊の課題であると強い思いをお話しいただきました。

 現在、abnでは地域の企業等との連携によって積極的にコミュニケーションをとることで、地域の特産や文化をつなぎ、広げる存在になることを目指してさまざまな活動に取り組まれています。例えば、アプリの開発・利用により最新ニュースはもちろん、価値のある情報をいち早く県民に発信する、地域に貢献できるイベントを紹介するなどを挙げ、「番組を作って広告収入を得るだけではダメ。付加価値をどう付けて発信できるか。愛され、信頼される局を目指すためにゼロから見直し、地域にとってもキー局からも不可欠な存在にならなければいけない」と、abnが目指すところについて語っていただきました。

 最後に、みなさんに期待したいこととして「どんな会社に入っても、与えられたことや教えられたことだけでは通用しない。スピード感をもった対応で、多くのことにチャレンジしてほしい。いろいろなことを結び付けて考え、広げていくことが大事であり、指示を待つのではなく、新しい価値を考え出せるよう、これから社会に出るみなさん方が柔軟な発想をもって変えていってくれることを期待しています」と述べ、学生に向けてエールを送られました。

  • 長野朝日放送(株) 代表取締役社長 土屋英樹氏
  • 講義風景

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