阿部 信一 先生(株式会社ANA総合研究所 取締役会長)の講義が行われました
2023. 05.31
- 現代産業論
2023年5月31日、2023年度「現代産業論」第6回の講義として、株式会社ANA総合研究所 取締役会長 阿部 信一氏から「持続的な成長を目指して~地域連携による活性化の推進~」と題して講義が行われました。
会社設置から今年で20年目を迎える株式会社ANA総合研究所は、ANAグループが長年にわたり蓄積してきた知識・ノウハウ・ネットワークを活かし、航空・産業政策ソリューション、産業連携・人材育成、地域活性化支援に取り組んでおり、「新しい価値を創り続ける」ことを将来の目標に掲げ、更なる進化を目指して邁進されています。
最初に、今年度の「現代産業論」の趣旨でもある、①地域経済の活性化は、わが国の重要課題の一つ、②人口減少に歯止めをかけ、首都圏への人口の過度の集中を是正することを目的とした「地域創生」の取り組み、③デジタルの力で地方の個性を活かしながら、社会課題解決の魅力の向上を図る「デジタル田園都市国家構想」の取り組み、の3つを本日の講義のキーワードに挙げ、講義が始まりました。
現在の日本は人口減少や少子高齢化、東京一極集中などの課題に加え、コロナ禍の影響を強く受け、観光業や航空業界を取り巻く経済環境は大きく変化しました。航空会社は「観光」を地域創生・活性化の切り札にするべく取り組みにより、新たな観光の在り方を考える必要があるとして、観光振興だけでなくイノベーションやデジタル活用を絡ませ、自治体や地域と連動して地域創生に寄与したいと述べられました。
地域創生に向けた同社の役割として、地域活性につながる掘り起こしを行うことにより、地域への興味関心を膨らませ、地方への人の流れを創出することが持続的な観光につながり、将来にわたって地域が成長できるとお話しいただきました。
次に、ANAグループとして「地方への人の流れ」を創出し、地域活性につながる掘り起こしの取り組み事例をご紹介いただきました。具体的には、長野県山ノ内町や駒ケ根市で開催された「ONSENガストロノミー」や、アバターを活用したコミュニケーションインフラの構築など、地域の諸課題への対応を通して地域を元気にする興味深い取り組みが多く、今後も地域社会との関係を重視しながら地域経済の活性化に貢献されることが期待されます。
さらに、観光は大きな産業であるが、我々が直面している課題としてオーバーツーリズムを挙げ、観光の理想と現実について述べたほか、サステナブル・ツーリズムやSDGsの関係、持続可能な観光についての見解を示されました。
講義終了後の質疑応答では、多くの学生から質問や意見が寄せられ、阿部氏にはひとつひとつ丁寧にご対応いただきました。長きに渡り、大手航空会社において幅広い実務経験をされた阿部氏の講義は関心が高く、学生にとって大変有意義なものとなったようです。