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福永 哲郎 先生(経済産業省大臣官房審議官(製造産業局・中小企業政策担当))の講義が行われました

福永 哲郎 先生(経済産業省大臣官房審議官(製造産業局・中小企業政策担当))の講義が行われました

2022. 06.15

  • 現代産業論

 2022年6月15日、2022年度「現代産業論」第7回の講義として、経済産業省大臣官房審議官(製造産業局・中小企業政策担当)福永 哲郎氏から「大国間の対立と日本の産業」と題して講義が行われました。

 新型コロナウィルスによる経済危機が世界各地で巻き起こっている昨今だが、日本の産業界ではコロナ危機もさることながら、この間に進んだ米中対立、ロシアによるウクライナ侵攻で進む世界の分断に対する関心が高まっている。それは、米中欧間で激化していく産業政策競争や地政学的影響が日本の産業にも波及していくことが懸念されているからだ。特に、米中間では産業政策と安全保障が絡み合った対立構造がより先鋭化し、欧州では気候変動対策に絡めて独自の産業政策が進められるなどして、日本の自由な産業活動に対する制約が強くなってきているとの見解を述べられました。

 こうした大国間の競争のなかで、日本でも、国家戦略としての経済安全保障のあり方が注目されており、日本の産業が生き残っていくためには「戦略的自律性の向上」と「戦略的不可欠性」をいかに確保するかが重要だとして、近年注目が集まっている半導体分野での基本戦略や方向性などを例にお話しいただきました。従来からの米中対立に加え、新型コロナウィルス感染拡大や頻発する災害等でサプライチェーンの脆弱性があらわになったこと、さらには、ロシアによるウクライナ侵攻が経済安全保障の強化を早急に進める必要性を再認識させたとして、今後の情勢の変化を見据え、さまざまな課題について不断に検討していく必要性を説かれました。

 急速に変化する世界情勢のなかで、日本を代表する産業、日本の雇用や賃金を支える自動車産業が直面する課題を取りあげられました。自動車産業は、同時に生産台数の大半を海外市場で販売しているグローバル産業で、近年ではアジア等の新興国で生産が拡大しています。しかし、世界でCASEという大きな変革に直面しています。電動化に向けた課題や各国の政策支援、日本が取り組んでいるグリーン成長戦略、目指すべき「モビリティ社会」像などについて詳しくお話しいただきました。

 日本の産業を取り巻く世界の現状や今後の課題を身近なものとして捉えることができ、学生にとって大変実のある有意義な講義となりました。

  • 経済産業省大臣官房審議官 (製造産業局・中小企業政策担当) 福永哲郎氏
  • 講義風景

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