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川上 登福 先生(株式会社経営共創基盤 共同経営者 マネージングディレクター) の講義が行われました

川上 登福 先生(株式会社経営共創基盤 共同経営者 マネージングディレクター) の講義が行われました

2021. 05.12

  • 現代産業論

 2021年5月12日、2021年度「現代産業論」第3回の講義として、株式会社経営共創基盤 共同経営者 マネージングディレクター 川上 登福氏から「デジタル・AI時代の経営」と題して講義が行われました。

 川上氏は、大手商社やGEで営業やマーケティング、M&A業務等に従事。株式会社経営共創基盤に参画後は、AI関連の全社戦略策定・新規事業開発、ビッグデータ解析等の事業を多数統括されるなど、多くの企業の構造改革やハンズオン支援に携わっています。
 また、AIスタートアップ企業やベンチャーキャピタルの経営に携わるほか、様々な大学、研究所等のアドバイザーや顧問、政府のイノベーション創出事業の運営に関わられるなど、
デジタル・AI時代の経営革新の最前線で産学を牽引されています。
 AIをはじめとする先端技術の進展が目覚ましい昨今、産業構造の大きな転換期を迎えるなかで産業界に何が起こっているのか、事例を挙げてお話しいただくことで講義が始まりました。

 ディープラーニング(深層学習)の急速な進化により、様々なビジネスにAIを活用しようという機運が高まり、第3次AIブームが訪れています。従来のAIは、例えば画像認識では、画像のどこをどう見るべきか、特徴や情報を人間が想定して、画像のどこをどう見るべきかというルールを書き込んでいましたが、全てをルール化することは困難であり、その適用領域が限定されていました。一方、ディープラーニングはパターンや特徴を自動的に見つけ出すことができるため、画像認識、音声認識などの精度が一気に上がり、また、ルールベースでは同じ動作を繰り返すことが主流だった機械制御も環境に合わせ対応できるようになりました。
 こうした進化により、データ量の増加とともにAIの活用機会は飛躍的に進化し、製造業や自動運転、医療やスポーツ等、あらゆる産業に応用され、一層の研究開発も進んでいます。

 Webやセンサー、IoTなどデータが増大し続け、アナログをデジタル化する"Digitization"が進められてきました。そこにディープランニングが登場し、従来はデジタルデータ化できなかった領域までデジタルデータ化が出来るようになり、活用領域が飛躍的に拡大・進化し、顧客も含めてデータでつながる「デジタル時代」が到来しています。こうした中、進化するデジタルを業務効率化や付加価値の向上に活用する"Digitalization"を、"Digitization"とともに加速させ、企業の競争力を向上させることが、今日叫ばれる"DigitalTransformation"(DX)として大切であると語られました。
 デジタル時代の企業には、情報の視点から、全体のプロセスを短く滞りなく最適に組み直し、データの経営に巧みに活用することが求められます。また、AIなどの技術の導入は目的ではなく、自社製品・サービスをどう進化させたいか、プロセスデザインをどう最適化させるか、つまりその目的が重要です。これはあくまで人間が考えるべきことで、AIによって製品設計やプライシングの考え方も変わる中、企業文化そのものをデジタル時代の思考・行動が根付き、継続的に進化するよう変革していくことが必要だとお話しいただきました。

 さらに、技術が急速に進化する時代に、「技術で勝って事業で負ける」は通用せず、技術とともに事業をスピード感をもって高める事業構想力が重要になります。不確実性の世界、過去の延長線上にない世界では、組織力・人材力が勝敗を決める。デジタルマインドをもってよりスピーディーに、よりシンプルに意思決定するリーダーシップが必要。付加価値・生産性を絶えず高める組織能力によって高い競争力を持続的に持つ企業となる。との見解を示されました。

 最後に、カナダのトルドー首相の「今ほど変化のペースが速い時代は過去になかった。だが今後、今ほど変化が遅い時代も二度と来ないだろう」との言葉を御紹介いただき、講義を締め括られました。

  • (株)経営共創基盤 共同経営者 マネージングディレクター 川上登福氏
  • 講義風景

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